2018.03.09
【まとめ】女の子が釣りをする姿には魅力がいっぱい!人気の釣り女子高生マンガ!
高校生が青春を何かに燃やす様子は、見ていてとても楽しいもの。
その中でも女子高生の釣りが、最近密かにブームになりつつある。
・女子高生と海の組み合わせの絵面がもつ青春感
・釣りの静かな時間を青春についやす女子高生の独特な思考
・男どもの視線をものともしない、女の子のパワー
・マンガを通して、少年少女の釣り人口を増やすための、看板娘的存在
このように、たくさんの魅力を持つ、「釣り女子高生」マンガを紹介しよう。
田舎の部活で、女子高生のんびり釣りライフ
『放課後ていぼう日誌』
4月18日(火)はヤングチャンピオン烈の発売日です。『放課後ていぼう日誌』は第3話目、ようやく釣り始めます。ぜひ読んでください! pic.twitter.com/fxy7P3jG09
— 小坂泰之@単行本発売中 (@ysyk_kosaka) 2017年4月17日
都会から引っ越してきたおとなしい少女、鶴木陽渚(つるぎ・ひな)。趣味は手芸だ。
ふらふらと散歩をしていた所、堤防で一人釣りをしていた少女に出会い、初めて釣りをする(やらされる)ハメに。彼女は、高校の「ていぼう部」部長だった。
女子高生による、堤防で釣りをする「ていぼう部」が舞台の、青春グラフィティ。
この作品は、キャラ配置が抜群にいい。
ヒロインの陽渚は、釣りに一切興味がないどころか、生き物に触ることができない。
生きた魚をさわれない。フナムシが怖い。タコに鳥肌がたつ。生き餌どころか、魚のエサを練ったものすらさわれない。
そんな彼女が、釣りにおける重大なルールに立ち向かうシーンがひとつある。釣ったからにはきちんと殺して食べてあげなければいけない。それまで絶対にできないと思っていたけど、彼女は魚に包丁を入れる。
「キャーキャー」うるさいタイプではなく、命を扱うことを経験した上で、釣りの時間を楽しむようになる、成長していくキャラクターだ。
同じく1年生の帆高夏海(ほだか・なつみ)は、超元気いっぱいで、遊ぶのが大好きなザ・田舎の高校生、といったキャラ。夏海は陽渚の幼馴染で、彼女の緊張感をほぐしつつ、楽しいぞーと引っ張ってくれる良き理解者役。海や外が好きだから、釣りを楽しんでいる。
2年生の大野真(おおの・まこと)は、寡黙で背が大きいメガネの少女。力があり、釣りに関してのあらゆることに長け、準備も周到な参謀的キャラクター。彼女がいることで、みんなはていぼう部を安心して楽しめる。釣りそのものを計画立ててプレイできるタイプだ。
そして、ズボラでおじさんっぽいの3年生部長、黒岩悠希(くろいわ・ゆうき)。裸足に麦わら帽子にタオル、大股開きでだらりと釣りをする。陽渚をていぼう部に、なかば騙すように引き込んだ張本人だ。
極めて胡散臭い人物だが、彼女こそが、釣りの魅力を初心者に伝える大切な存在。
部長は、あんまり釣りをしない。他の3人が釣りをする様子を、足を組んでニコニコ見ている。もちろん釣りは好きだし、上手なのだが。
「そりゃあ釣れたほうがうれしかよ。でもあたしは魚ば釣っことが目的じゃなかけんね~」
女子高生が海に行って釣りをするのは、「魚を捕る」のだけが目的じゃない。
彼女たちがゆっくり海辺で、青春の時間をすごすのにはわけがある。
釣りうんちくを楽しみながら、彼女たちはそれぞれ、海のどこに魅力を求めているのかということにも期待したい注目作。
都会の川で、女子高生が竿を垂らして一人釣り
『浜咲さんなら引いている』
お嬢様に見える浜咲さん。いつも「不動心」と呼ばれる長い入れ物と大きなカバンを持っている。剣道部なんだろうと思われていた彼女は、実は大の釣り好き。
マハゼ、ヒメハゼ、スズキにタコ、さらにはウナギまで都会の川で釣る。
彼女が好むのは一人釣りだ。川の欄干から竿を投げて、黙々と釣る。準備段階も楽しいらしく、体力づくりのための筋トレをするほど。
彼女は魚がかかった瞬間、「ぎゅんっ!」と恋に落ちたかのような顔をする。
ここまで一人で楽しんでいるのであれば、他の人とやる必要はない。
