2021.03.23

TVアニメ化直前! 13巻よりはじまった「第2部」の物語からも目が離せない!! 『不滅のあなたへ』大今良時【おすすめ漫画】

『不滅のあなたへ』

いよいよ4月からTVアニメの放送がはじまる『不滅のあなたへ』。原作コミックは13巻から(厳密には12巻のラストから)「第2部」がスタートしており、これまでとは大きく変化した状況の中で、予想のつかない展開が続いています。

※「第1部」終盤の展開に関する記述があります。これから出来る限りまっさらな状態で『不滅のあなたへ』に触れたい方には、ここから先はまだ読まないことをおすすめします。

第1部「前世編」完結ののち、永い眠りについたフシが目覚めたのは……?

『不滅のあなたへ』の主人公は、”不死”の存在であることから”フシ”と名付けられた存在。フシは見知った相手が力尽き、倒れるとその相手の姿と能力を獲得できる性質を持っています。

かつては人間の姿を真似ながらも、彼らの感情までは理解することができなかったフシ。しかし、人の一生よりも遥かに長い年月の中、たくさんの人々やその想いに触れ、やがてフシにも人間と変わらない感情が芽生えます。いつからか、フシは人間が苦しまずに生きていくために自分にできることを模索するように。

そんなフシと人間の共通の敵が、謎の存在である「ノッカー」。ノッカーは生き物に寄生して支配することができ、その攻撃をフシが受けると、そのたびにフシの中にあった“人々の能力”“その記憶”がひとつひとつ奪われてしまうのです。

死という概念を超越した存在であるフシと、限られた時間の中で懸命に生きようとする人々とが関わり合うことで生まれていくドラマ。そんな人々の切実な願いを脅かし、フシに刻まれた大切な記憶をも奪うノッカーとの激しい戦い。本作の見どころを大まかに書き出すならそういった部分になるでしょう。

古代~中世の文明を模したような世界で繰り広げられた第1部「前世編」で、ノッカーとの激しい戦いに勝利したフシ。その後、彼は地上にまだ残るすべてのノッカーを滅ぼすため、地中に広く根を張るべく長い眠りに付きます。

共に戦った仲間たちに別れを告げ、ノッカーの殲滅だけに意識を集中させたフシが再び自我を取り戻したのは、気が遠くなるほどの時間が経過してからのこと。そして第2部「現世編」が幕を開けます。

第2部「現世編」では現代社会の病理が描かれる?

「前世編」では古代~中世レベルだった文明が、「現世編」では一気に現代日本を模した世界へと変化。フシはあまりの世界の変わりように戸惑いつつも、ノッカーのいない平和な世界が訪れたことに安堵します。

そしてこの世界で生きる人々の中に、かつてフシに異様な執着を見せていた一族の子孫がいることに気づくのでした。

その子孫の少女の名はミズハ。何をやってもすぐに上達し、容姿端麗で誰からも一目置かれる彼女ですが、何かに夢中になれたことはありません。また、支配的な母親の振る舞いへの鬱屈した想いも抱えており、いつからかひとりでいると「死にたい」とつぶやくようになっています。

そんなミズハの周囲で起きた、ある“奇妙なできごと”。違和感を覚えて調べはじめたフシとその仲間たちは、フシにすら知覚できない存在へと形を変えたノッカーが、いまもまだ世界中に存在し、人々の営みに影響を及ぼしていることを知ります。

差し迫った危機は起こさないものの、気づかぬうちに忍び寄り、人々の生活へと入り込んでいる第2部でのノッカー。それは殺し合いや死がいつでも身近にあった古代や中世よりも一見平和に見えて、真綿で首を絞められるような想いをしている人も少なくない、現代社会そのものの病理をモチーフにした存在であるように感じられます。

その渦中で誰とも苦しみを共有できずにいるミズハとの出会いで、フシが何を感じ、どのような変化を遂げていくのか? 『聲の形』で作者が見せた抉るような描写の数々の“その先”を見ることができそうで、期待が高まります。

TVアニメで新たに語られるはじまりの物語を楽しみにしつつも、原作からも目が離せません。

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この記事を書いた人

小林 白菜

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