2020.03.30
心地よい同居生活にお互い甘えて、甘えられてしまい……年季の入った両片思いBL!『アンチロマンス』日高ショーコ 【おすすめ漫画】
『アンチロマンス』
日高ショーコ先生のBL新作です!
雑誌初掲載がなんと2015年。不定期連載で1巻が出たのが2020年……。2巻で終わるようなことを書いておられましたが、完結するのが2025年になる可能性があるのかと思うと涙が出そうです。ファンとしてはなるべく早く読みたいところですね。
さて前作の『花は咲くか』は年の差BLの名作でしたが、今回は同い年の両片思いです。
最初は幼馴染で同級生。友人になって親友になって、そのまま同居人になってなんと6年。
柿谷と周防は「友達」という関係性を維持したままずっと同じ屋根の下で寝起きをし、お互いに、自分の気持ちはもう友達に向けるようなものじゃないと何となく自覚しつつ、それでも「友達」としての日々をおくっています。
両片思いの共依存とでもいうのでしょうか。いい大人が、最初から近くにいすぎて距離感がバカになっているのです。距離が近すぎて視界の焦点が合わなくなっちゃっているとでもいうのでしょうか。
周りから見たら、友達? いやいや明らかに恋しちゃってるでしょ!? とバレバレなのですが、本人たちはなかなか気持ちの変化を現実の行動に移すことができません。心地よい同居生活を壊したくない、告白したら今の関係性は崩れるというためらいが確実に存在します。
6年続いた、友人との同居という建前のルームシェアに終止符を打ったのは柿谷でした。ついに告白──というか、いきなり周防にキスを仕掛けます。そしてそれを冗談で終わらせないよう歯を食いしばります。
周防は、いつも自分を優先してくれた柿谷の行動に戸惑いますが、自分もまた柿谷をただの親友とは思っていないと気づき始めています。でも今更、どうしていいのかわからないのですね。居心地のよかった6年間が枷になっています。
お互いが甘えて、甘えられて……。どの段階から、友達への「好き」が恋人に対する「好き」に変化したのか。もうそんなこともはっきりわからないまま、彼らは一歩を踏み出しました。
ようやくキスを。告白を。そしてお互い、男相手は初めてで、柿谷に至ってはそこまで踏み込んだ関係になることすら初めてという状況を共有します。
すでに両思いだというのに、距離が近すぎるせいでいろいろとハードルが高そうなカップルがどこにどうやって落ち着くのか。気長に2巻目を待ちたいと思います。
©日高ショーコ/幻冬舎コミックス