2018.03.17
【日替わりレビュー:土曜日】『生徒会長ですが女装はじめました』遥一
『生徒会長ですが女装はじめました』
株式会社リフレがTwitter上でさまざまな漫画を掲載し、それをPixivコミックでまとめているWebマガジン「ゆるよん」は、“少女漫画の4コマ専門誌”という希少な媒体だ。
その「ゆるよん」連載作のひとつがこちら、『生徒会長ですが女装はじめました』である。
───女子高生・白石純には悩みがあった。
なぜか昔から同性の友達を作ることができず、ぼっち状態が続いているのだ。
女の子の友達と楽しい青春を送りたい! そんな憧れと焦りに悶えていたある日のこと。ひとりの生徒が純のもとを訪ねてくる。
さらさらふわふわな髪、端正な顔つき、スマートな立ち居振る舞い。すごい美少女だ。
見知らぬ謎の美少女は「ナイ」と名乗り、なんと「私と友達になって下さい」と申し込んできた。喜び、舞い上がる純。
しかし、そのときイタズラな風が吹いてナイちゃんのスカートがひらりとめくれあがり、その下のパンツが見え……えっ、トランクス!? なぜ男物の下着を!?
よく見ると言動の端々がおかしいこの美少女、その正体はなんと、かつて純へ告白してフられた生徒会長・紅孝太郎という男子だった!
「私がほしいのは女の子の友達なんだよーー!!」という純の言葉を深刻に受け止めた少年は、せめて彼女の願いを叶えてあげたいという切なる思いをおかしな方向へ突っ走らせて、女装で友達になろうと思いついたのだ……。
以上がひとまずのシチュエーションの土台だが、本作の面白さはその上で展開がひとひねりするところにある。
実はわりと早い段階で、ナイ=孝太郎の女装であることを純がひそかに気づいてしまうのだ。
正体がバレていると知らないまま女装で女友達になろうと頑張る孝太郎と、しょっちゅう女の子芝居にボロが出る孝太郎を見て内心ツッコミながらも“ナイ”の可愛さに抗えず女友達を続けてしまう純。
秘密とバレが複雑に入り組んだ人間模様が見どころだ。
さらに、純が女子のなかではぼっちな一方で、男友達はいたり告白をされたりと可愛い女の子である様子がうかがえるのもポイント。
その可愛い純から見てすごく可愛いとされる“ナイ”との組み合わせは、美少女ふたりの疑似百合ごっことでもいうべき趣があって眼福だ。
ぼっち少女と女装男子の、性別の境をかきまぜた友情の行方をみなさんもぜひ見届けていただきたい。
©遥一/リブレ