2018.02.27
【日替わりレビュー:火曜日】『転生したらスライムだった件』川上泰樹, 伏瀬, みっつばー
『転生したらスライムだった件』
現代から異世界に、スライムとして転生しちゃう一風変わったライトノベル『転生したらスライムだった件』。Web小説投稿サイト『小説家になろう』で大人気を博した異世界ファンタジーを、『まおゆう外伝 まどろみの女魔法使い』『ねじ巻き精霊戦記 天鏡のアルデラミン』をコミカライズした名手・川上泰樹が描く!
まず特筆すべきなのは、主人公のリムルがスライムであること。『ドラゴンクエスト』で最初に戦う、あのぷるぷるしたスライムです。えーと、それって最弱のモンスターですよね?
ところがリムルは転生者。現代日本の知識に加えて、スライムらしく相手を包み込んで能力を奪う「捕食者」と、世界の理を解説してくれる「大賢者」、この二つの能力を駆使して、最強のスライムに上り詰めていくんです。
暴風竜ヴェルドラ、牙狼族など魔物を次々に捕食していって、青天井に強くなっていくリムル。だけど彼には支配欲もなく「ただのんびり快適に暮らせればいいや」くらいの軽いノリなんですが、周囲がそれを許してくれません。ゴブリン、鬼人族、リザードマン、オークといった種族を従えて、一大国家を築き上げてしまう結果に。当然、スライムが国王です。
本人が望まないにもかかわらず、自分の地位がどんどん上がっていく構図。『デトロイト・メタル・シティ』の根岸くん=「ヨハネ・クラウザーII世」や、『銀河英雄伝説』のヤン・ウェンリーと共通するようなおかしみがあります。
様々な異種族が登場する作品らしく、個性的なメンバーも魅力の一つです。個人的な二人のオススメキャラは、美人秘書っぽい格好なのにブチ切れるのが早い脳筋の鬼人族・シオン。コミックリリーフとして真面目なシーンでも笑わせてくれるお調子者のゴブリン族のゴブタ。濃いメンバーが物語を鮮やかに彩っていて飽きさせません。
6巻では、外見はロリっ子だけど魔王の中でも最強クラスのミリムとリムルのバトルが見どころ。これがまた、意外な決着を見せて、「えーっ!そうくるの!?」と驚愕。ページをめくった先に何が起こるのか予想つかない、ワクワクに満ちた大冒険が広がっています。
また、新刊7巻は2018年3月9日に発売予定です!
『転生したらスライムだった件』関連マンガ
「川上泰樹」の過去作品
©川上泰樹, 伏瀬, みっつばー/講談社