コミスペ!

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2018.02.24

【まとめ】性欲、食欲の次にくるのはこれだ!「睡眠」がテーマのマンガ

マンガを描く際に、人間の三大欲求の表現はとても重要だ。
昔から、性欲の表現としてエロマンガがある。食マンガも今一大ジャンルになっている。
でも忘れちゃいけないのが、もう一つの欲望である睡眠欲だ。

もっとも、「寝る」時点で物語が生まれづらいので作品化は非常に難しそうに思える。しかし果敢にこの欲望の表現に挑むマンガが登場しはじめた。

寝たい気持ちが魔王の城を震撼させる

『魔王城でおやすみ』

スヤリス姫は魔王の城に囚われたお姫様。牢屋の中でできることといったら、寝ることくらい。そこで「いかにして快眠するか」を追求しはじめる。

マットはどうしようか。最高の枕はどこにあるのか。新品のシーツは手に入るのか。
あの手この手で牢屋を抜け出し、快眠のための材料を魔王城内のモンスターたちから調達する。時には殺す。刻む。毛を抜く。皮を剥ぐ。

睡眠への渇望は肥大化する一方で、果ては巨大なハサミを持って城内をうろつきまわるようにまでなる。彼女はその睡眠欲ゆえに逃げることもすっかり忘れて、日々モンスターたちを恐怖に陥れる。なお、チャレンジしすぎて姫自身も結構死ぬけど、その度にモンスター側に蘇生してもらっている。魔物側も、人質だから姫に死なれるわけにはいかないのだ。

いうなれば、睡眠版『ダンジョン飯』(九井諒子/KADOKAWA,エンターブレイン)。ファンタジー世界にあるものをフル活用して、最高の睡眠環境を作る話だ。寝具はもちろん、寝ている時に身体がこったらどうするか、などかなりリアルな睡眠の話題を出してくるスヤリス姫。寝る前のトイレ、暑い時の冷房、ツボ押し、羽毛布団、ウォーターベッドなどなど……。

これがオムニバス形式で何十話も描かれているのにびっくり。睡眠は、意外とネタが多いのだ。

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寝不足先生と生徒の、眠れない限界ラブコメディ

『若林くんが寝かせてくれない』

睡眠不足は、怖い。身体を蝕む。眠れない時にくる眠気は、あらゆる欲望で最も避けがたいものだろう。

でっぷり太った高校教師の須住先生は、自宅の隣の部屋でカップルが毎晩アンアンするもんだから、常に寝不足。だから昼休みに、なんとか短い時間でも寝ようと画策する。それなのに、毎日のように女子生徒の若林郁乃(若林くん)が、彼の睡眠を邪魔してくる。
先生のことが好きでしかたない若林くんは、無表情だけど情熱的。添い寝したり、抱きついてきたりと、先生としてそれはピンチだから勘弁して。

寝不足は身体にものすごい負荷がかかる。けれどもそこで若林くんを無下にしない先生からは、器の大きさ思いの深さを感じる。どう見ても惚れる対象じゃないのに、紳士極まれる彼を好きになっちゃった若林くんの気持ちも、よくわかる。

「私は、若林くんが寝かせてくれない状況が好きだ。でも私は君の気持ちに応えることはできない。ごめんね」

須住先生の精一杯の解答は、十分すぎるほどの愛の告白だ。

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貧乳克服のために、寝ます!

『ねるじょし』

西条ルネは、学校では完璧美少女で通っていた。誰もがうらやむ存在だった。でも実は家ではズボラ。そして一つ彼女には大きな悩みが。
それは、貧乳

胸を大きくするために彼女が選んだのは、最高の睡眠を取ることだった。よい眠りを得れば、成長ホルモンが分泌され、恩恵に預かることが出来る。
22時には寝るように全てを整える。お風呂でのリラックスもしっかりキープ。興奮を避け、静かな音楽を聞き、適度な運動を行う。完璧な、心を落ち着ける環境づくりに勤しむ。

彼女は、この睡眠による身体改善(というか巨乳化)を「エボる」(evolution:進化 からの造語)と呼ぶ。

寝るのは休息のためだけじゃなく、しっかり目的を持って行うべき意味のある行動であることだと描いた作品。
なりたい自分像がはっきりあり、そこに向けて「寝る努力」をする様子は、時々やりすぎてアホではあるんだけど(水着で草をむしったり、急に公園に行って寝袋で寝たりもする)、まるでスポーツマンが、訓練を積んでいるかのようにストイック。いわばこれも、女子力だ。

もっとも、本当の熟睡は気づかない時にやってくるもの。頑張って寝ようとする様子以上に、意図せず眠りにオチている顔が、とてもかわいらしい
筋肉のほぐし方や、睡眠のツボ、入浴法など、睡眠うんちくが載っているのも楽しい。すぐ出来るものばかりなので、読んで真似してみよう。

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私達の青春は、寝ることです!

