2021.03.22
人間関係が限界まで拗れた相手を、それでも好きでそのことをうっかり自覚してしまった気が付いたら沼…な再会ものBL!『みちみちなるままに』じゃのめ【おすすめ漫画】
『みちみちなるままに』
ちょっと重めの再会ラブ。子どものころの夢ってなかなか叶わないものですが、今回のカップルはその点で明暗が分かれているのです。
「漫画家になる夢をかなえた男×絵の道を断念した男」、この組み合わせがすでにつらいし、この上に恋愛感情が絡んで、さらに思春期特有の不安定な揺らぎとか微妙な人間関係が化学反応を起こして大爆発です。
恋人同士になったのに、致しているところを目撃されたとたん、
「無理やりやられそうになった!」
と長内(受)に派手に裏切られた武田(攻)。そこから武田は強烈ないじめを受けます。もう最悪の学生時代です。
そんな状態のまま大人になって、漫画家になった武田と、絵を諦めて夜の仕事で生活するようになった長内は、同窓会で再会します。そこから始まる過去の回想と現在の再会からの進展でお話は進んでいくのですが、ベースがとてもシリアスです。
人間、やったことは忘れやすく、されたことは一生忘れない、というあれこれが両方から出てきて、実にお互いさまでどっちもどっち感が溢れていています。実際よくあるよねこういうの……というやったやられた、許す許さないの葛藤です。
人間関係が限界まで拗れた相手を、それでも好きで、そのことをうっかり自覚してしまった気が付いたら沼。
まさにそんなBLです。人間の気持ちや記憶とはかくもままならないものなのかと、頭を抱えながら読み進めた方は多いのではないでしょうか。
このカップルは最終的にはお互い様な感じで紆余曲折の末に妥協というか和解して、結局二人ともお互いが好きでくっつくんですが、しっかりハッピーエンドなんですが、爽やか系な青春の末にゴールイン! というフルーティーさはほぼありません。
どちらもどこかこじらせた大人になって、わりと心が傷だらけで、それでも離れられなかった……という、どこかJUNEな雰囲気が漂う内容で、それでも最後に両思いになることでBLに踏みとどまりました、というストーリーです。肌色シーンは多くはないもののやる時はしっかりやってます。
ちょっとディープめのが読みたいときにぜひどうぞ! な作品です。
©じゃのめ/茜新社