『ブルー・ド・ロワ』

表紙は普通のイケメンが2人いるリーマンラブっぽいBLですが、違うそうじゃないとばかりにオビに太字で「人外ラブ!!」と書いてあります。厨二心がうずきはじめる、天使とか悪魔とか堕天とかそういう設定です。素晴らしいですね！

カップリングは、「青い目の高校生×異端の悪魔」。

子供の頃から、他の人には見えないはずの天使や悪魔の羽根が見えるいづみは、高校生になっても、昔会った青い羽根の青年のことを忘れられずにいました。

ずっとまた会いたいと願っていたその青年に再会できたのは、高校生になってから。十年前から見た目が変わっていない時点で人ではないし、相変わらず青い羽根を背中に生やしているので、ますます人類ではありません。

マナは、十年前に出会った青い目の子供など別れるときに記憶を消したつもりですっかり忘れていたのですが、なぜかいづみの記憶は消えていませんでした。どうやらいづみには、悪魔の魔法が効きません。

人間には見えないはずの羽根が見えて、効くはずの魔法が効かない、両親のいない青い目の高校生──。いづみの人外フラグが立ちまくっていますね。まだ決定的な証拠は見つかっていませんが時間の問題な気がします。

羽根の色が青い異端の悪魔・マナは人間界で堕天した者を探して連れ戻すような仕事をしているようですが、堕天の原因はほぼ異種間恋愛だそうで……。マナは力は強いですが、まだ発情したことがなく、そしてどうやら接触が増えていたいづみ相手に発情している気配があります。

コンプレックスでもあった青い羽根を正面から綺麗だと褒めてくれて、ドストレートに好きだと満面の笑みで繰り返されるのですから、恋愛経験のない悪魔がころっといってしまっても仕方がありません。

いづみの人外フラグと、マナの堕天フラグ。
美しい悪魔相手に欲情する、人間と悪魔のハーフかもしれない高校生と、ミイラ取りがミイラになりそうな異端の悪魔。

問題は何も解決していないしフラグも回収されていません。ヤケを起こしていづみに身体を投げ出そうとするマナと、気持ちが伴わないままことを進めることはしたくないいづみ。誘惑する悪魔と我慢する人間。

ものすごい寸止めなところで終わりました。

そう。巻数表記がないのですが、この作品、シリーズの1巻目です。週刊連載じゃないのに、とんでもない終わり方をしてくれています。

物語がどう転んでいくのか、分かれ道がいくつも見えたまま次が出るまでお預けです。必死で我慢するいづみが健気だし、発情しながらも強がって、投げやりになりながらもいづみを誘惑するマナはマジ悪魔だし、わくわくが止まらない展開です。

いづみの一途で強い気持ちが報われるのか、マナは堕天してしまうのか、いづみが実はほぼ悪魔でくっついてもセーフなのか……。じりじりしながら続きを待ちたいと思います。

©天禅桃子/コアマガジン