『ディレイル』

雰囲気満点の絵柄で楽しむ、幼馴染の執着愛ですよ～！

10年来の幼馴染同士、友達としてやってきたはずですが、攻・ハルはそれどころでは無い執着心を抱いていたという。まんまと友達の立場を利用してルームシェアに持ち込み、あろうことか「節約」を言い訳に、見た感じただのシングルベッドで毎日一緒に寝ちゃってるんですよ。

寝返り打てなくない！？ 疲れ取れないし腰痛まっしぐらよ大丈夫！！！？ というかいくら無防備天然受ちゃんであろうとも、シングルベッドに大学生の男二人で寝るよう求めてくる友達のことは不審に思ってほしいところです。

幼馴染を落とすために、綿密に計画を練り、罠を仕掛ける陰険臆病なハルですが、天然な受・光は軽々とその罠を飛び越えてきます。

セフレの存在を匂わせて、光に、「女の子みたいに触れてほしい？」と迫り、そのままいただいてしまいます。

都合のいい友達の一線を越えてしまったあとの光の反応が、「どうしよう？ 俺ハルのものになれて嬉しい」です。

君たち大丈夫……？

光は嫌われたくなくて周りに流されながらも誰にでも笑顔で接してしまう八方美人タイプで、嫌われない代わりに誰の一番にも慣れないことをずっと悩んでいました。なので、ずっと親友だったハルが一番に自分を求めてくれてとても嬉しかったんですね。ザ・共依存。

お互いに寄りかかりまくって成立してしまったこの若いカップルの行く末が、心配でたまらないのですが私だけでしょうか。ハルは好きを拗らせて粘着系の執着攻になりはてていますし、光は求められたことがうれしくて、それを恋だと判定していましたが、本当にそうなの？ と外野ながら気になって仕方がありません。

きっとまだ彼らは若いので、これからいろいろと壁にぶつかったり喧嘩したりしながらやっていくんだろうなと思いつつ、このカップルの10年後に思いを馳せてしまうのでした。ジュネと呼ぶほど仄暗い感じはないので、それほど警戒せずに執着攻と天然受の恋を楽しんでくださいね。

©相葉キョウコ/祥伝社