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2018.02.28

【まとめ】鉄道にはドラマがある。鉄道と関わりの深いマンガ

「駅徒歩5分」そんな言葉が都市部ではステータスになる。都市部を中心に、鉄道はインフラとして無くては成り立たないものだ。
通勤や通学だったり、あるいは休日の旅行の移動手段だったり。
毎日誰かを運んでいるだけでなく、時に鉄道は「思い」も運ぶ。

「鉄道」の周りには、いつだって誰かのドラマが転がっているのだ。

乗換案内を使っても、恋の終着駅は検索できない

『君曜日』

「君曜日」(中村明日美子/白泉社)は、ヒロインのアコと小平の初々しい恋物語だ。
はじめて会った頃は、会うと小平だけが一方的に嬉しそうにしていて。
アコが電車好きと知ってから、急に電車に興味を持ち始める小平は、単純で少し可愛い。
そんな風にズケズケと踏み込んでくる小平を、アコはどこか苦手そうにしていたけれど。

そんな二人も、秩父への二人だけの旅行を契機に、少しずつ心を通わせていく。
もちろん、秩父までの移動手段は鉄道だ。
鉄道に乗って、流れていく景色を見る。着いた先で、いつもと違う場所を歩く。
二人だけの時間を共有できる体験を、鉄道は作ってくれるような気がする。

彼女たちの思い出のいくつかは、鉄道に揺られて作られている。行きより帰りの方が心の距離が縮まっているのが分かってしまうから、思わず頬も緩んでしまう。
時には自分の感情に戸惑い、その行く先が分からなくなることもある。行くべきルートは、彼らが手探りで見つけるしかないのだ。

物語終盤のアコが箱根に向かうシーンで、鉄道が運んだものは単純に人だけではない。
誰かへの届けたい気持ちを乗せて、今日も鉄道は走っているかもしれない。

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思い立った日に、旅立とう

『ぱらのま』

カワイイ娘が鉄道で旅をする。こう書くと何かきらびやかな光景をイメージするかもしれないが、『ぱらのま』(kashmir/白泉社)で描かれるものは、そのイメージとはほど遠い。
寝台特急のベッドから、帰宅途中のサラリーマンを寝ながら眺めることで、優越感を覚えるヒロインなんて、むしろかなり枯れているだろう。

このマンガのヒロインは、普段何をしているかも名前も分からない。美人だけどどこかダメ人間オーラが漂っている、ちょっと残念なお姉さんという感じだ。
彼女は気がつけば電車に乗っている。どこかに行きたいというより、鉄道に乗りたいという動機がほとんどだ。
そのため、毎回乗っている路線はバラバラ。目的地についたらどうするかは、着いてから考えるという行き当たりばったり感。
でも不思議と、そんな姿を羨ましく思えてしまう。

それは時間やお金といった制約から開放されて、彼女がきままに旅をしているからなのだろう。着いた先でのちょっとした冒険に、ワクワクしてしまっているのだ。
次の休みは、普段使っている路線の終点まで行ってみよう。そう思ってしまうこともしばしばだ。

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鉄道は日本が誇る文化だ

『テツぼん』

自分だけのオリジナルのルートを、一度は鉄道オタクが考えてしまうのと同じように、「鉄道」の知識を使って社会をいい方向に導く。
そんな妄想が実現してしまったようなマンガが『テツぼん』(高橋遠州,永松潔/小学館)だ。

単なる鉄道オタクのフリーターだった主人公が、大物だった政治家の地盤を引き継ぎ、政治家として思いもよらぬ活躍をしていく。

主人公の元に届く政治的な難題を、鉄道の知識を使って解決していくストーリーで、知っている路線が出てくるとついニヤリとしてしまう。

鉄道マンガとして印象的な部分は、鉄道を利用する人たちの声だ。政策の視察と称し各地の鉄道を見に行くことが多いこのマンガは、いつもその鉄道の利用者の声を描く。その声は私たちに時に喜びや悲しみも共にした鉄道への愛着を、思い出させてくれる。

もし今乗っているこの電車が無くなったら、自分はどう思うのか。ふとそんなことを考えたくなってしまう。

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終電があるありがたさ

『終電ちゃん』

仕事で遅くなってしまったり、飲み会で予想以上に長話してしまったり。頼むからまだあってくれよ、と願ってしまう存在が終電だ。
『終電ちゃん』(藤本正二/講談社)は、そんな終電を二頭体の少女に擬人化した作品となっている。

終電に乗った時、一刻も早く帰りたいのに、接続待ちで時間を取られて苛立ちを覚えたことはないだろうか。しかしその一方、接続待ちがあったことで終電に間に合った経験がある人も多いだろう。

この作品で描かれる終電間際の光景は、多くの人の終電での体験と重なる部分があるはずだ。
終電に乗れることで、夜の間に住み慣れた我が家へとたどり着ける。
終電を逃した経験がある人には、そのありがたみは骨身に染みるものがある。

終電に乗り込むためのダッシュをしている瞬間は、誰だってドラマの主人公なのかもしれない。

みんなが家に帰れるように、接続待ちの裏技的なことを教えてあげることもあれば、疲れ果てた人たちの心を優しく受け入れたり。
「終電ちゃん」の活躍を読めば、終電に対する気持ちが少し変わるかもしれない。

「彼女たちに迷惑をかけないように、終電より前の電車で帰ろう」と。

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踏切は青春だ

『踏切時間』

踏切でのわずかな待ち時間に、物語がある。『踏切時間』(里好/双葉社)は、踏切とそこで足止めされる少女たちを描いた、オムニバス日常ショートマンガだ。

老若男女、歩くペースが早かろうが遅かろうが、踏切での待ち時間は誰にでも等しい
女子高生同士の甘酸っぱいやりとりや、色っぽいお姉さんに憧れる男心など、踏切待ちというわずかな時間に展開される物語に、思春期のちょっとしたリビドーや、クスッと笑える愉快なやりとりを詰め込んでいる。
カンカンカンカンと踏切音が鳴り響く間に広がっている、淡い青春がどこか懐かしい

今のご時世、踏切で待たされている時多くの人は、スマートフォンをついつい触ってしまっていることだろう。
でも、スマートフォンから視線をあげれば小さな物語が始まるかもしれない。
踏切を前にした時、そんなことを考えて少し楽しくなってしまう。
前より踏切が好きになる作品だ。

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普段気がつかないだけで、鉄道は毎日誰かのドラマの舞台になっている。駅のホームで、車内で、あるいは踏切の待ち時間で、誰かの物語が始まっている。
そんな風に思うことができたら、毎日が少しだけ楽しくなるかもしれない。

あとはぜひ、マンガの中に自分の知っている景色がないか探して欲しい。自分が使っている路線や駅が無いか探してみるのも、鉄道マンガの楽しみ方の1つだ。

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この記事を書いた人

ふな

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