2021.10.25
両性具有でありながら「女」として政略結婚させられたルーイとそれを受け入れた第二王子ゼスの、権謀術数と愛憎渦巻く、壮大なファンタジーBL!『狼の花嫁』りゆま 加奈【おすすめ漫画】
『狼の花嫁』
民族BLシリーズの中の『狼の花嫁』シリーズ4巻目です。
民族衣装のBLというふわっとしたシリーズのくくりなのですが、異種間恋愛があったりファンタジーだったりと、読み手の萌え心をくすぐってくる作品が多いです。そのなかでもこの狼の花嫁シリーズは1つのカップルで4巻目、しかもまだ続くというBLの中ではかなり長編となっております。
両性具有として生まれたルーイは、父王に虐げられて育ち、挙句の果てには母親の命と引き換えに「女」として政略結婚するように命じられてしまい、隣国の、狼と共に生きる民族の元へと嫁いでいきます。そこで「つがい」となる王子・ゼスに性を偽っていることを暴かれ、それでも受け入れてくれたぜスに次第に惹かれていきます。
しかし、国同士の事、そうすんなりとはいかず、ルーイの生国との戦が始まってしまいます。ルーイは戦の引き金となった兄・アズラクの蛮行の責めを負って投獄されそうになりますが、何でもすると第一王子に懇願して負傷兵の看護の仕事を手伝うことに。
4巻では、ゼスの無事を祈りながら負傷兵の看病をするルーイが主軸で、BLだというのに肌色シーンは一切ありません。そもそも前線に出ているゼスと国に残ったルーイではキスもできません。これがシリーズ物の醍醐味といいましょうか。恋愛的には「溜め」の巻と言えます。しかし物語としてはルーイが自分の立ち位置を実感し、知らなかったことを知りながら成長していく大事な1冊です。
いきなり4巻を読んでも意味が分からないと思いますので、民族衣装とかファンタジーとか両性具有とか、そういった設定にときめく方はぜひ1巻目から手に取っていただければと思います。
権謀術数と愛憎渦巻く、ファンタジーならではの壮大な物語が楽しめますよ~。BLとしても、次第に惹かれ合っていく二人という、ある意味王道な恋愛がベースですので萌え要素もたっぷりです。
5巻では、現在囚われていて、国元に送り返されそうになっている兄・アズラクを何とかして逃がそうとすることになりそうで、波乱の予感しかしません。早めに読めることを祈りたいと思います。
©りゆま加奈/フロンティアワークス