『スウィートシュガースウィート』

初心に帰る、とはこのことでしょうか。もう、ザ・ボーイズラブ。

表紙で明らかにわかる受と攻。ベースカラーがベビーピンクで、ちょっとPOPな雰囲気のオビのアオリは、「あなたを想う気持ちがとめられない──。　胸キュンラブ」という王道展開を匂わせてくる安心感。

露出も激しすぎず、ちょっと少女漫画に寄せた雰囲気で、どうしたの往年のBLが懐かしすぎて復刻してきたのと言わんばかりの構成です。男二人が密着してスイーツ食ってますからね！

カップリングは、「クールな警官×製菓専門学校の学生」。

出会いは通学中の電車で、専門学校に通うために乗りなれない満員電車に四苦八苦してい理央が、クールなイケメン・羽角に助けられるという導入です。パンくわえながら通学ダッシュしてたら曲がり角で同級生とぶつかったのかと思うくらい分かりやすいですね。毎朝、自分を助けてくれるクールなイケメンにドキドキする可愛い系の学生とか、あまり見かけなくなってきており逆にレア感があります。

2人の距離は少しずつ近づいていき、途中、ちょっとした思い違いですれ違うことはありますが、順当に恋心を育てて告白して両思いになって──という展開を気持ちよく読ませてくれますし、関係が親密になっていって呼び方が変わっていくあたりも、実に初々しくて微笑ましい気持ちにさせてくれます。

最後に理央が家でストーカーに襲われるというハプニングがありますが、もちろん深刻なダメージを負うことなく羽角に助けられてハッピーエンドです。

安心感と安定感が半端なく、王道展開が懐かしいBLといえるのではないでしょうか。

基本的に痛いこともなく、安心して胸キュンラブを楽しむことができます。肌色シーンは控えめですがあまり物足りなさはありません。BLあるあるを綺麗に押さえてくれていますので、疲れた時にケーキと紅茶を嗜む気持ちで読んでいただければと思います。

©束原さき/フロンティアワークス