2021.05.24
ちょっとアホで可愛い大型犬みたいな直情径行系攻男と、トラウマ持ちの受の関係が本当に良い、大人同士の再会ラブBL!『寄る辺のない恋の住処』慧【おすすめ漫画】
『寄る辺のない恋の住処』
フルールコミックスさんからの本で、大人同士の再会ラブBLです。フルールさん、以前は小説の文庫も出しておられたのですが今は休刊になってしまっているのですが、コミックスは続いてくれていて嬉しいです(オリジナルBL界の小説はコミックス以上にいろいろと厳しそうです……)。
カップリングは、「正直者の年下大男×訳ありのゲイを匿うマンションの管理人」という下剋上な組み合わせです。
片桐は、訳ありのゲイにセーフルームとして格安で部屋を貸しています。片桐自身もこのマンションの元の持ち主に助けられており、まだ過去の失恋から立ち直れていません。ある日、世話になっている人からの紹介で、ゲイバーでトラブルに巻き込まれた大男・葵に部屋を貸すことになったのですが、どうやら彼は小さい頃、空手を通じて片桐と出会っていたようなのです。
かなり幼い頃からゲイとしての自分を自覚していた葵は、きれいで強くて優しい片桐に、憧れに似た恋心を抱いており、再会によってその気持ちが再燃してきます。
ぐいぐい迫る葵ですが、恋愛から自分を遠ざけていたい片桐は、葵の気持ちを退けてしまいます。過去の手痛い失恋が、葵のまっすぐな気持ちすら受け入れることを怖がらせているのです。
確かに、こんなクズ男に自分の友達が騙されたら考えうる限りの合法的手段でやったことを後悔させてやるのに……と思う程度にはクズ男だったので、簡単にトラウマから抜け出せない気持ちは分かります。わかるんだけど、目の前にいるこの男は打算的なことは考えられないちょっとアホで可愛い大型犬みたいな直情径行系男だから心配いらないよ!と背中を蹴っ飛ばしたくなりながら読み進めておりました。
いい大人が簡単に「俺は絶対、嘘はつかない」とか言えちゃう、後先とか深いところは考えない男なんですよ。なんだか本当に可愛い。
片桐の気持ちがほぐれていくまでがとても丁寧に描かれており、ああ、BLだなあ! と萌えながらカップル成立まで楽しめる作品となっております。肌色シーンは後半にしっかり入っていますが、生々しさはあまりないタイプの濡れ場なので苦手な人でもそんなに気にならないかもしれません。
二人の関係の変化が本当に良BLなのと、片桐の泣き顔に心臓撃ち抜かれるレベルで萌えたのでとてもおすすめです!
©慧/KADOKAWA