『嘘つきアンビバレンス』

イスズ先生による、『嘘つきアンビバレンス』の第１巻が発売されました。

まずはあらすじからご紹介しましょう。

二重生活ラブコメディ

物語の主人公はとある名門私立高校に通う天宮一花。家計が厳しいため、授業料のかからない特待生として成績上位を保っていますが、成績はいつも２位。彼女の前に立ちはだかるのは、同じ生徒会で副会長を務める冷血漢・木崎司。

こっちは必死に勉強しているのに、涼しい顔でトップをさらっていく木崎を、一花はライバル視しています。

そんなある日、一花のバイト先のカフェに木崎がやってきます。バイトは校則で禁止。そのため、身バレ防止にと普段とは全く違う、派手な格好をしていたこともあり、一花だとはバレなかったものの、あろうことか木崎に一目惚れされてしまいます。その日から、バレてはいけない二重生活が始まるのですが……というお話。

別人になりすましていたら、そっちの方がなんか惚れられちゃって……って展開、結構よく見るメジャーな設定ですよね。二番煎じどころか何番煎じか分かりませんが、こすられているからこそ地力が試されるとも言えるわけで。

で、実際読んでみたらめちゃ面白かったです。

構図は前作と一緒

前作『悟れません卍』では、ギャルJKがお寺に拾われて、僧侶修行に励む男子とイチャラブしちゃうという罰当たりなラブコメだったんですが、構図は一緒。

ちょっと抜けたところはあるけれど、とっても面倒見が良いヒロインと、イケメンだけど恋愛経験に乏しい童貞っぽい相手役という組み合わせのドタバタラブコメで、キャラクターが圧倒的にキャッチーかつ可愛らしい。

なんでこんなに可愛いのかよ

本作のヒロイン・一花は、地味で真面目な学校での一面と、派手で活発なバイト先での一面という二面あるわけですが、勉強に生徒会に一生懸命頑張る姿とメガネな見た目がまず可愛い。んでもって、ちょっとギャルっぽい方も、なんかぶっきらぼうに優しくてめちゃめちゃ可愛い。

イスズ先生の描くヒロインってのは何故こんなにも可愛いのか。そして本作はそれを２つの味で楽しむことができるという、至極のアソート方式。素晴らしい。

相手役の木崎は、学校では終始眉間にしわを寄せてツンケンしているのですが、ひとたび一花扮する二葉を前にすると、ただの恋する男子高校生に早変わり。普通初めての恋をしたら、どうしてよいのか分からず戸惑うものですが、さすが学年一位で、生徒会の仕事もバリバリこなす行動力の塊みたいな彼は違います。攻めの一手です。

連絡先を聞きだしたり、デートに誘ったり、バイト先に足しげく通ったり、とにかく積極的にアプローチ。学校での冷たい態度との落差がキモすぎてかわいいです。

それだけ勉強できて、生徒会でも周囲を観察して密かに気配りできている彼、普通なら簡単に、二葉の正体が一花であると見抜けそうなものですが、こと恋愛になると偏差値が２ぐらいに急落。死ぬほど鈍感な男になるのはご愛嬌でしょうか。

ストーリー展開にも注目

最初こそ、「バレたらどうしよう」って感じで進んでいくのですが、なんか全然気づかないし、なんなら言っても信じてもらえないぐらいなので、２巻以降は「どう気づかせよう」という方向に話が進みそうなのが面白いところ。

とにかくキャラの魅力に溢れた作品なので、ライトなストーリー展開でも充分に楽しむことができる本作、ラブコメに飢えている方に、是非ともオススメしたい一作です。

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©イスズ/白泉社