2020.07.03
【インタビュー】『やんちゃギャルの安城さん』加藤雄一「頑張る人を応援する優しい存在として、安城さんを描いている」
「安城さんが実際に目の前にいる」ような気持ちになってほしい
──他にも魅力的なキャラクターがたくさん出てきます。まずは安城さんの友人たちについて。
加藤:豊田は、安城さんとは別ベクトルで自分の好みが反映されています。クールで魅力的な女の子が可愛いアイテムを好きってギャップも萌えるなーって肉付けしていって今に至っています。
知多は、「何を考えてるかよく分からない女の子」を出してみたいって興味本位から(笑)。ショートカットで中性的に見える子も自分のタイプなので、知多の出番もそのうち描けたらいいなって思っています。
──小牧先生もチャーミングです。
加藤:小牧先生も好きなタイプの女性です。さっきから全員、好みの女性しか出してない感じなんですけど(笑)。保健室に通っていたエピソードは実体験も入っていて、まあ小牧先生みたいな女の先生はいなかったんですけど……。
──いなかったんですね、そこは(笑)
加藤:でも保健室のおばちゃんとかおじちゃんがすごく優しくて嬉しかった記憶があって、学園モノを描くなら必ず入れたい要素でした。
──そういった魅力的な女性を描くコツはなんでしょうか?
加藤:もう本当に自分が好きなタイプというか理想というか、目の形だけや指先ひとつに至るまで「これがいい!」を押し通して、好きな気持ちを全面に出して描ききるのが大事かなって思います。
──マンガを描く時の難所はどこでしょうか?
加藤:いつも構図にすごく悩んで、ネームに時間がかかってしまいます。読者には「安城さんが実際に目の前にいる」ような気持ちになってほしい。
どういう構図で安城さんが画面のこっち側を見てくれてたら、より「目の前にいる」感じが出るかな? っていつも時間がかかる部分です。
──そのお話、具体的に伺いたいです。
加藤:安城さんが読者側を見ている主観の視点と、瀬戸くんを見ている客観の視点があって、そこは意識的に変えてます。「ここは客観的に見てほしい」「ここは目の前にいる風に」って。
加藤:例えばこのコマでは、本当にフラペチーノを、瀬戸くんっていうか「君」にあげてるんだよ、「読んでるあなたに今あげてますよ」って気持ちで描いてますね。
──ゲームの『ラブプラス』っぽい感覚を演出されていますね。
加藤:『ラブプラス』は初代を遊んでいて楽しかったので、もしかしたらそういうのが無意識に活きているのかもしれませんね(笑)。
──構図の話でいえば、学園モノで一対一が基本になると、カメラアングルのパターンが限られてしまいがちですが、どのように工夫されていますか?
加藤:はい。構図とか立ち位置がどうしても単調になりがちなのは難しいところです。でも安城さんが動いてくれるキャラクターなので、ポーズや動き自体にバリエーションを付けられます。安城さんが今までに見せてないポーズをさせて乗り切っていますね。
──そこは安城さんのアクティブさに助けられているというか。
加藤:瀬戸くんは基本的に座っているだけでバリエーションを作れないので、頼りは安城さんだけだなって(笑)。
2話目で、安城さんのキャラクターがピタリとハマった
──加藤先生と担当編集者が選ぶお気に入りのエピソードを教えて下さい。
加藤:Twitterに上げていたマンガを改変して描いた1話目と2話目には、強い思い入れがあります。ネームが出来た時に「安城さん、ここにいるわ」って感じて、達成感を味わいました。
あの1話目、2話目で1ミリも妥協しなかったから、今も連載が続けられている。そういう作者的な目線で、1話目と2話目はすごくいいなあって。
──トイレでエッチな声を出すエピソードがインパクト大きいです(笑)
加藤:トイレで掃除していた、汚れている瀬戸くんの手を握って走っている安城さんを思いついた時に、「コレだ、安城さんの優しさは!」って。「頑張っている人を応援できるって、こういうことなんだよ!」ってかっちりハマったんです。
担当編集:私は1巻のコップの回が好きですね。私の実体験として、高校時代にヤンキーっぽい子とかギャルの子と仲良かったんですけど、彼女たちが「遊んでる」みたいな偏見の目で見られることがあって。
そういう偏見に対して、瀬戸くんがコップの喩えで自分の考えを述べる。青臭いとか思わずに、真っ直ぐ断言する瀬戸くんの良いところがすごく出ていて、安城さんが惹かれる良い回でしたね。
加藤:僕も瀬戸のしっかりしたところを描きたくて、この話で固まった感じがします。
──担当編集から見た、本作の魅力はどこにあると感じていますか?
