2020.04.22
100人の運命の女の子と愛し合って幸せにならなければいけない、究極のハーレムエンドラブコメディ!『君のことが大大大大大好きな100人の彼女』中村力斗, 野澤ゆき子【おすすめ漫画】
『君のことが大大大大大好きな100人の彼女』
100人の運命の女の子と愛し合って幸せにならなければいけない、究極のハーレムエンドラブコメディ
少年向けラブコメディの場合、大体複数人の女の子が登場し、そのうちのメインヒロインとくっつくのが大多数。そこを打破したのが、ギャルゲー的マルチエンディング形式の『ぼくたちは勉強ができない』や『神のみぞ知るセカイ』などのマンガ。登場するヒロインは捨てられることなく、ちゃんとハッピーエンドを迎えている。
では逆に、全ヒロインが決して悲しい思いをせず主人公とくっついて、いわゆるハーレムエンドへ一直線だったらどうなるのか。このマンガは「全員が幸せな世界」を目指す作品だ。
生まれてから100人に振られた愛城恋太郎(あいじょう・れんたろう)は、彼女が欲しくてたまらなく、恋の神様に祈り続けていた。すると神様が突如あらわれ「おぬしが高校で出会う運命の人は100人もおるのじゃ!!」と言い出した。
あまりにもおいしい話だったが、全ての運命の人である女の子と愛し合って幸せにならなければ、選ばれなかった人間は不幸な目にあって死ぬ、という事実が発覚。つまり恋太郎は運命の人全てと付き合わねばいけないらしい。
奇しくもその日、巨乳ぶりっ子の花園羽香里(はなぞの・はかり)と極度のツンデレ院田唐音(いんだ・からね)の2人に同時に惚れられたばかり。猛アピールする2人、どちらかを選べばどちらかが死ぬ。
恋太郎は嬉しさと苦しさの狭間で悩み続けた結果、両方と付き合うことを決意する。
この作品の世界でも、二股は悪だ、という倫理観が存在している。ぶっ飛びキャラだらけではあるが、だからといって女の子の恋愛描写が雑なわけではない。恋太郎が各々の気持ちを大切にしながら、どう全員を受け入れていくかに真剣に挑んでいく様子が見どころだ。
羽香里と唐音も当然お互いを最初は敵視しているものの、恋太郎が真摯に向きう中で、友情が芽生えていく。気がつけば恋太郎なしでも自然に一緒にいる関係にまで発展。インモラルな二股は、優しい共存関係へと変化していく。
恋太郎は自分から話すのが苦手な、でも運命の人なのは間違いなさそうな女子に自分からアプローチするようにもなる。愛し合えず片思いのまま不幸にさせてしまったら、死ぬからだ。
最初は振り回されっぱなしの恋太郎が、それぞれの女の子の思いを大切にしつつ、かつ相手に心を開いてちゃんと愛し合うよう成長していく様子が、ものすごいスピードで描かれる。といっても1巻ではまだヒロインは3人だが……。
内容自体は超ハイテンションなドタバタコメディ。頭のネジが吹っ飛び気味の羽香里と、比較的常識人で突っ込みまくる唐音のバランスも、漫才のようになっていて楽しい。
ヒロインたちもいい子ぞろいなので、ハーレム化していく女の子同士でもお互いをどんどん好きになっていく。「幸せ」は恋太郎とだけではなく、女の子同士でも重要なのだろう。
全員のハッピーエンド以外認められないのが大前提の設定なので、非常に安心してハーレム甘々を享受できる作品。多重恋愛なんて許せない、という人を納得させるくらいに女の子たちが幸せになっていく内容、どこまでいけるのか見ものだ。
©野澤ゆき子,中村力斗/集英社