2019.06.14

100人のアイドルがデビューを目指して、殺し合いのバトルロイヤル!『殺処分アイドル!』野崎アユ【おすすめ漫画】

『殺処分アイドル!』

こうwebとかスマホアプリとかで読めるマンガのポータルサイトが増えてきて、レーベル色に囚われないかなり多様な作品が次々と登場しているんですけれど、多様化が進むと、過激なのも相応に出てくるんですよね。これはもう宿命みたいなもので、絶対に出てくる。

白泉社「花とゆめ」系は結構保守的な印象あったんですが、「マンガPark」以降は結構色々な作品が出てきてるなっていう。で、6月に新作単行本が2つ出てきたんですが、片方は時代モノで陰間(男色をなりわいとするお仕事)を描くというなかなか特殊な作品で、もう一つがアイドルが殺し合いのバトルロイヤルをするっていうやつ。今日はこのアイドルの殺し合いの方を紹介します。

いや、青春でも恋愛でもまったくないんですが。他にも紹介したい作品あるんですが、それぐらいインパクトあった。だって『殺処分アイドル!』ですよ? タイトルで既に「ヤバみ」が滲み出てるじゃないですか。

こんなあらすじ

売れない地下アイドル・ぱらふるのメンバー・山吹れもんは、ある日仕事の帰りに気を失い、目が覚めると見知らぬ無人島に。周囲には、自分と同じように、何も知らされずにここに連れてこられた、同じ事務所の売れないアイドル達の姿が……。訳が分からないままに、うさぎの姿の司会者に告げられたのは、集められた100人のアイドルで殺し合い、生き残った2人をデビューさせるという衝撃の言葉で……という導入。

要するに、同じ事務所のアイドル研究生100人がとある無人島に幽閉されて、殺し合うというだけのお話。シンプルです。で、最後の2人になるまで殺し合うのかというと、そういうわけではなく、あくまでこのバトルロイヤルはセレクションの過程であり、ここでの様子を受けて最終的に視聴者投票によってデビューできる2人が決定されるというシステムのようです。

そう、この殺し合いの様子が生中継されてるってんですよね。で、視聴者はアイドルファン達。なんというか、全日程終了までに全員殺しちゃえば問答無用でデビューな気もするんですが、なんか色々含みがあるので断言しづらいんですよね。

インパクト重視で出落ちがずっと続く感じ

まず何がやばいって、マンガParkでこの漫画を開こうとすると、18歳未満には刺激が強いっていうアラート上がるんですよね。これを花とゆめのレーベルでしちゃうっていうヤバさね。装丁だけならバリバリの少女漫画っていう。で、どのへんが刺激的かって、体が爆発して飛び散ったりするのでかなり死に様がグロテスクっていう。あと人気投票で視聴者に媚びるためにおっぱい出しまくりっていうね。なんだこの作品。

この手のインパクト重視の作品にありがちな、ストーリーのディテールには一切こだわらない圧倒的な粗さ。もうページめくれば人が死ぬって感じなので、強烈な刺激だけで最後まで走り抜ける感じ。そこに動機とか心情描写とかそんなんいらないんですよ。

というか動機に関して言えばただひとつ「売れないアイドルの、他人を蹴落としてでも売れたい気持ち」っていうその強烈な一点だけで、支えられているので揺らぎようがない。

だから完全崩壊せず、一応物語としての体裁は保っているという感じでしょうか。あとさっき「色々な含みがある」と書いたんですが、粗さの中に紛れて、狙って明言していない要素ってのがちょこちょことあるように見えるんですよね。このあたりも、物語としての機能性を保つ一因となっているように感じられます。

これは少女漫画なのか?

一応、トップアイドルとしての道が約束されているって話なんですけれど、こんなに人殺して、まずアイドルとしてじゃなく、人間として全うに生きていけないだろうっていう。まあなんとなく想像しているのは……おっと、やめておきましょう。

なお初日で100人のうち75人ぐらいが亡くなります。そこからもバッタバッタ。そもそも期間が1週間しかないですから、物語展開のテンポもさることながら、7日で100人近く殺すっていうそもそものスケジュール自体がめちゃめちゃタイトですよね。

こう、通常だと色々解説とかするんですが、本作についてはどれかにチェックついたら読んでみてはいかがでしょうか。

〈チェック項目〉
・女子たちの殺し合いが好きである
・アイドルものに男は必要ないという信念の持ち主である
・なんならちょとした百合要素はほしい
・おっぱいがあると嬉しい

逆に一つもつかないようであれば、読む必要がないと言ってもいいくらい。ていうかこのチェック項目を振り返ってみても、どちらかというと男性向けっぽい要素が多いような。なぜ花とゆめコミックスから出ているのか、やはり謎です。

絵柄はもうど直球で少女漫画なんですけど、やってることがなにぶん、花とゆめとは一線を画するので。最初由貴香織里先生的なオサレグロテスク系な感じかと思っていたんですけど、そんなこともなく、ただただ意識低く殺し合ってます(褒め言葉)。

百聞は一見にしかず、まずは試し読んでみましょう。マジで一見したら即座に百理解できるぐらいには、シンプルで押し寄せるような圧倒的勢いがありますので。ハマるかハマらないかはアナタ次第ですが、「なんか身体に悪いジャンクで激辛なもの食べてるみたい」って感覚は全員で共有できると思います。読もうとしてるあなた、Good luck!

試し読みはコチラ!

この記事を書いた人

いづき

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