2021.04.05

世界で初めてのアルファとオメガのつがいのお話。高校生同士の熱く濃密な関係性の変化が、最高に萌える作品!『神様なんか信じない僕らのエデン 下』一ノ瀬ゆま【おすすめ漫画】

『神様なんか信じない僕らのエデン 下』

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上下巻で完結している、世界で初めてのアルファとオメガのつがいのお話です。いわばオメガバース前夜譚。周りに経験者がおらず、身体に起こるすべての変化が人類初という状況です。

上巻でヒート──いわゆる発情期──を迎えて体育倉庫に籠ることになった西央と、倉庫に通い詰める

身体が求めるまま喬をむさぼる西央は、しかし少しずつその欲求が収まってくるのを感じています。一方の喬は、「アルファ」としての特性──群れのボスとしての支配欲が沸き起こってきて、その衝動と戦う羽目に。

もともとおとなしい性格で人の上に立ちたいようなタイプでもないため、未知の欲求に戸惑いと嫌悪感が隠せません。西央が好きで守りたいだけのはずなのに、完全に支配下に置いて、他の誰にも触らせたくないという独占欲に振り回されてしまいます。

頭のいい喬は必死で自分たちに起きた体の変化について調べますが、調べれば調べるほど、イヌ科の特性が浮かび上がってきますし、他の人間にはない症状だということがわかります。

そして行き着いた答えが「人類の生存戦略のために起きた進化の結果である」ということ。そして進化した結果、自分たちは超少数派でマイノリティであるということを速やかに自覚し、即座に無難に生きていくための行動を確定させます。

すなわち自分たちのような進化した人類が大多数になるまで「普通の人類」のように「擬態」すること。喬くん高校生の若さで本当に頭が良すぎます。

ここに至るまで、彼らは新たに生まれた本能と、初めから相手に抱いていたかも知れない恋心がミックスされたような状態で、理性が判断を下す前に身体を重ねてしまっており、もう相手が好きだからこうなったのか、アルファとオメガになったから目の前の相手と番うことになったのかという、完全に答えを出すのが難しい問題に悩みまくります。

それに加えて喬は、周囲が西央の不在に不信感を抱かないよう細々と小細工を施してうまく立ち回り、このヒート期間を乗り切ります。

人類初のアルファとオメガは、自分たちの体の変化を自覚したうえで、最終的には正式にお付き合いすることで合意して「普通」に擬態しながら生活することになります。

完全に陰キャ寄りだった喬の口から、「俺は全力で西央くんを守るよ」などというセリフが出てきたものですから、もう読みながら胸から萌えが溢れてキュンキュンです。

二人の関係が落ち着いた後、少しずつ世界に進化した人類が増え始めます。どのくらいのスピードでこの進化が進んで認知されていくのかまでは分かりませんでしたが、このカップルが平和に幸せに暮らしていけることを願ってやみません。

とても濃密で読み応えのある作品でしたので、肌色シーンに耐性のある方にはぜひぜひ、読んでいただけたらなと思います。

この記事を書いた人

アキミ

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