2021.09.13
ココアにシロップと蜂蜜入れて粉砂糖かけたみたいな、極甘の転生BL。前世の身分差悲恋を現世で全部取り返します!『来世の君にくちづけを』灰田ナナコ【おすすめ漫画】
『来世の君にくちづけを』
甘い甘い、ココアにシロップと蜂蜜入れて粉砂糖かけたみたいな極甘の転生BLです。
なろう系の流行がついにBL業界にも……というわけでもなくて、転生系のお話はJUNE時代から人気のジャンルでございました。前世で悲恋だったけど現世では……という純愛ものです。
カップリングは、「前世は即位前の王子だった現在大学生×前世は平民で身分違いの恋をした平民の現在大学生」ということで、肩書が長いです。
身分違いでささやかに恋をしていた王子・ルークと平民・ミカですが、宮廷の権謀術数に巻き込まれてしまい、ミカはスパイ容疑で処刑。ルークはそうなるのを分かっていながら立場上、動くことを側近に止められ、恋人たちはあえなく死別というバッドエンドを迎えます。
そして現代。
生まれて数年後に前世の記憶を取り戻したルークは、同じく記憶を取り戻した前世の執事と共に、おそらく一緒に転生してきているに違いないミカを探し続けていました。そして同じ大学内で運命の恋人に再会します。
転生する時代も場所も人種も性別も同じという、神様のサービス精神が発揮されまくった舞台ですが、それはルークが生き残った後の人生で積み上げた徳のおかげでしょうきっと。
感動の再会になるかと思いきや、ミカは前世のことを全く覚えていませんでした。それが普通なんですが、学問では優等生の元王子は、感極まるあまりその普通をぶっ飛ばしていきなり初対面の男に「見つけた」とつぶやきながら抱きついてしまいます。完全に不審者です。
その後、我に返ってリカバリーに励み、覚えてくれていなくても一から口説けばオッケーとポジティブに関係を築き始めます。悲壮感のない陽キャっぷりが眩しいですね……。
その後、ミカは次第に記憶を取り戻していくのですが、そうなると今度はルークがうろたえ始めます。思い出してくれるのはうれしいけどちょっと待て、前世で彼は自分のせいで無実の罪を着せられて殺される羽目になったんだよな、思い出すにはキツイ記憶なうえ、俺、恨まれるしかないんでは? というわけです。
それでも思い出すもんは思い出しちゃうし、終わった過去は変わらないしということで、最終的にはみんな思い出して、そのうえで現世で大団円というコースになります。
とにかくみんないい人だし、ミカは記憶はなくても何となく懐かしくて落ち着くとかで前世の恋人に惹かれていくし、昔みたいに人死にが出るレベルの横やりを入れてくる人もいないし、当て馬すらいません。前世の記憶を乗り越えた後は幸せに一直線。基本的に行間から愛が溢れている感じの甘いお話です。
現代ですから身分差もありませんし、このまま幸せに暮らしていただきたいものです。
幸せ成分を求めて読むのにこれほどふさわしいBLはないんじゃないかというくらい幸福度の高い作品なので、ある程度の山を乗り越えた上でのハッピーエンドのラブラブ話が好きな方は迷わず手に取っていただければと思います。
©灰田ナナコ/シュークリーム