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2018.03.11

【まとめ】良作の宝庫!ラジオを題材としたマンガ

ラジオ、聴いてますか?

私は最近こそ、週末に原稿やブログ記事を書く際に聞く程度ですが、振り返れば中学生から大学生の頃まで、勉強の時には常にラジオを聴いていた覚えがあります。

最近はラジオアプリの普及も相まって、ラジオ視聴者数も回復傾向にあるようです。今回はそんなにわかに盛り上がりつつあるラジオの世界を描いたマンガたちをご紹介したいと思います。

あまりメジャーでないジャンルですが、侮ることなかれ、これが結構な良作揃いなんです。

『波よ聞いてくれ』

『無限の住人』沙村広明先生による、アフタヌーン連載作です。現在4巻まで刊行。

舞台は北海道・札幌。スープカレー屋の店員・鼓田ミナレは、酒場で展開した失恋トークを地元FM局のディレクター・麻藤に密かに録音され、あろうことかその翌日、ラジオ番組で流されてしまう。激昂したミナレはラジオ局に殴り込みをかけるも、それをきっかけにラジオの世界に誘われて……という前代未聞のラジオ劇。

沙村広明作品の面白さのひとつに、その独特のキャラクターと軽妙な台詞回しがあると思うのですが、本作はそれがギュッと凝縮され、むせかえるほどの濃密さとなっています。とにかく主人公の鼓田ミナレが、喋って喋って喋り倒す(ラジオ関係なく)。キレッキレのフレーズが畳み掛けるように繰り出され、その勢いと文字数の多さに圧倒されます。ともすればくどくなりがちな中、うざったさも感じさせず、純粋にめちゃくちゃ面白いのだから驚きです。

ちなみに本作、喋ることしか能が無いアラサーに片足突っ込んだ女子が、そのトーク力で成り上がる……みたいな話ではありません。大人しくラジオだけしていればいいのかもしれないけれど、そんなことはなく、スタジオの外で色々な事件を起こしたり、ある時は巻き込まれたり、むしろ普通にラジオしてる時間の方が少ないです。でもそんな出来事の数々も、結局ラジオに繋がってくるんですよねぇ。

瞬間の面白さと、伏線を重ねる物語としての奥深さ、その両方が高いレベルで描かれている怪作です。

試し読みはコチラ!

「沙村広明」の過去作

『リクエストをよろしく』

『夏雪ランデブー』河内遙先生がフィールヤングで連載中の作品。現在3巻まで発売されています。

主人公は売れない芸人・朝日屋颯太。元々コンビを組んでいたものの、半年前に解散。そんなある日、突然彼の家に元相方・水無月が訪ねてきます。放送作家に転身したという水無月から話されたのは、ラジオの仕事の誘い。元相方と美人ディレクターの手引で、何も知らないラジオ業界へと足を踏み入れた颯太ですが……。

『波よ聞いてくれ』の鼓田ミナレがその喋りの上手さを見いだされるのに対して、こちらの颯太は芸人なのに喋りが下手。けれどもラジオの話が来るのは、その誰とでも打ち解ける性格の良さから。ラジオ番組のレポーターからスタートし、失敗を重ねつつも、持ち前の明るさと前向きさで徐々に認知度を上げていきながら、少しずつ大きな仕事を掴んでいきます。

この作品で面白いのは、本人には一切戦略や野心みたいなものが無いところ。与えられた仕事に、ありのままの姿で臨みます。そしてそんな彼の性格を知る元相方・水無月が、颯太が一番活きるであろう仕事やネタを割り振る、戦略家的ポジションで颯太をサポート。元相方と、フィールドは違えど再びコンビを組んで成り上がっていく、その関係性がたまらなくニヤニヤ出来るんです。

ラジオ番組というよりは、ラジオパーソナリティを育て上げる過程にフォーカスが当たっている感じの、ちょっと変わり種な、けれどもこの上なく面白い作品です。

試し読みはコチラ!

「河内遙」の過去作

『満ちても欠けても』

『14歳の恋』水谷フーカ先生の連載作。全2巻です。

メインMCは6年目のアナウンサー・天羽日向。午後11時から放送のラジオ番組、『ミッドナイトムーン』。視聴者からしたら、MCが一人喋っているように聞こえるかもしれませんが、実はたくさんの人が関わって番組が出来上がっているんです。アナウンサー、ディレクター、放送作家、AD、ミキサー、それぞれがラジオに込める想いとは……。

本作は、とあるラジオ番組『ミッドナイトムーン』を軸に、それに関わる人達の想いを1話完結方式で描いていく物語です。

MC、制作スタッフ、リスナー、投稿者、放送局の社員……誰一人、欠けてもラジオは成り立ちません。それぞれの役割を全うし、時に周囲に助けられながら、ひとつのものを作り上げていく。そんなシチュエーションを、1話ごと主人公を変えながら、短い中にしっかりと起承転結を落とし込んでいきます。このあたりはさすが水谷フーカという感じで、各話のクオリティが軒並み高く、幸せな気持ちにさせられます。

もちろんフィクションですが、きっと制作の現場は本作と同じで、こうして今日も流れているラジオ番組に、多くの人間ドラマが隠されているのではないかと思うと、ラジオを聴いていて余計に楽しくなってきます。

またFMではなくAM局をチョイスしているところに、水谷先生の深いラジオ愛が感じられますよね。マンガとしての面白さもさることながら、普段のラジオライフに潤いを与えてくれるような一作です。

試し読みはコチラ!

「水谷フーカ」の過去作

『Radio Lady』

アニメ化もされた『あいうら』茶麻先生の連載作です。現在2巻まで刊行。

たまたま聴いたラジオ番組に感動した女子大生・環は、その勢いのままラジオ局へと飛び込み、放送作家として弟子入りしたいと嘆願します。その特徴的な声質に目をつけた変人プロデューサーは、環を作家ではなく話し手として起用することに決め、あれよあれよという間に、女子高生声優・朋絵と一緒に番組をすることになるのですが……というお話。

素人の女子大生が、ひょんなことから新人JK声優とラジオ番組をすることになるという、普通に考えたらなかなかありえない展開なのですが、そのへんはユルい4コマなのでご愛嬌。

女子大生ながら見た目は小学生な環は、向こう見ずでズバズバとぶっ込んでいくトークスタイル。それが、喋るのが苦手で控えめな性格の朋絵と上手いことハマり、番組は徐々に人気を伸ばしていきます。

日々の出来事、ちょっとした下ネタ、リスナーの悩み相談……放送作家を交え3人で他愛もない日常の話をする様子は、アットホームでどちらかというとネットラジオ的雰囲気。これといった事件が起きるわけでもなく、乱暴に言えば「トークを繰り広げるだけ」なのですが、それが全く飽きることなく、むしろ回を重ねるごとに面白さが増してくるから不思議。

ラジオものというフォーマットを取っているものの、ベースは秀逸なトーキングコメディという感じで、激しい作品を読んだ後の癒やしとして読みたい、安心感のある一作です。

試し読みはコチラ!

「茶麻」の過去作


以上、4作品をご紹介しましたが、冒頭に書いたとおりどの作品も面白い、ハズレ無しの良作ばかりです。

この記事がきっかけで、これらの作品に興味を持ってもらえると嬉しいですが、さらにこれらの作品をきっかけにラジオに興味を持ってもらえたら一層嬉しいです。というか、たぶん読んだらラジオを聴きたくなるんじゃないでしょうか。そんな魅力溢れる作品たちです。

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この記事を書いた人

いづき

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