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2018.03.09

【日替わりレビュー:金曜日】『アナログドロップ』あいだ夏波

『アナログドロップ』あいだ夏波

今回も色モノヒロイン系……かと思いきや

『スイッチガール!!』『圏外プリンセス』と、色モノヒロインをメインに据えたパワフルな作風が売りの、あいだ夏波先生による新連載です。今回もなかなかキャラの濃いヒロインです。

物語の主人公は、自分大好き、お金大好きな高校2年生・早川亜紅。狙っているのは、地位、財産、自由、そして羨望を全て手に入れた、上級国民の座。得意の嘘と演技で、何人もの男を手玉に取ってきた。ところがある夜、何者かに刺され死の淵を彷徨うことに……。妙な夢から醒め、気がついたらそこは1983年で……!?

はい、男を手玉に取るあざとい悪女というキャラクターなんて軽く吹っ飛ぶ、タイムスリップものでございます。正直あいだ夏波先生がタイムスリップという予想は無かった。ので、いきなり面食らったというか、その意欲に読み始めからウキウキですとも。

元の時代に戻る条件

タイムスリップの目的やルールは、謎の男のナビゲーションによってすぐに明らかになります。ゴールは、この時代にいるヤンキー(当時はツッパリと言うほうが一般的)の、長石虎治郎の恋を成就させること。そうすれば2017年に戻る事が出来るのですが、時間は有限。

彼女の持つ携帯電話の充電が0%になるまでに、それを達成しなくてはなりません。

絶妙なバランス感

情に厚いが色恋には疎い虎治郎の家に、あの手この手で転がり込むことに成功した亜紅。彼は一人暮らしなので、ひとつ屋根の下ふたり暮らしというドキドキのシチュエーションになります。
亜紅は持ち前の勢いの良さで、早速虎治郎の想い人の情報を入手。恋を成就させようと動き出すのですが、ご想像の通り、その過程で迂闊にも彼に恋をしてしまうんですよね。しかし彼には好きな人がいて、元の時代に戻るためには、その想いを断ち切らなければならない。

終始コメディ調の明るい雰囲気で進む中、報われないであろう恋心が、しっとりとシリアスさを演出します。

ちなみにタイムスリップしても、携帯は普通に使えるというのが、一風変わっているところ。2017年とつながっており、SNSや通話も勿論出来ます。しかしその人望の無さから、タイムスリップを信じてくれる人は皆無。とはいえネットで情報を集めたりと、何かと活用出来る場面はあるもので、携帯を駆使して活路を見出すシーンもあったりします。

携帯使えるなんて反則っぽいと思っていたのですが、意外と物語の中で絶妙なバランス感を保って馴染んでおり、物語を面白くする道具として機能しています。

絵柄や作風から、キャッチーに、大雑把に見せてくるのですが、何気に細かいところまでバランスよく練られている印象で、もしかしたらとんでもない怪作になるかも。とはいえ大前提は、めくるめくドタバタ劇を気楽に笑いながら楽しむというもので、気負わず期待せず読みはじめてもらえればと思います。

気がついたらハマっていたなんてことが、きっとあるはず。

試し読みはコチラ!

「あいだ夏波」の過去作品

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この記事を書いた人

いづき

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