2020.09.04
親の意思で結婚させられ顔もあわせることなく10年経ち、初対面の相手に離婚を申し出るが…!?『初めましてこんにちは、離婚してください』七里ベティ,あさぎ千夜春【おすすめ漫画】
『初めましてこんにちは、離婚してください』
七里ベティ先生原作、あさぎ千夜春先生作画の『初めましてこんにちは、離婚してください』の単行本が発売されました。
電子では結構前に刊行されており、ここにきて単行本化されたようです。帯には「衝撃的大ヒット!!」の煽り文句が書かれているのですが、このタイトルですから、そりゃあ気になりますよね。
こんなあらすじ
物語の主人公は、旧家の令嬢・莉央。16歳の誕生日に、親の意思で勝手に見知らぬ相手と紙切れ1枚で結婚させられてしまいます。夫となったのは、IT企業のイケメン社長・高嶺。
結婚して以降、一度も顔を合わせることなく10年が経過したある日、ついに莉央は上京し、初対面の彼に離婚を申し出るのでした。しかし高嶺は、彼女の美しい姿に驚きつつ「離婚する気はない」と揺らがず、それどころか同居を持ち掛けてきて……というストーリー。
出会って即離婚宣言というのは、こういう背景があるから。結婚を持ち掛けた高嶺の真の狙いというのは明らかにされないのですが、多額の資金を支払うことによって、困窮する名家の「過去」を手に入れた高嶺は、「一緒に住む必要は無いし、好きなように生きたらいい。一切関知しない。」と宣言し、入籍という事実だけ手に入れます。
気遣いというよりは面倒を避けた形かと思われますが、それが結果的に莉央の反感を買い、支払われたお金と離婚届を持って、高嶺の前に現れます。
世間知らずな超絶ピュアお嬢様
この行動だけを見ると、なかなか気骨溢れるお嬢さんかと思いきや、ふたを開けてみると「世間知らずの箱入り娘」という感じで、到底一人で東京暮らしなどできなそうなご様子。
祖母の介護という理由があり大学には進学せず、また就職もしたことがない=ずっと家にいたため、外の世界の常識がインプットされていません。
上京を機に初めて携帯電話を持ったので操作方法がわからないとか、ひとり暮らしをしようと息巻いて物件を探すも、おとり物件に振り回されたりとか、守ってあげないとヤバいぞ…という匂いがプンプンする、ピュアなヒロインでございます。
そんな彼女の様子を見て放っておけなくなったのか、ひょんなことから高嶺は同居を提案。渋る莉央に対して、部屋を提供する交換条件として料理を作ってほしいと提案し、合意をさせます。こうして不意に始まった同居生活を通して、2人は10年越しに初めて夫婦っぽい生活を送ることに。やがて互いの魅力に気づきはじめ……というのは、想像に難くありません。
軽やかに展開
10年間放っていたのに、会ってみたら途端に好きになってしまう高嶺も高嶺なのですが、散々離婚したがっていたのにも関わらず、高嶺の簡単な提案にホイホイ乗っちゃう莉央も莉央でチョロいというか、こう感情の移り変わりが非常にスピーディで、悪く言えば「軽く、浅い。」。
それは一方で、物語が停滞することなく軽やかに展開する布石にもなるわけで、実際読んでいても物理的な動きが乏しい中でも感情の揺れ動きが激しいので、全く飽きが来ないし、楽しいんですよね。
この辺は賛否両論あるかと思うのですが、スマホなどで読むにはうってつけでしょうし、コミックシーモアでランキング1位になるのも納得。個人的にはケータイコミック受けするような作品って苦手だったのですが、本作に関しては面白くて、読み終わって即次巻買っちゃいました。
©七里ベティ,あさぎ千夜春/スターツ出版