2020.04.13
身分差の下剋上で、獣人攻の異種間恋愛なファンタジーBL!『わななく牙のダリア』高永ひなこ 【おすすめ漫画】
『わななく牙のダリア』
1巻で終わりかな……? と思っていたら続きが出ました! 1巻のレビューはこちら。これは1巻を読んでいないと何のこっちゃわからん話になりますので、ぜひ順番を守って楽しんでいただければと思います。
表紙からなんとなくお分かりかと思いますが、この作品、BLではとても貴重なファンタジーとなっております。そしてさらに身分差の下剋上で、獣人攻の異種間恋愛という、贅沢設定てんこ盛り仕様です。
前巻で国から追われる身となった元将軍の獣人・トラヴィスと、王子・ニコルですが、身を寄せた国も攻め込まれて危険にさらされてしまいます。そこで、さらに北の大国に援助を求めるべく、王子と獣人はふたりきりで旅立ちます。
何があっても王子を守ると事あるごとに決意するトラヴィスですが、何しろ脳筋寄りの軍人なのでいろいろと危なっかしいことこの上ありません。実際にかなり危険な旅で、野盗やら賞金首狙いの連中やらから、実にバラエティ豊かな敵に襲われます。
そんな中、通りすがりのライオンの獣人と猫と人間のハーフのカップルに助けられ、紆余曲折の末、護衛として雇うことに。
将軍と王子のカップルもなかなか突っ込みどころが多いのですが、このライオンと猫もちょっと配線が狂った感じでいい味出してます。護衛として雇われた最初の夜、狭い相部屋の二段ベッドの上の段でギシギシ始めちゃうんですから本当になかなかです。クセのあるのが4人も集まって旅をするんですから、多少変装しても、あまり意味がありません。しょっちゅう襲われる羽目になります。
緊迫感あふれる道中のはずなのに、肌色シーンのサービスに余念がないのはBLの鑑と呼ぶべきでしょうか。受同士の夜の相談やら、トラヴィスの発情期ネタやら、危機的な道中のはずなのに彼ら、とてもよくお洋服を脱いでおりました。本能に忠実なメンバーがそろい踏みで、腐女子としては大変美味しく頂きました。
もっともシリアスな設定はそのままなので、人間と獣人の対立の激化や、差し向けられる追手のレベルアップなど、状況は予断を許しません。
どうやら3巻で完結の予定っぽいですが、結構盛大に広がった風呂敷が果たしてあと1冊できれいにまとまるのか少し心配です。1巻の発行が2018年なので、2022年くらいには完結するはず……。気長に最終巻を待つ所存です。
ちょっと抜けてる、夜の持久力は抜群の獣人攻の将軍が最終的にどこに落ち着くのか、個人的にはそこが一番楽しみです。ニコル王子に、頭の切れる参謀が現れることを願ってやみません……。
©高永ひなこ/リブレ出版