2020.03.23
ほんわかとした満足感の残る、ほのぼの兄弟ものBL!『陽だまりスターライト』いちかわ壱【おすすめ漫画】
『陽だまりスターライト』
ほのぼの兄弟愛BLです。義理の兄弟なので血はつながっていないのですが、ずっと家族として育っているので精神面では完全に兄弟ものといえるでしょう。
カップリングは兄×弟なんですが、家族愛じゃなくて恋愛対象として相手を想い始めたのは弟側でした。
兄は完全に家族相手への愛で血のつながらない弟を溺愛してきましたので、その弟と思っていた相手が18歳になったときに大真面目に愛の告白をしてきたことに驚愕します。
確かに、兄として世界中の誰よりも一番愛してると言い続けてきましたが、あくまで「弟」としての話でしたので、いきなり告白されてもそれは鳩が豆鉄砲コースで当然といえます。
お兄ちゃんの弟愛は度を越していましたが、ちゃんと家族としての「愛」だったんですね。弟は若さの勢いに任せすぎです。お兄ちゃん困っちゃうでしょ……と外側からお説教したい気持ちになります。告白されて、翌日にさらに本気度合いを念押しされた兄の脳内はもう弟のことでいっぱいです。もちろん仕事など手につきません。弟への家族愛は恋愛の愛とは違う、はずなのです。
弟は弟で、兄が自分を愛しているのは間違いなくてもそれは家族に向ける愛情であると自覚しています。それでも言わずにはおれなかったわけですが、家族のまま暮らすのは耐えられないということで、告白するだけして、大学は地方に進学して愛する兄のそばから離れようとします。
本人が何と言おうが傍から見たら敵前逃亡に等しい選択です。本人以外から弟の進路予定を聞かされた兄もショックを受けます。
ずっと家族だと思っていた弟に告白され、その気持ちを受け入れられるのか、受け入れてもいいのか悩み続けるお兄ちゃんの健気さがもうたまらなくかわいいんですよね……。
兄の威厳とか年上の余裕とかそういう要素があまり感じられないのです。攻だというのに、かわいくて見守りたくなるという珍しいタイプです。途中まで下剋上ラブかと思っていたくらいの可愛さなのです。
最終的に、お兄ちゃんも家族愛から恋人への愛へと自分の気持ちをジョブチェンジさせることとなり、晴れて2人は恋人になります。肌色シーンはほぼないのでほのぼの少女漫画風BLとしてお読みいただけると思われます。
山あり谷ありの大恋愛感は少ないのですが、ほんわかとした満足感の残る作品です。
©いちかわ壱/リイド社