とはいえ、彼女が釣り好きだと知っているクラスメイトの富岡さんの前では、のびのびと満喫している。別に隠したいわけではない。むしろ二人はすっかり仲良しになる。
少しコミュニケーション下手なようだ。このぎこちなさと、釣りに打ち込む顔が、たまらなく魅力的。
この作品は、身近なことで幸せを楽しむ素晴らしさを描いている。
浜咲さんが遠出せず、学校帰りに釣っているのがミソ。近くの川で、趣向を凝らして釣る様子は、とても楽しそう。一部のキャラが言う、「都会で釣るのなんかより海の大物釣りこそが男のロマン」なんて意地悪な見方はぶっ飛ばそう。
もちろん浜咲さんが海釣りするのも、見たいですけどね。
ストイックに釣りを追求する、完全武装少女
『つれづれダイアリー』
学校では誰とも馴染まない、クールでミステリアスな少女、橘音々(たちばな・ねね)。彼女が普段何をやっているのか気になった、同級生の森野アリス。あとをつけたところ、着いたのは釣り場だった。橘に教えてもらいながら、釣りを楽しんだ森野。
そこには普段絶対笑顔を見せない橘の、楽しそうな顔があった。
橘が全然森野の名前を覚えないのが面白い。ともだちだと森野が言っても、橘は「クラスメイト」だと言って聞かない。興味が釣り以外に向かないのだ。
森野は橘のことが好きで追いかけている面が強いが、次第に釣りそのものの楽しさに目覚めていく。一巻のラストでは自腹を切って、学生には結構な値段のロッドとリールを買う。自らリベンジしたいという思いと、橘が釣りに夢中になる姿が目に焼き付いて離れないから。
ただ、森野が憧れる橘の姿は、ちょっと独特だ。
橘は、制服では釣りに行かない。完全装備だ。女性であることを全く意識させない。
ウナギを釣った時、近くのおじさんが親切に「捌くの難しいけど大丈夫かい? なんならやってくれる所紹介しようか?」と声をかけてくる。
しかし、彼女は「必要ありません、捌き方は知ってますから」と答える。
橘は魚に関することなら貪欲に学ぼうとする姿勢の持ち主。ウナギの捌き方も、タイミングを逃さず学び、実践している。
釣りに専念し、好きなことを一人でできるようになりたい。極端に人見知りのわけではないし、コミュニケーション下手でもない。
橘は、自立した釣りを楽しみたいのだろう。
だからこそ、橘の釣り方はかっこいい。森野が追いかければ追いかけるほど、きっと橘は距離を取るだろう。それも釣り人のあり方の一つだ。
好きなことに夢中である少女の姿
『激ウマ!釣り船御前丸』
他にも、釣り船屋のおてんばチャキチャキ看板娘を描いた『激ウマ!釣り船御前丸』(江口賢一/芳文社)や、巨乳釣り師による女子高生釣りバトル『釣りチチ・渚』(佐藤まさき/小学館)など、まだまだ多くの女子高生釣りマンガは出ている。
『ガタガール』
釣りマンガだけではなく、「干潟マンガ」の『ガタガール』(小原ヨシツグ/講談社)もあわせてオススメしたい。こちらはキャラクターが中学生なので、さらに幼い。
ヒロインたちは、干潟での生き物集めに夢中だ。
ところが、目的が全員違う。科学的に標本にしたいという者、捕まえたものは食べるべきだという者、かわいいからきちんと飼って育てたいという者と様々。
貴重な青春期を干潟に捧げる彼女たちの夢中な姿から、干潟の魅力を感じることができる。
女性が釣りをする時、物珍しさからか、どうしてもお節介な男性たちの目が集まってしまう。
しかし、好奇の目で見られようとも、一切意に介さずに、自分の好きなことをやっているから、釣り女子高生マンガのヒロインたちには光るものがある。
『つれづれダイアリー』の橘はまさにその象徴のようなキャラで、釣り人とのコミュニケーションが嫌いなわけじゃない。自分で最後まで楽しみたいのであって、好きなことに、夢中でありたいのだ。
女子高生釣りマンガに出てくる少女たちの共通点は、釣りの楽しさを知っていること。周りがなんと言おうと、構わない。好きなもののためなら、れっきとした姿勢を崩さない。
「好き」を持ち実践している人間は、強靭だ。だから、釣り女子高生マンガは面白い。
©小坂泰之/秋田書店, ©瀬戸内ワタリ、水谷ふみ/小学館, ©草野ほうき/KADOKAWA、メディアファクトリー, ©江口賢一/芳文社, ©小原ヨシツグ/講談社