2018.04.08
【日替わりレビュー:日曜日】『ランウェイで笑って』猪ノ谷言葉
『ランウェイで笑って』
最近の「マガジン」は前にも増して勢いがすごい。
と感じているのですが、その要因のひとつとして、「連載マンガの幅広さ」があげられるように思います。
その中でもこちら、『ランウェイで笑って』の、「王道ファッションもの」がちゃんと少年マンガとして成立している感が素晴らしい。不良マンガ、格闘マンガに溢れていた頃から、マガジンが新たに進化していく姿をひしひしと感じます。
パリ・コレを目指すモデル、藤戸千雪。小さな顔、頭身バランスの良さを持つものの、身長は158cmから伸びなかった。そんな千雪に、周囲は「パリ・コレを諦めろ」と言うが、なかなか折れない千雪。そんなある日、クラスの貧乏男子・都村育人の夢「ファッションデザイナー」を千雪は「無理でしょ」と言い切ってしまう。周りに「無理」「諦めろ」と言われても、自分の夢に向かってひた走る少年・少女の物語。
周りの目や逆境(身長が足らない、お金が足らない、同世代のすごいライバルetc…)に負けず、「自分の才能+努力」で夢に向かう主人公たち。
スタイリッシュなんだけど、すごくアツい。キャラクターそれぞれの事情に感情移入しやすく、「わかる、わかるよ……」と胸にぐっとくる想いとともにページをめくること間違いなし。
個人的には、恵まれた体・存在感でモデルとして活躍することを周りに推されているけど、本当はモデルではなく服を作る人になりたい長谷川心ちゃんを推してます。
服飾業界の説明も丁寧で、業界のひとはもちろん、知らなかった人も楽しめるはず。
ファッションにまつわるマンガは『Real Clothes』『王様の仕立て屋~サルト・フィニート~』『海月姫』などなどあるものの、学校など含む業界を題材にしたマンガは『ご近所物語』『パラダイス・キス』など、わずかしかないんです。知らなかった世界を垣間見れるのもマンガのいいところ。
ちなみに、「ジャンプSQ.」の5月号から『アントレース』(かっぴー、春瀬 隼)が始まったのですが、こちらもごりごりのファッション業界もの。デザイン画を書くのが超絶下手なデザイナーと、デザインの才能はないが抜群の仕立て技術を持つパタンナーが共にファッション業界に飛び込んで行く……というストーリー。
『ランウェイで笑って』と同じく、ファッションとひとことで言っても、そこにまつわる様々な職種の人がいて、みんながベストを尽くして世界観を作り上げていくその流れにドラマが生まれるんでしょうね。本格ファッションマンガがあちこちで読める幸せ! これからの展開、どっちも超楽しみです。
さて、『ランウェイで笑って』に話を戻しまして。こちら現在4巻まで出ていますが、週刊連載ですから5巻も5月17日発売予定というさくさくぶり。(この作画クオリティで週刊連載しているというのが驚き)
登場人物それぞれの動きが絡み合い、ますます面白さ増してる気がします。ぜひどうぞ。
©猪ノ谷言葉/講談社