2019.08.02
小さいときから幼なじみで大人になってもお隣同士な2人が繰り広げるラブストーリー!『おとななじみ』中原アヤ【おすすめ漫画】
『おとななじみ』
中原アヤ先生による『おとななじみ』の第1巻が発売されました。
物語の主人公は、弁当屋で働く24歳の楓。お隣の春とは小さいときから幼馴染で、社会人で一人暮らしになった今も、色々あってお隣同士。
生活力皆無で、何なら今は職すら無い春の部屋に度々通っては、面倒を見てあげています。そこまでするのは、ずっとずっと春のことが好きだったから。しかしそんな楓の想いとは裏腹に、鈍感な春は一向に気づいてくれません。一番近くにいるのに、全然進展の無い恋だったけど……というストーリー。
大人な『ラブ★コン』
えーっと、読みはじめて数十ページで思ったのは「これ『ラブ★コン』じゃん。」でした。
社会人だし、『ラブ★コン』は別におさななじみ設定とかないんですけれども、漫才コンビに例えられるような、息ピッタリのやかましい凸凹な二人組だとか、互いにアホっぽいけど裏表なく素直な性格の持ち主であるとか、こと恋愛になると全く素直になれずに噛み合わないところとか、作品の纏う雰囲気がとにかく似てるんですよね。
実際に「ココハナ」編集部もTwitterで”大人なラブ★コン”なんて紹介しているので、意識的に寄せていってるんじゃないかと思います。
#中原アヤ 最新作 #おとななじみ
本日発売🎉
中原先生より描きおろしイラストが到着〜‼️何かとシビアな毎日に気軽にお読みいただける堂々無職のハルにずーっと片思いな楓のギャグ満載かけあいが楽しい
「大人なラブ★コン」なラブコメです‼️
ぜひ一巻を書店にてご覧ください(I) pic.twitter.com/2pZexVGH4w— ココハナ編集部♡ 9月号発売中 (@Cocohana_manga) July 25, 2019
中原アヤ的世界を堪能
全然関係ないフォロワー漫画家ならまだしも、本人による踏襲ですから、そりゃあもう安定感抜群に決まってるじゃないですか。
幼馴染同士の漫才のような掛け合いもすんなりと入ってくるし、コメディベースの中でふと落とし込まれるトキメキ(=キュン死にポイント)も外さないし、思い描いたとおりに進まない恋のもどかしさも絶妙な加減で落とし込まれています。
キャラクター達もいい意味でみんなアホっぽいところがまた中原アヤを感じさせるといいますか。仕事や勉強ができる設定のキャラですらも、変人っぽさが転じて不思議とアホっぽくなってしまうのですが、本作のヒーローなんかはわかりやすく「アホだけどめちゃ頼りがいあっていいヤツ」で、物語でも物凄くイキイキしています。
とにかく全ページに渡って圧倒的に”中原アヤ的世界”が広がっており、長年のファンはガッツリ心掴まれそうです。
スケールダウン感は否めないが…
ただ、一方で「それなら『ラブ★コン』読んでおけばいいじゃん」という思いがあるのも正直なところなんですよね。
例えば中原アヤ作品の定番の展開として、恋に悩みすぎてヒロインが暴走して失敗するってのがあるわけですが、それが高校生であれば「若さゆえの過ち」的に、初々しい青春の一幕として消化できるものも、いい歳した大人がやると、痛々しさが混じってきてしまう。
それを笑いや切なさ、その後のトキメキなどに転化できればよいのですが、今のところそこまでは至っていない感じ。
またキスどころか手を繋ぐのすら恥ずかしいってところが、展開を引っ張る要素となっていたのが、社会人ともなると初手からキスとか普通にあるわけで、そういう意味でも展開は相応に早くなるような気もします。そうすると、どうしても『ラブ★コン』を全体的にスケールダウンした印象は否めないかなぁ、と。
とはいえまだ1巻が出たばかり。『ダメな私に恋してください』も大人の痛々しさ先行だった印象がありますが、しっかり盛り返して特大のトキメキへと変わっていきました。
本作もここから一気に展開していくかも。意識的なのか偶然なのか、いずれにせよここまで成功作をなぞった作品もなかなか無いと思いますので、色々な意味で今後の展開に注目したい一作です。
©中原アヤ/集英社