2020.03.20
伏線的要素もたっぷりワクワクが止まらない、王宮恋愛ファンタジー!『星降る王国のニナ』リカチ【おすすめ漫画】
『星降る王国のニナ』
リカチ先生の新作『星降る王国のニナ』の第1巻が発売されました。それではさっそくあらすじからご紹介……
「おまえは今日死ぬ。そして、王女として生きるんだ」瑠璃色の瞳を持つニナは、その美しき瞳ゆえにフォルトナ国・第二王子アズールに見いだされる。大国の第一王子のもとに嫁ぐはずだったアリシャ姫の身代わりとなったニナは、作法を学び、美しく着飾り、大国を欺くことを求められるが……!?王国に翻弄されながら、一生に一度の恋に出会う。王宮恋愛ファンタジー!!
リカチ先生というと、『明治緋色綺譚』や『明治メランコリア』、『昭和ファンファーレ』など、文明開化の音がする舞台設定の物語が多いという印象なのですが、今度は洋風でございますよ。これは意外でした。
どんな作品になるのやらと思っていたのですが、しっかりとリカチ的フォーマットは継承。体の小さい女の子(ヒロイン)が運命に翻弄されつつも、強い意志を持って、自分もそして周りも変えていくという成長譚となっています。
姫に成り代わる
物語の主人公・ニナは、早くに親を亡くし、孤児同士で寄り添いながら盗みで日々を生きる、貧民の子供でした。そんな日々は、謎の男達により連れ去られることで一変。なんと亡くなった姫の身代わりとして、他国の王子のもとに嫁ぐことになるのでした。
しかし貴族の振る舞いはおろか、一般常識すら知らない彼女が、いきなり姫として嫁ぐのは無理……ということで、身代わり作戦の首謀者でもある第二王子のアズールが、彼女のいわば保護者として、作法を教え、ときに守り支えます。
最初は心閉ざしていたニナですが、アズールとのふれあいによって、だんだんとその運命を受け入れていくのですが、アズールにもまた秘密があり……と、少女の成長および恋物語という表立った部分だけでなく、その物語の裏には様々な思惑や背景が潜んでいることが見て取れ、かなり練り込まれた作品であることがうかがえます。
伏線的要素がありすぎてワクワクが止まらない
割とそういった伏線的な描写がわかりやすく落とし込まれているので、読んでいてもワクワクするんですよね。
例えばアリシャ姫は死んだということになっているのですが、死亡確認までされた描写はなく、もしかしたら……と思わせる雰囲気があります。また嫁ぎ先の大国の王子は、怖い人物であるという噂があるのですが、それはどういった理由でかは明かされておらず、今後物語が進んで実際に嫁いだ時にどうなるのかが楽しみ。
他にも、アズールの秘密に加えて、その秘密が生まれることになった裏には首謀者がいるはずで、それが誰なのかという疑問もあり。そもそも物語冒頭からして、ニナが罪人になっていたり、アズールが玉座っぽいところに座っていたりと、そういうのを挙げだしたらキリがない。
おそらく本作もそれなりに長期連載になると思うのですが、そういった先々の展開を楽しみにさせる要素が散りばめられており、2巻への期待は高まるばかりです。
王族への成り代わりものって、個人的にハズレなく鉄板なイメージがあるのですが、そこにリカチ先生的ヒロインは非常に好相性だと思うので、まず間違いなく面白くなると思います(すでに面白いですが)。ファンタジー好きな方も、そうでない方も、ぜひチェックしてみてください。
©リカチ/講談社