2019.12.04
バイオレンスな”クライムアクション”ゲームを愛する少女の物語!『メガロポリス・ノックダウン』田澤類【おすすめ漫画】
『メガロポリス・ノックダウン』
小学生女児、R18残虐ゲームにドハマリする
現在、田澤類先生による『メガロポリス・ノックダウン』が「Comic Walker」にて期間限定で全話無料公開中だ。
今月から「ゲーム*スパーク」で続編である『メガロポリス・ノックダウンR』がスタートすることもあり、是非この機会に読んで欲しい、二巻完結の暴力ゲームを愛する少女の物語だ。
【告知】新作漫画『メガロポリス・ノックダウン・リローデッド』連載決定! https://t.co/23fXmMGlfF
来月初旬(予定)からゲーム系情報サイト「ゲーム*スパーク」にて新連載メガロポリス・ノックダウンRがスタートします。
末尾のRはリローデッドでありリベンジのRです、よろしくお願いします pic.twitter.com/HlsWVmzPSC— 田澤類 (@ruiji0) November 23, 2019
小学5年生の鋭美は、厳しい家庭で育った優等生の少女。大人が討論するテレビ番組で残虐ゲームが紹介され、一瞬で心が鷲掴みにされる。犯罪の限りを殺し人を殺しまくる、18禁のクライムアクションゲームの派手な映像が、彼女の心に刺さった。
どうしてもやりたくて仕方ない彼女は、溜めたお年玉を使ってゲーム機を購入。秘密の部屋を作り、ゲーム「メガロポリス・ノックダウン」に没頭していく。
18禁ゲームを子供がやっている時点で、法律的には基本はNG。ましてや厳しい鋭美の家庭の場合、親が見つけたら転校させられる可能性すらある。なのにどうしてもゲームがやりたい。コソコソと隠れて全力でプレイする様子自体がスニーキングゲーム的。彼女の行動は見ていてハラハラする。
なぜ子供が暴力ゲームをやったらいけないんだろう。悪影響とは言うけれども、その線引はあまりにも難しい。感情的な嫌悪感で語っても、説得力がない。
ゲーム内では多数の成人プレイヤーがオンラインで参加し、街で暴れている。鋭美がまとも(作中犯罪行為ミッションだけど)に遊ぼうとしても、ゲーム以外の部分で罵詈雑言を吐き、無意味なプレイヤーキルを繰り返し大暴れする様子は、何も知らない子供よりはるかにたちが悪い。
「まさかこの世にあんなダメな大人がいるなんて……せっかくのゲームを現実のうっぷんを晴らす排泄場所としか思ってない」
2巻ではさらに、配信のためにやりすぎた行為をして暴れる実況者も登場。世の中に多々あるさらに残虐なゲームを引き合いにだし「お上品なゲームだよ」と煽り立てる。
クライムアクションの魅力に敬意を抱いている鋭美はそれが許せず、きっちりゲーム性とスキルを駆使して対決することになる。この場合法的にNGなのは鋭美だが、ゲーム世界の視点で見ると迷惑行為を行っているのは完全に大人側だ。
もう一つの問題は、鋭美の年齢を知らず助けていた成人男性マモルとのやり取り。マモルは鋭美の正体を知らないまま、親切に鋭美にプレイを教えていた温厚な青年。鋭美がマモルに、フレンドとしてずっと共にいて欲しいという思いが高ぶりすぎ、リアルに家に凸することで事態は一気に悪化してしまう。
成人男性の家に、関係のない少女がいる。どういう事情があるとしても、この場合マモルが問答無用で犯罪者として確定してしまう。
レーティングがあるということは、何かが子供によくないという明確な理念があるはずだ。では果たして「暴力ゲーム」のもたらす問題ってなんなんだろう。
暴力を子供がゲーム内でプレイすることか?
ゲーム内でマナー知らずの大人に接触する危険性か?
はたまた、良かれと思って仲良くなることで、成人と子供のつながりが出来てしまうことか?
「私はいま!! MKDがしたいんです 18歳って7年後ですよ? それまで好きでいられるかなんてわかんないじゃん」
「じゃあいいよ」と言えないひっかかるものもたくさんある。けれども真摯にゲームを愛する鋭美の意見は、痛いほどゲーマーならわかるはず。
この時のエンディングからの続きが、『メガロポリス・ノックダウンR』になるそうだ。既に成人男性と小学生女子のタッグなだけでもう色々アウトな地点からなので、これがどう転ぶのか全くわからない。一筋縄ではいかない、リアルとゲーム両方で繰り広げられるクライムアクションを楽しみにしたい。
©田澤類/KADOKAWA