2021.03.01
幼馴染同士の友情から恋情への穏やかなグラデーションを楽しめる、ド田舎が舞台の癒し系スローライフBL!『たんたんとタント』きはら記子【おすすめ漫画】
『たんたんとタント』
ド田舎が舞台の癒し系スローライフBL。家が隣同士の幼馴染で、兄弟のように家族のように育った同い年の少年2人の組み合わせです。
のんびりした田舎で、無邪気に団子になって遊んでいた男の子が、友達の好きから恋人になりたいの好きに。少しずつ変わっていく気持ちが丁寧に描写されていて、もう読んでいる気分は近所のおばちゃんです。
同い年で、同じ学校に通い続け、お互いの家に泊まったり一緒にご飯を食べたりする幼馴染のコタと瞬平。彼らはどこにでもいる幼馴染ですが、危ないから入ってはいけないと言われている空き家で「誰にも言えない」ことをしています。ちょっとエッチな秘密は、それだけでは二人の関係を変えてしまうほどのものではありません。
それでも瞬平は一足早くコタへの「好き」を自覚してしまいます。コタはずっと、今まで通り田舎で楽しく過ごせると思っています。
お互いの気持ちのずれが発生して、それが日常生活の中でぽろっと表面化するようになっていき、瞬平が告白することで関係性の変化に拍車がかかります。折しも進学か就職かというお年頃です。
考えたり決めたるすることがたくさんあるはずなのですが、作風と設定がのどかすぎて、基本的にあまり不安要素がありません。最終的には同じ大学に進学して一緒に家を出て、進学先で2人暮らしをするというところに落ち着きますし、そのころにはしっかり両思いです。
田舎あるあるの親問題も、本人たちが気付かないうちに親バレして、しかもお母さんズは何となく受け入れている雰囲気があります。なんという優しい世界でしょうか。
全編にわたってほんわか癒し系です。
友情から恋情への穏やかなグラデーションと、控えめな肌色シーンとが合わさって、なんだかものすごく疲れた気持ちが癒される作品になっている気がします。
BL初心者にもおすすめしやすい肌色具合ですので、普段読まない方で癒されたいなーという方にぜひ手に取ってほしいと思います。
©きはら記子/リイド社