担当編集:やっぱり安城さんの自由さ。たいていの人が自分でルール作ってしまったり、枠をはみ出せない、ウジウジしてしまう時に、安城さんは軽々と自分が作った枠を超えてしまう。そんな自由さや、カッコいい所を見せてくれる安城さんの明るさがすごく魅力的です。
そんな安城さんを見て、成長していく瀬戸くんを見守りたいのと同時に、「こういう学校生活を送りたかったな」って誰もが持っている青春への後悔をやり直させてくれる部分が刺さります。こんな青春送りやがって、なんて羨ましいんだって(笑)
──100%同意しか出てこない回答です(笑)。次に、読者からの意外な反応はありましたか?
加藤:たまに「犬山が好き」って声をいただくことがあって、犬山は人気ないだろうと思っていたので、好いてくれる人がいてくれて嬉しいです。
──犬山くんはキモい担当ですよね(笑)
加藤:発言はキモくしてますね(笑)。本気でやってるヤツって空気を読めない部分があるから、周りからキモがられるんだろうなって。教室で「おっぱい」って声を上げちゃうみたいな(笑)
──本人が真剣だからこそ、ですよね?
加藤:はい。一切ふざけてない真摯な感情なんですが、真剣だからこそ周囲から見ると「いやお前、ほんとキモイわ」って厄介がられる存在。でも瀬戸から見れば、やりたい事を持っている犬山を羨ましいと思っている、だから仲がいいんだろうなって。
脚を描いている時と、読者からの反響がモチベーション上がる瞬間
──『安城さん』を描いていてモチベーションが上がるのはどこでしょうか?
加藤:作画的には、安城さんの脚を描いている時が僕は一番楽しいです。脚を見せる構図がバシッと決まった時は、大変だけどめちゃくちゃ気持ちいい!
加藤:それと「今週も安城さん良かったです」「今回も安城さんすごい可愛い」って読者さんから声をいただけるのが、すごくモチベーションが上がる瞬間です。
──読者の声援は大事なんですね。
加藤:以前にマンガを描いていた時は感想をほとんど貰えなかったので、反響がないと「俺がこれを描く意味ないんじゃない?」って不安になるんです。『安城さん』に関しては、読んでもらえている実感が湧いて嬉しいですね。
どんな仕事でも大変ですが、マンガを描くのも大変な作業なので、自分が好きなものを共感してもらえている喜びを強く感じるので、ありがたい限りです。
加藤雄一先生が影響を受けたマンガ、今注目しているマンガは?
──ここからは加藤先生のパーソナリティについて伺います。子供の頃からマンガはお読みになっていましたか?
加藤:小2くらいからジャンプばかり読んでいて、当時は『テニスの王子様』や『NARUTO』にハマっていました。『いちご100%』とか『I”s』(アイズ)も好きだったんですけど、読んでいることを周りに知られたくなくて、恥ずかしくて言えなかったことを覚えています。
───お色気マンガは、なかなか同級生に言えませんよね(笑)
加藤:それで中学の時に矢吹健太朗先生の『BLACK CAT』にハマって、その時は周囲に言えたんですよ。「カッコよくて好き」って言いつつ女の子を見ていて、フェチに目覚めたりしました(笑)。
『DEATH NOTE』も好きでしたし、あと自分の中で大きかったのは広江礼威先生の『BLACK LAGOON』。レビィをはじめ強い女の子がたくさん出てくるのでハマりました。
───TSUTAYAコミック大賞でご自身以外の作品へ投票するとしたらどの作品を選びますか? 連載中のマンガで5巻以内の作品がレギュレーションになります。
加藤:『あゝ我らがミャオ将軍』がめっちゃ好きなんですよ。コルドナは独裁国家で怖いってイメージをみんなが持っているのに、ミャオ将軍だけが持ってない。あの可愛さで「そんな事無いぜ」ってやっているバランスがすごい良くて。メルヘンなんですけど、完全にメルヘンの世界じゃない。そのバランスがすごく良いですね。
それから『塩田先生と雨井ちゃん』、お気に入りです。先生と女子高生による禁断の恋愛なんですけど、コメディチックですし、恋愛もしっかり描かれています。
コメディとシリアスのバランスには僕も影響を受けていると思います。それに絵が魅力的で、こういう女性的な絵は憧れています。
『自転車屋さんの高橋くん』も絵から入りました。内容も好きなんですけど惹かれる絵柄です。
───マンガ以外のご趣味を教えて下さい。
加藤:昔のTVCMを見るのが好きで、「1980年代ってこんな温泉旅館あったんだなー」とか、過去に思いを馳せるのが好きです。
───TV番組じゃなくてCMの方に惹かれるんですか?
