2018.02.21

【イベント】マンガ家がガタガタ震えて恐れる恐怖の確定申告! だけど立ち向かった方が良いワケ

2月です! ヤツが……ヤツがやってきます! そう、我らフリーランサーの天敵、定期的に訪れる恐怖の大王……確定申告です!!

そもそも、われわれフリーランスは毎日がクソ忙しく、2月だろうが3月だろうが変わらず忙しいんですよね。なのに、2月になるとそこに巨大な事務作業(確定申告)がのしかかってくるという……。

さらに確定申告はメチャクチャ難しく、語句も概念もさっぱり分からないし、下手にやって失敗すると大変なことになりそうだし、かといって無視するのも怖く、やったらやったで税金をむしり取られるという地獄のようなイベントです! インフェルノ!

ですが、そんな恐ろしい確定申告に立ち向かうため、2月3日(土)、comicoマンガ家向けの確定申告セミナーを開催したのです! 

「漫画家向けオープンセミナー 知ってトクする!確定申告のコツ」

「漫画家向けオープンセミナー 知ってトクする!確定申告のコツ」
開催:2018年2月3日(土)
講師:山内真理(公認会計士・税理士)
主催:NHN comico株式会社
協力:マンガ新聞・公認会計士山内真理事務所

講師は公認会計士の山内真理先生。法務面からクリエイターの支援をする団体「ARTS&LAW」の代表理事でもあります。

向かって左が山内真里先生

セミナーでは「確定申告とはなんぞや?」という基礎的、概念的なところから始まり、確定申告をやっつけるための一般的なステップの解説を経て、それから、じょじょにマンガ家に向けた専門性の高い内容へと移っていきました。専門性の高い内容……つまり、「マンガ家にとって何が経費となるのか」「アシスタント代は源泉徴収をする必要があるのか」などです。

ところで、確定申告は税金を払うための苦行だと思われがちですが、確定申告をきちんとやれば、多くの場合、お金が戻ってきます(源泉徴収されている払い過ぎの税金が還付される。ただし、源泉徴収されない同人作家には関係なし)。
結構な額のお金が返ってくるはずなので確定申告はとっても大事です! 難しいし、面倒くさいし、やりたくない気持ちは心の底からよく分かるけど……お金が! 返ってくるのです!!
 
なお、「なんと言われても確定申告をしたくない」という方もいると思いますし、実際、確定申告をしなくても良いケースも存在します。それもセミナーの中で解説されていました。

※確定申告をしなくても良いケース
・兼業マンガ家:給与以外の所得(マンガなど他の所得)が年間20万円を越えていない場合
・専業マンガ家:控除などを差し引いた結果、課税される所得がない場合

兼業マンガ家のポイントとしては、「本職はサラリーマンで同人誌も描いてます」「ちょっと頼まれて少しだけマンガの仕事をしました」という場合、「所得」が20万を越えていなければ確定申告の必要はありません。ヤッタネ! つまり、マンガの収入が30万あったとしても、10万円以上の経費があれば確定申告の必要はないのです(所得が20万以下になるため。ただし、収入や経費を証明するための明細、領収書、帳簿などは基本的に7年間は保存しておきましょう)。

また、専業マンガ家の場合、収入から必要経費と、さらに各種控除を差し引いた結果、課税対象となる所得が残っていなければ確定申告は必要ありません。……もっとも源泉徴収をされている場合は、確定申告をした方がお金が返ってくるのでトクになるんですが。

以上に該当しない人は、残念ながら確定申告をしなければなりません。なお、セミナーの中では、青色申告への切り替え、平均課税、法人化、倒産防止共済など、マンガ家が活用できる節税法が提示され、「どの段階から税理士に頼んだ方が良いのか」の目安も示されました。

なお、今回の確定申告セミナーの開催について、comicoの担当者・福間さんいわく、

comico担当の福間さん

福間:「comicoで連載している作家にも確定申告はもちろん大事な問題です。最初はcomico作家向けにセミナーを開く予定でしたが、外部の作家にとっても重要な情報であることは変わらないと思い、オープンセミナーという形を取りました。今後は、税に限らず、マンガ家の共通課題となりそうな問題に対してオープンセミナーを開いていきたいと思います」

とのこと。また、今回の講師である山内真理さんに「マンガ家に伝えたいこと」を尋ねると、「自分の糧をどうやって得ていくかについて、もっと能動的になって欲しい」とのことでした。

山内真理先生

山内:「確定申告は義務だから仕方なくやる、という感覚になりがちですが、確定申告を通じてお金の動きを見つめることは、自分の活動を振り返るきっかけにもなると思います。確定申告を通じて、お金の数値感覚を掴み、会計や税務、法律やビジネス知識を得ていけば、自分の糧をどう得ていくかをもっと能動的にハンドリングできるようになります。どうせやるのなら、そういう気持ちを持って確定申告に臨んだ方が楽しいですよね」

マンガ家は毎日必死に作品に没頭しています。なので、ややもすれば浮世離れしてしまい、お金の動きについて無頓着になりかねません。ですが、確定申告を通じて、お金の現実感を肌身で感じ取れば、よりリアルに生計に向き合うことができます。それはひいては、自分の仕事の幅を広げることに繋がり、より良い条件で仕事をする環境づくりにも繋がっていくのです。

確定申告には知っているだけでトクをする(=お金が戻ってくる)様々な事柄があり、その一方で、「同人作家の在庫と経費の関係(売れ残った在庫は製造費を経費算入できない)」や、「アシスタント代を支払う際に源泉徴収義務が発生する場合がある」など、気を付けねばならない落とし穴的なポイントも存在します。

トクをするためにもリスクを避けるためにも、確定申告への一定以上の勉強はマンガ家といえど必要になるわけですが、その勉強を「無駄なコスト」ではなく、マンガ家として成長するための武器だと思えば、もはや確定申告をガタガタ震えて恐れる必要はない…………のかもしれません! ……というわけで、面倒くさいと思うけど頑張りましょう!!

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この記事を書いた人

架神 恭介(@マンガ新連載研究会)

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