『おやすいみん部』

人間は家以外の、いかなる場所でも眠くなる。だから、外での最高の睡眠スポットを見つけよう、というのが「睡眠部」の活動だ。女子高生たちは、アクティブに寝る場所を探し始める。

眠ることは、理性のタガを外す行為だ。睡眠部の部員は、厄介な睡眠体質を持った、問題児ばかり。

寝ると暴れて周囲に被害を及ぼす、「眠れる獅子」歌多音里桜。寝ると性欲に歯止めが効かなくなり一人エッチをはじめてしまう、「眠れるビッチ」榊原菜々美。寝ると必ずおねしょをしてしまうためおむつが必要な、「眠れる頻尿」秋葉華音。

下品なネタ満載で、笑いながら読める作品なのだが、よくよく考えると彼女らの悩みは深刻。
寝る時に必ず股間をこするとなると、人前では寝られないし家でも寝づらい。おねしょに至っては、生活に支障をきたすレベルだ。

寝ている時の意識なき行動を、真っ向から描くと生々しすぎるが、コメディにすることですんなり読める作品。寝ると指をしゃぶってしまう、というソフトなあるあるも。

睡眠を描く場合、無意識の問題行動は避けて通れない話題だが、今後睡眠中の悩みと戦うマンガは他にも登場するんだろうか。
おねしょは(おしっこマンガが一ジャンルになっているので)、割りとネタになりそうだけど。

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あの子は憧れの睡眠少女

『ZZZのZ~ねむりちゃんとおやすみ~』

転校生の、真面目な少女・沖田そよ子。父の仕事の都合で転校が多いが、今まで通ってきた学校その全てで、学年一位を誇り続けてきた彼女。しかし、新しく転入した学校の学力テストで順位を抜かれてしまいショックを受ける。
一位の子は、深稲ねむり。クラスでいつも寝ている女の子だ。解せない!

ねむりは休み時間も、屋上でマットレスを敷いて寝ている。めちゃくちゃだ。
でも彼女は学年一位で自分より上位。そよ子は次第に彼女のことが気になり始める。

睡眠でつながるガール・ミーツ・ガール
最初は「なぜ寝ていて一位なのか」の謎を追うため、ねむりに迫り常にイライラしていたそよ子だが、話が進むに連れてどんどん彼女に惹かれていく

睡眠は、最高のストレス発散。一位にならなきゃ、と気張りすぎていた彼女が、のびのびしまくっている人間に魅力を感じるのはある意味必然。
キャラクターが自分を解放する「睡眠力」は、これまでのマンガでも重視されてきた大事なポイントだろう。

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寝るのが大好きな年上女性との、幸せな生活

『こいとうたたね』

睡眠で、恋愛は描ける。寝ている姿を見せるということは、心を許していることの何よりの証言だからだ。

元気な年上女性・ハナと、仏頂面の年下少年・きい君。二人はルームシェアをして暮らしている。でも恋人ではない。ハナはきい君のことを、弟のように感じており、男性扱いしていない。一方きい君の方は、ハナのことが気になって仕方ない。姉弟みたいなものだと感じられていることが、ちょっと寂しくも、一緒に暮らせることはやっぱり嬉しい。

ハナは三度の飯より睡眠が好きな、睡眠マニア。布団にこだわったり、最高の枕を探したりと楽しそうだ。彼女がリラックスしすぎて、あられもない姿で寝っ転がってるもんだから、きい君は気が気じゃない。

好きな相手が無防備なのか、無防備だから好きになったのか。ストーリーではそれほど恋愛濃度は高くなく、ハナによるきい君への睡眠講座が多め。
快眠作用を促す神経伝達物質「セロトニン」を増やすための食べ物、安眠メニューに気を使っているのもユニークだ。

それにしても本当に、ハナ先生はきい君のこと、男だと思ってないの? もし二人が深く恋に落ちていったら、睡眠はどう変わるんだろう。
リラックスとドキドキは相対するもの。でもそれを越えたら、さらなるリラックスが訪れるだろう。


睡眠を描くということは、リラックスへの渇望の表現だ。
心を落ち着けるためには様々な下準備が必要になる。自分の身体を見直さなければいけない。

睡眠マンガの派生としてリラクゼーションマンガも少しずつ出てきている。いかにしてリラックスするかをネタにしたマンガで、最終的には睡眠にたどり着く。
たとえば『世界征服はまた明日』(リーフィ/KADOKAWA,アスキー・メディアワークス)は、悪の組織の女幹部が癒やしグッズにハマって疲れを取るコメディ。切り口がよければ、マンガとしても面白いものになる好例だ。

一見、物語が生まれなさそうな睡眠という行為。しかしその前段階には、数多くの物語があり、誰かといる安心感も、重要なポイントになってくる。
寝た後も、他の人がその様子を見ることで、ストーリーが発生する。睡眠中ほど人間が無防備になることはない。

何より、寝顔は男女共に魅力的。睡眠はまだまだ開拓する余地の多いジャンルのはずだ。

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