2018.04.14

【日替わりレビュー:土曜日】『ぼっちゃまは今日もイジられる』ヨウハ

『ぼっちゃまは今日もイジられる』

突然ですが、私はアニメ「世界名作劇場」シリーズ往年の『小公子セディ』(1988)が大好きです。

アメリカ育ちの貧しくも心優しい少年が実は英国貴族の血を引いていることが分かり、父方の祖父が暮らす大きなお屋敷で母親から引き離されながらもけなげに過ごす日々を描いたこのアニメを見返すたび、主人公セディと彼を世話するメイドのジェーンさんの関係にビビビとしびれるものを感じてやみません。
仕事の枠をこえておぼっちゃまを可愛がりまくり、ふたりきりの時には名前を呼び捨てで家族のように親しくしてくれるメイドのおねえさんと、そんなメイドさんになつくことで孤独感をやわらげる無邪気な少年。

いやー、たまらんです。すばらしいです。
おぼっちゃまと年上メイド、それはおねショタのフロンティア!

というわけで本日はそんな「おぼっちゃま×メイド」仕立てのおねショタで、かつ面白いひねりを加えている作品をご紹介。
コミックスマート社のマンガ配信サービス「GANMA!」にて連載中のWebマンガ、その名も『ぼっちゃまは今日もイジられる』であります。

主人公・朱雀院ワタルくんは、大企業社長の一人息子である小学生のおぼっちゃま。
お金持ちの御曹司で学校の成績は優秀、友達にも恵まれて順風満帆な生活をしているように見えるのだけれど、彼にはひとつだけ大きな悩みがありました。
家に仕える使用人の女性、ホカノさんが毎日のようにからかってくるのです。

ふだんはビシっとメイド服を着こなしてそつなくお役目を果たすホカノさんですが、仕事上がりにおぼっちゃまとふたりきりになったとたん、だるんだるんのシャツ一丁で下を穿いたり穿かなかったりしてあれこれ見えそうな超ラフな格好に大変身。
そんな状態で至近距離に迫ってゲーム勝負をもちかけてきたり、寝てる間に布団にもぐりこんできたりとスキンシップをくりひろげ、ドキドキする少年心を翻弄していきます。

ですが、それはひとえに、おぼっちゃまが「ついイジりたくなるほど可愛い」から。
ここ、単に「イジりたい」ではないのがポイントです。「可愛い」に重点しているのです。
ワタルくんが雨に濡れて帰ってくればあわてふためいて心配するなど、ホカノさんが心底おぼっちゃまを可愛がっているのは描写の端々から見てとれます。

まず御曹司とメイドという立場の主従関係があり、そこにおねえさんが年上の強みでショタをふりまわす逆転が働き、それでいて熱烈に可愛がっている点でホカノさん側にどうしようもない惚れた弱みがあるとも言えて……。
という具合に、立場の上下や主導権がどこにあるのか、じつは複雑に入り組んでいるのが上で述べた「面白いひねり」なのです。

イジりが繰り返されながらも微笑ましさを保ち続けるシチュエーションの細かいアヤに注目しながら読むと、いっそう本作が楽しくなることでしょう。

試し読みはコチラ!

この記事を書いた人

miyamo

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