『神様ってやつは』

現代舞台の和風ファンタジーBLです。

カップリングは、「見知らぬ少女を助けて死にかけた大学生×大学生に惚れてた神様」ということで、異種間恋愛ものとなっております。

ちなみに神様は人の形を取っていますが、原型は竜なので爬虫類です。

神様の名前は白銀といい、彼は幼い頃に、人間には見えないはずの自分を見た子供に一目惚れしていました。その子供が大学生になったとき、小さな女の子を庇って交通事故に遭い、瀕死になったのを見捨てられず、自分の力を後先考えずに注ぎ込んで助けてしまいます。

衰弱して床を離れられなくなった白銀は、狛犬が連れてきた一目惚れの相手・陸と再会します。

神様の力を与えられて助かったはいいけれども、自分を助けたせいで神様が衰弱しているのは放っておけずに力を少しずつ返すことにした陸。口移しで返していけばいいというのになんだかムラムラきてしまって、命の恩人を押し倒してしまいます。

1週間前に死にかけた時に成人男性としての理性は死んでしまったのでしょうか。いくら何でも酷すぎませんか陸よ……。白銀は陸に惚れていたので合意といえば合意なのですが、陸は相手が自分に惚れているとは知らないのでやっぱりギルティでは？ と脳内判定はアウトに傾く急展開です。

陸が触れるたびに恥じらう神様が可愛くて、どんどん白銀に気持ちが傾いていく陸。ちゃんと好きって自覚するまで待てなかったのか……と思ってしまいますが、そもそも神様と人間の恋愛はタブーだったようです。

白銀の先代は、人間に裏切られてそのショックで大洪水を起こして自分が守っていた地域を更地にた挙句に邪神と化してしまいました。裏切ってしまった人間は罪深いけど、巻き込まれた無関係の当時の人々が気の毒でなりません。

神様が人間に心惹かれるのはタブー視されているのですが、彼らの気持ちは止まりません。邪神となった先代は人間に転生しており、陸と白銀にあれこれと絡んでくるのですが、最終的には愛の力が勝っていい感じのカップルになってくれました。

これから出てくる寿命の違い問題とか、白銀に仕えている狛犬が抱えているトラウマが克服されるのかとか、ダメな関係が成立した後、神様上層部が何か言ってきたりしないのか、気になることがたくさんあるのと、邪神さんにも幸せになってほしいのとがあるのでぜひ続編を希望したい所存です。

それほど重くなりすぎず楽しめる人間と神様の恋物語なので、気軽に手を出してみてほしいと思います。

©加奈/海王社