2020.09.11
「テンプレ」から脱落したアラサー女子と、青春をひた走るピュアな中学生男子が織りなす恋と人生のリスタート!『リタイア女子の初恋リベンジ』梶ヶ谷ミチル【おすすめ漫画】
『リタイア女子の初恋リベンジ』
梶ヶ谷ミチル先生の『リタイア女子の初恋リベンジ』の第1巻が発売されました。
中学教師・泉は、29歳にして突然婚約中の彼氏に振られ、そのうえド田舎の中学に転勤することに。不幸のドン底で号泣していたところを担当クラスの生徒・久我くんに見られてしまう!
生徒に弱みを握られて焦る泉。だけど、久我くんは「大人が泣くのだって恥ずかしいことじゃない」と言ってくれて……。「テンプレ」から脱落したアラサー女子と、青春をひた走るピュアな中学生男子が織りなす恋と人生のリスタート。
不安定な涙目ヒロイン
「テンプレ」って何だって話ですが、ハイスペックな相手との結婚という「テンプレ的な成功パターン」という意味合いと同時に、その道に彼女を導いてきた「生き方」を表しています。無難で小綺麗な格好をして、いつだって空気を読んで上手く立ち回ってきたというスタイル。それが、婚約者から「つまらない」の一言を浴び撃沈。
相手の顔色をうかがい、周りの目を気にして生きてきたため「自分の軸」がありません。
それゆえ、新生活が始まっても、自分として「こうしたい」というものもなく、フワフワとスタート。加えてメンタルも弱っているので、ちょっとしたことで泣いてしまったり、逆にちょっとしたことで気分が上がったり。なかなか不安定なヒロインです。
ギャップのあるヒーロー
そんな彼女の心に爪痕を残すことになるのが、担当クラスの生徒である久我くん。赴任前に泣いているところを目撃されるというなかなかに気まずい出会い方をするのですが、そのことを誰かに言いふらすこともなく、さらには優しい言葉をかけて励ましてくれます。
以降も何かと泉のことを気にかけ、フォローをしてくれる心優しい男の子。田舎の男子中学生らしく、ため口でちょっとお行儀が悪い感じはあるのですが、とにかくこの包容力がね。いいですよね。気が利くというか、大人っぽいというか。
一方で、途中からはあからさまに泉のことを意識してて、その姿を目で追ったりとか、「年上に憧れる年頃の男子生徒」感がすごかったりと、ギャップがまた味わい深さを生み出しております。
どうやって泉に振り向いてもらうのか
泉は彼に救われてはいるものの、恋愛対象としては一切意識していない状態。一方久我くんはバリバリ好きって感じになってます。さて、ここからどう2人の仲は進展していくのか。
田舎町という閉鎖的な環境というところも、色々と障壁になりそうで想像が膨らみます。『中学聖日記』という偉大なる先行者がいるジャンルではありますが、こちらの方がよりライトに楽しめる雰囲気もあり、あっちで振り落とされてしまった方にも是非お勧めしたいところ。要注目の一作です。
©梶ヶ谷ミチル/リブレ