2019.10.16
個性豊かな四姉妹を中心に繰り広げられる、ドタバタ日常コメディ!『桃ノ木家の四姉妹』まっくすめろん【おすすめ漫画】
『桃ノ木家の四姉妹』
個性様々な四姉妹、今日もドタバタ楽しく過ごしています
「姉妹もの」は昔から愛されている題材のひとつ。年齢が異なるため、感性が噛み合わず様々な問題に直面しやすい。喧嘩も日常的に起こる。そして、家族であるがゆえに嘘をつかず気を許しあい、愛情でつながっている。ドラマの生まれやすいジャンルだ。
『桃ノ木家の四姉妹』は姉妹ものの美味しいところをギュッと詰め込んだ作品。
長女の一葉(いちは/20歳)は、感情豊かで泣き虫な社会人。
次女の二之(にの/15歳)は、高校生。余計なことばかりして周りを引っ掻き回すトラブルメーカー。
三女の三都(みつ/12歳)は、中学生。家の中では怒りっぽく、二之に振り回されている苦労人。
四女の四稀(しき/9歳)は、小学生。四姉妹の中で一番しっかりしている。
それぞれの個性がバラバラなため、会話する度に大騒ぎ。中でも二之があまりにも突飛な行動を繰り返し、三都が常に怒っているような状態。実ににぎやか。一葉は家族のためにものすごく頑張ろうとしているものの、どうにもメンタルが不安定。それを支えるのが四稀。成人の姉を抱きしめる小学生のあふれる母性。
四人一つ屋根の下の、シチュエーションコメディ。ただこの作品、四人が一緒におらず、個々に人間関係を作るシーンもたくさん盛り込まれている。
一葉は入社したばかりの会社で、知り合いの先輩たちとすぐに打ち解ける。アッパーな二之は学校に友達が多い。三都は外ではおとなしいため、クラスメイトにいじられがち。四稀は学校の行き帰りで管理人さんと知り合いになる。
友人や近隣の人が個々につながりを持っていくため、登場人物はものすごく多い。かなり多角的に人間関係を見る構造になっている。
一葉の先輩は、彼女の妹たちの愛らしさに目が行く。四稀は緊張して頬を赤らめるもんだから、同僚はときめいてしまう。三都の中学生の友達は、彼女の学校と家でのギャップが楽しくて仕方ないらしい。姉妹たちと話す度に、三都の新たな一面が発見できて、ワクワクしている。
さらに、一葉が学生時代の頃の先輩まで登場する。四姉妹を数多くのカメラで囲み、魅力を余すところ無く撮影しているかのようだ。加えて登場人物はみんなキャラが濃い。群像劇的な人間関係を丁寧に描き、それをさくっとテンポよくまとめ、最終的には四姉妹の魅力が引き立つように構成されている。
四姉妹それぞれの視点も描かれているので、まずは四人の中からお気に入りを見つよう。そこから中心に読んでいくと、空気感をより深く味わえる。ゆるやかな空気が好きなら長女と四女を、元気なのが好きなら次女と三女を軸に読むのがオススメ。
全員集まることで、物語全体に緩急ついているのがわかってくる、楽しい作品だ。
©まっくすめろん/芳文社