2021.11.30

作家×ファンで、身体からはじまる関係BL。肌色シーン大目でストーリーもしっかりという濃厚な1冊!『ページをめくるその前に』文川じみ【おすすめ漫画】

『ページをめくるその前に』

身体からはじまる関係で、作家×ファンというカップリングです。

ワーキングBLというほどお仕事描写はないんですが、攻が小説家であるというのがキーポイントになってくる作品です。ちなみに本編2ページ目から二人ともお洋服着てませんのでお気を付けください。

冴えない眼鏡の小説家「はざま伸」ことカジマは、仕事が落ち着くと毎回一晩だけの相手を探していたのですが、ある時、一晩限りのつもりで会ったヒロとは、身体だけとはいえ関係が続いていました。いわゆるセフレというやつですね。

お互い、身体の相性はいいし、余計な話もしてこないのが気楽で、ズルズルと快楽だけを求める相手として半年もヤるためだけに会っていました。もちろん、自分の仕事の話などしません。名前も本名は知らないという状態です。

本当に身体だけの関係だったのですが、新刊の発売日、本屋に並んだ自分の本を見に行ったカジマは、ヒロに声を掛けられて「絶対に面白いって!」と自分の本を勧められます。まさか自分が書きましたとも言えず、自分の本を自分で買うカジマ。ヒロは熱心な「はざま伸」のファンで、同じ作品の感想を言い合える相手を見つけたことが嬉しくて、この本をきっかけに、一緒に食事をしたりとホテル以外でも会うようになっていきます。

名前を名乗り会い、会話も楽しむようになっていくのですが、カジマはヒロに自分の正体を明かすことはしません。あまりに熱心にファンだと語られ、告白するタイミングを完全に逸してしまった感じです。

ヒロもカジマも、もう完全に相手のことが好きになっているのですが、向こうは違うかも……という気持ちが強くてなかなか両想いであることが認識できません。そこにヒロの元カレがストーカー化して絡んできてひと悶着あり、緊急避難先としてカジマは家を提供し、同居に至るのですが、それでもまだカジマは自分のペンネームを明かせません。

そしてヒロはカジマの仕事部屋で発売前の「はざま伸」の作品を見てしまい、見られたことを知ったカジマはついに自分が「はざま伸」だと告げるのですが、ヒロは信じてくれませんでした。

両想いで体の相性も抜群で、ヒロは作家・カジマの大ファンなのに、微妙にすれ違い続けて完全にはくっつかないもどかしさと、くっついていないのに濃厚な肉体関係はずっとあるという状況で、ヒロの元カレが懲りずにヒロに手を出し、それが荒療治になってようやく両思いに至ります。元カレ、完全に当て馬です。ヒロはカジマ=はざま伸を信じて、お互いが好きなことも伝え合って──でもやることは出会ったときと一緒です!

とにかく全編に渡って肌色シーンが充実しており、くっつくまでの過程もしっかり丁寧に描きこまれており、ストーリーと肌色シーンを1冊に圧縮して詰め込んだような濃厚なBL作品になっています。読後の満足感がかなり高く、話が重くなりすぎずという、エンタメとして素晴らしいバランス感覚で仕上げられたBLです。

肌色シーンが苦手でなければ高確率でヒットすると思いますのでぜひぜひ、読んでみてくださいね!

この記事を書いた人

アキミ

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