2021.11.24
必要なのは休む勇気。文筆家が、リセットとリブートのために休日を満喫するお休み漫画!『はるかリセット』野上武志【おすすめ漫画】
『はるかリセット』
必要なのは休む勇気。文筆家、リセットとリブートのために休日を満喫する
休日は週に何日かあるホワイト企業務めなのに、全然休めていない人って結構多いと思う。ぼくもライターながらその一人で、ようは休日なのに仕事のことを考えてしまって、結果特に何か頑張っているわけじゃないのに、その日ぼんやり中途半端に仕事をしてしまい、トータルで見て心が休まっていないのだ。これは時間的に休めていても、実は休まっていないので実はよろしくない。
『はるかリセット』はそんな心の、多少無理をしてでも休養を取る手法を描いた「リセット」漫画。なんとなく休日心の疲れが抜けない人には、ぜひ読んでほしい作品だ。
天野はるかは小説家。ペンネーム春河童。創作業のため締切に追われ、必死に脳の肉体労働をする日々が続く。でも書けない時に書かなきゃというのはあんまりプラスにならない。そこで彼女は「休憩して膠着状態を打開する(ブレイクスルー)」することを決意する。
実は彼女もサボりぐせがあるわけではなく真面目。だから「正直今でも 休むのは怖い…」とモノローグで語っている。でも世界を切り替えて完全に休みにすることでリセット(初期化)、そしてリブート(再起動)。半端に頑張るより、しっかり休んだほうが効率はいいのだ。
知らない銭湯、タイ式古式マッサージ、水族館、メニューのない寿司屋などなど、普段行かないところに体当たりで行くことで、緊張もあいまって普段の仕事は完全に忘れられる。作中のはるかは新しい挑戦中にテンションダダ上がり、仕事をリセットできている。
はるかの「必要なのは休む勇気」という言葉は名言。全ての勤勉な日本人に伝えたい。時間をたっぷりとろうが、遠くまで旅に行こうが、結局は「休む!」という勇気がない限り心をリセットできない。
確かに珍しいところに行く回もあるが、はるかが出かける場所の中にはなんてことのない近所なこともある。ぜひそこでどう彼女が羽を伸ばし、頭をリセットするべく勇気を持って休んでいるか見てほしい。そして勤勉で真面目な人ほど、あるいは不安で仕事を引きずっている若い人ほど、はるかの休みっぷりを見て、自信を持って休んでほしい。
この連載は金曜日にWEBで公開されている。なんて粋なはからいだろう。金曜夜仕事後にこれを読んで、土日は仕事をなーんにも考えず、休む勇気を彼女から得てほしい。ぼくも、はるかに見習って休日のデジタルデトックスに挑戦してみようと思う。
©野上武志/秋田書店