2021.05.11

「親友」と「恋人」、求めている“特別な関係”はどっち!? 認識のズレから始まる、百合ラブコメ!『わたしが恋人になれるわけないじゃん、ムリムリ!(※ムリじゃなかった!?)』むっしゅ, みかみてれん, 竹嶋えく【おすすめ漫画】

『わたしが恋人になれるわけないじゃん、ムリムリ!(※ムリじゃなかった!?)』

今回ご紹介するのは、集英社・ダッシュエックス文庫より刊行中のライトノベル『わたしが恋人になれるわけないじゃん、ムリムリ!(※ムリじゃなかった!?)』のコミカライズ版。先日、第2巻が刊行されました。

主人公の甘織れな子(あまおり れなこ)は高校デビューを果たした元陰キャ。誰もが憧れるパーフェクトガール・王塚真唯(おうづか まい)たちとつるむようになるのですが、根っからの陰キャにとって陽キャたちと毎日を過ごす精神的な負荷はとても大きなもので……。

ある日、ついにれな子は限界を迎え、ひとりの時間をつくるため、学校の屋上へと逃げ出してしまいます。

そんなれな子の異変を察知して屋上まで追いかけてきた真唯。そしてふたりはちょっとしたアクシデントに見舞われます。このときお互いの秘密を共有したことで、れな子と真唯は“特別な関係”になるのでした。問題はこの「特別な関係」に、ふたりの間で“認識の齟齬”が生じていたこと。

ずっと陰キャで、心から友達と言える相手がいなかったれな子は、真唯と“親友”になりたいと思っています。しかし真唯の願いは、なんとれな子と“恋人”になること。

ふたりは折衷案として、ある日は親友同士として、また別の日は恋人同士として生活し、れな子は親友の素晴らしさを、真唯は恋人の素晴らしさをプレゼン。「やっぱりそっちの関係性のほうが良い」と相手に言わせたほうが勝ちという勝負をすることになるのでした。

この特殊なシチュエーションによって展開されるラブコメディが実に楽しい! なにせ王塚真唯はパーフェクトガール。容姿端麗・成績優秀・品行方正で、周囲の高い期待に常に応え続けてきた女なものだから、自己肯定感があり得ないほど高く、れな子が持っている常識が通用しません。

真唯がれな子に「私のことを好きじゃない人がいると?」と真顔で尋ねるシーンがあるのですが、この台詞が真唯の人間性を象徴していると言えるでしょう。一事が万事こういった感じで、おまけに“恋人”としてのエスコートも非常に巧いものだから、れな子はたじたじ。それでも真唯とは“親友”でいたいのだと、あの手この手で奮闘します。

焦ったり怒ったり照れたりと、表情がコロコロ変わるれな子。説得力のあるルックスの良さを誇る真唯。そして物語を追うごとに存在感を増してゆく癒し系少女・紫陽花さんなど、キャラクターの魅力を際立たせる作画担当のむっしゅ氏の表現、そしてキャラクター原案の竹嶋えく氏の元々のデザインの相乗効果も、大きな魅力です。

明るく楽しく物語が進んでいく本作ですが、このふたりに相応しいのは“親友”か? “恋人”か? 読者である我々も真剣に考えたくなってきます。実はれな子が“親友”に求めているものと、真唯が“恋人”に求めているものは然程の違いはないように感じられるのですが、とはいえ真唯はれな子との“肉体的な関係”も求めているため、この点の落とし所が個人的にはどうなるのか見もの。

男女間の三角関係などを描く作品で、「友情を取るか、恋愛を取るか」みたいな選択肢が生じることがありますが、百合漫画である本作の場合、友情も恋愛も同じ相手が対象になるため、「なぜその関係で在りたいのか?」という純粋な関係性同士の比較となっているのが新鮮です。

相手のことが好きなら、“恋人同士”は親友の上位互換なのか? それとも、いつかは冷めてしまうかもしれない恋よりも、“親友同士”の絆のほうが強いのか?

れな子と真唯の答えが一致するときは、訪れるのでしょうか?

この記事を書いた人

小林 白菜

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