2021.01.18
年の差58歳のふたりがBLを介して出会い、友情を育んでいくガール・ミーツ・ガール作品!『メタモルフォーゼの縁側』鶴谷香央理 【おすすめ漫画】
『メタモルフォーゼの縁側』
──おばあちゃんが出会ったもの、それはBL。──
こんなアオリ文句で1巻目が始まったお話でした。75歳と17歳という、実に年の差58歳のふたりが、BLを介して出会い、友情を育んでいくガール・ミーツ・ガール作品です。
twitterから始まり、2018年に第1巻が発刊。そして元号をまたいで令和3年にこの5巻をもって完結を迎えました。
「好き」の対象が同じなら年の差なんて関係ない! 年代を超えて盛り上がる萌え話に、本の外側からずっとキュンキュンしながら楽しんでいました。
彼女たちの共通項は「好きなBL作品」という1点。それ以外は、年齢も育った環境も、人生の残り時間も違う二人です。
趣味の話を中心に交流し、友人になり、楽しくすごす彼女たちがとても愛おしくて大好きでした。自分とは違う環境にいる相手のことを思いやりながら、「好き」を共有できる関係が本当にとても素敵で優しい気持ちになれるのです。
さて、初めての作品を完成させた主人公のうららと雪は、イベントに人生初のサークル参加を果たします。
前半1冊も売れないのですが、雪が疲れてしまい(75歳でサークル初参加して疲れないわけがないのです)お茶に中座し、うららもそれについていき、結局そのまま撤収することになりました。
その撤収作業中に2冊、本が売れたのです(買ってくれた人はまさかの人物です、ぜひ本編で確かめてみてくださいね)。
イベントの後、うららは本格的に受験勉強を始めますが、なかなか勉強に身が入りません。そんな中、二人が出会うきっかけになった作品がついに最終回を迎えます。
そう、75歳の老婦人が、BLコミックスの刊行速度の遅さに驚いて自分の予想寿命で割り算し、「○歳まで生きたら○巻まで読める……○歳までがんばろう!」と涙ぐましい決意をにじませていたあの作品です。
これは本当に完結してくれてほっとしました。そろってサイン会に当選してイラスト付きサインをもらった後、萌え語りのお茶をするくだりが最高です。心から優しさが湧いてくる気がします。
それから、雪は海外に住む娘から同居に誘われ、お試しで短期間行ってみることになります。彼女たちの間に物理的に距離ができることになりますが、一抹の寂しさを感じつつもこのまま友情は続いていくのだろうなと思えるラストでした。
実写映画化も決まっているこの作品、これからもまだまだ目が離せそうにありません。
©鶴谷香央理/KADOKAWA