2021.02.12

タワーマンションのマンション管理組合で動き出す、縦横複雑なオトナの三角関係ラブストーリー!『200m先の熱』桃森ミヨシ【おすすめ漫画】

『200m先の熱』

菜の花の彼』などを描かれている桃森ミヨシ先生の新連載『200m先の熱』の第1巻が発売されました。まずはあらすじからご紹介しましょう。

吉家紬(きっかつむぐ)(28)はタワーマンション2階で1人暮らし。在宅で和裁の仕事をする吉家に、初体験の相手・真霜(ましも)が仕事を回してくれている。男性のヘタレな姿にときめく傾向があった吉家は、ある日マンション管理組合の役員に選ばれ、平良(ひらら)という男に出会うが…!? 吉家の家から200m先に住む真霜、200m上に住む平良。タテ・ヨコ恋愛トライアングル開幕です!

マンション管理組合

というわけで、アラサー女子の恋愛ものです。物語の舞台となるのはタワマンで、恋が動くのはマンションの管理組合。

そういえば管理組合って市街地住まいであれば非常に身近な存在だと思うのですが、こういう恋愛もので使われたの見たことないな、と。それもそのはずで、管理組合への参加は賃貸ではなく持ち家で、そうなると入居者の大半は所帯持ちの既婚者。不倫や奥様間のマウンティングの舞台に使われることはあれど、純粋な恋愛の舞台に選ばれることは無いというわけ。

かくいう私も管理組合に入居早々に入れられた実体験があるのですが、組合員の中でも一番年下で、やはり全員所帯持ち。上になるとすでにリタイア済のご夫婦とかもいらっしゃいますから、確かに普通の感覚だとなかなかここを女性向け作品で使おうという発想にはならないよなぁ、と。ごくごく身近だけれど、なかなか使われないものを巧みに、かつ不自然でない形で物語に取り入れているあたり、さすがだなぁと唸らされます。

管理組合で出会いが生まれることもある

さて、そんなタワマンになぜ20代の女子が一人暮らし出来ているのかというと、両親の遺産を引き継いだから。タワマンを購入し両親とともに越してきて間もなく、事故で死別。以来部屋を仕事場として使いつつ、おひとり様の生活をしているというわけ。ご近所とのお付き合いも乏しく、話し相手はもっぱら仕事の取引相手である元お隣さん・真霜と飼い犬ぐらい。

そんな平穏地味な生活に変化をもたらしたのが、管理組合。突然の任命にあたふたしていたところ、何やら同じようにあたふたしている青年が一人。それが、同じくおひとり様でマンションに住んでいる平良。なんとも頼りなく純粋な雰囲気がある彼は、ぱっと見年下なのですが、実は年上で、ドラマなどの作中曲を手掛ける売れっ子作曲家という優良物件。何かと集まることも多いマンション管理組合ですから、その関係は嫌でも深まり……といった展開。

動きはないけどあくまで三角関係

これだけ切り取ると完全に相手役は平良なんですけれど、ここに入ってきそうな匂いを醸し出しているのが真霜の存在。

今では仕事を回してくれる百貨店の社員さんと、受注する和裁の職人というビジネスライクな間柄の二人ですが、冒頭にもあった通りは初体験の相手という設定で、それが色々と尾を引いていそうな気配。今のところ一切恋愛の匂いはしないのですが、こんなの中盤以降めんどくさいことに使ってくるの確定してるじゃないですか。分かりやすすぎる三角関係への布石でございます。

相手役は二人とも仕事で実績を残す優良物件なのですが、その性格は正反対。真霜はとにかくキッチリ真面目な優等生タイプ。一方の平良はなんというか犬っぽい感じ。アラフォーなのに幼さ残す感じが可愛らしいというか。

まあそこは好みでどうぞという感じなのですが、ヒロインの吉家はヘタレ男が好きというちょっと変わった嗜好のの持ち主で、これがまた恋模様の行方を読めなくする要素になるわけで、現時点で着点が全く分からない。この辺は桃森先生ですから然るべき展開で面白く盛り上げてくれることでしょう。少し不器用な大人たちの縦横複雑な恋模様を、温かく見守りましょう。

この記事を書いた人

いづき

このライターの記事一覧

無料で読める漫画

すべて見る

    人気のレビュー

    すべて見る

        人気の漫画

        すべて見る

          おすすめの記事

          ランキング