加藤:CMの方が好きですね。一つの商品をどう面白おかしく見せるかってアイディアに溢れているのが伝わってくるんです。僕は1988年生まれなんですけど、1970年代とかのCMで懐かしくなるんです。生まれてもいないのに(笑)。例えば、愛知県の「青柳ういろう」のCMは、歌で頑張ってる感じが昔から好きですね。
───ローカルCMって個性的な歌が印象に残りますよね。「ウォークマン」のCMとか、当時の最先端の商品が、今見ると懐かしくて楽しい気持ちは共感できます。
加藤:「ウォークマン」のCMめちゃいいですね。あと富士通の「FM TOWNS」っていうパソコンのCMで、宮沢りえさんが出ていて「BAD COMMUNICATION」(B’zの楽曲)が流れてるCMとか、「ミノルタX7」のCMで宮崎美子さんが水着になっていくCMとか、好きですね。
───あのCMは当時、ちょっとエロいって話題にもなっていた記憶があって懐かしいです(笑)。それでは、最新刊6巻の見どころや告知についてお願いします。
担当編集:6巻は冬休み編に突入して、大晦日とか大掃除とか初詣とか、イベントが満載です。高校生だから一緒に年越しすることはできません。離れた所にいるけど一緒にいたい、そんなもどかしさ、切なさ、青春っぽさが詰まっています。
加藤:冬休みの回なので、安城さんの私服がめちゃくちゃ登場します! 髪型も変えているので、安城さんの新たな可愛さを見てもらえたら嬉しいです。それと6巻のクライマックスに重要な話が載っていますので、ぜひ読んでください。
担当編集:それから、スピンオフの『安城さんの学校の保健室の小牧先生』 第1巻、『やんちゃギャルの安城さんたち 高1編』第2巻も7月13日に同時発売します!
また、コスプレイヤー七星めろんさんとがコラボした、2.5次元ギャルグラビアのデジタル限定写真集『七星めろん やんちゃギャルのメイドコス』(DMM独占配信)も同時配信で、
7月27日にはコラボグラビア電子写真集第2弾として、モデルの茜子さんの『やんちゃギャルとイケナイコト』も配信開始予定です。
さらに7月13日発売の連載雑誌「ヤングキング」15号もコラボグラビア表紙&巻頭カラーを飾ってます!
このグラビアは、巻頭は橋本梨菜さん、巻末は七星めろんさんとのWコラボとなっていますし、加えてコラボグラビアの小冊子付録も付きます!(橋本梨菜さん、茜子さん、しぴたんさん、伊藤桃々さん、大間乃トーコさん収録)
まさに、安城さん尽くしとなっております。どうぞよろしくおねがいします!
───最後にメッセージをお願いします。
加藤:今回、TSUTAYAコミック大賞に選んでいただけて、とても嬉しいです。引き続き安城さんの可愛らしい魅力を一緒に共感していただけたら嬉しいです。これからもよろしくお願いします!
───ありがとうございました。
作品情報
第4回 みんなが選ぶTSUTAYAコミック大賞
\「第4回みんなが選ぶ #TSUTAYAコミック大賞」受賞作品発表!/
8位は加藤雄一 @kotan1988 先生『#やんちゃギャルの安城さん』✨️https://t.co/iyajWnPyHH pic.twitter.com/8lZKiFljle
— comicspace / コミスペ! (@comicspacejp) June 17, 2020
『やんちゃギャルの安城さん』がトップ10にランクインした『TSUTAYA×comicspace 「第4回 みんなが選ぶTSUTAYAコミック大賞」』は、次にヒットする「ネクストブレイク作品」を読者投票で決めるマンガ賞です。結果発表ページでは、大賞作品や上位10タイトルに加え、一緒に投票されたタイトル、投票が多かった人気作品をご紹介しています。
サイン入り色紙を読者プレゼント!
今回のインタビューの実施を記念して、加藤雄一先生の直筆サイン入り色紙を1名様にプレゼントいたします!
下記の応募要項をご確認の上、どしどし応募くださいませ!
プレゼントキャンペーン応募要項
【賞品】
加藤雄一先生の直筆サイン入り色紙を1名様にプレゼント
【応募期間】
2020年7月3日(金)~2020年8月3日(月)23:59まで
【応募方法】
以下の2点の手順にしたがい、ご応募ください。
①コミスペ!公式ツイッターアカウント @comicspacejp をフォロー!
②公式アカウントよりツイートされた以下のプレゼント情報を、「#安城さんプレ」とハッシュタグを付けて、コメント付きリツイート!
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『#やんちゃギャルの安城さん』加藤雄一先生の直筆サイン入り色紙を1名様にプレゼント!✨️
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— comicspace / コミスペ! (@comicspacejp) July 3, 2020
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★該当ツイートに、コメント付きRTでインタビューへの感想や『やんちゃギャルの安城さん』へのアツい思いを書いていただければプレゼントの当選確率がアップ!
★更に、漫画の口コミ情報サービス「comicspace」で書いた『やんちゃギャルの安城さん』のレビューへのリンクを該当ツイートに付けて、コメント付きRTしていただければ更に当選確率がアップ!
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©︎加藤雄一/少年画報社
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