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2018.04.13

【日替わりレビュー:金曜日】『世界は寒い』高野雀

『世界は寒い』

どん詰まりの地方都市で生きる若者の鬱屈を描いた『さよならガールフレンド』や、4人の女性のファッション観を描いた『あたらしいひふ』など、独特の作風いで話題作を送り出し続ける、高野雀先生の新連載です。

なんとも内容の想像がつきにくい表紙とタイトルですが、端的に表すならば、「女子高生たちによる殺人計画」をめぐるお話

女子高生と拳銃

物語はとあるフードコートの一角から始まります。閉店間際、席に忘れられている紙袋の中身を見てみると、そこには本物の拳銃が。その場に居合わせたのは、バイト仲間の女子高生6人組。そのまま警察に届け出れば良いものの、本物か確かめるために発砲してしまったこともあり、混乱からその拳銃を隠し持っておくことにします。そして1人から発せられた言葉によって、彼女たちの生活は大きく動き出すことに……

「女子高生が銃でひとを殺そうなんて誰も思わない。
───これってチャンスじゃないの?」

殺したい相手を考える

弾は丁度5発。やるかやらないかは別として、それぞれが殺したい相手を考えてみることに。本当に殺そうと考えて実行にうつそうとする者もいれば、冗談半分に「殺すなら〇〇」と考える者、「殺したい人などいない」と思いつつも、どうにも引っかかりを覚える者……。

拳銃という「確実に人間を殺すことが出来る手段」を、思わぬ形で手に入れたことをきっかけに、それぞれ心の奥に眠っていた感情が炙り出される様子が、ゾクゾクとさせてくれます。

置かれている環境の違い

拳銃というアイテムの投入もさることながら、学校の友達ではなく、バイトを介しての知り合いでメンバー構成をするのも上手いと思わせる部分。それぞれ通っている学校も違えば、置かれている境遇も違うので、「殺したい相手」として思い描くものも全く異なっていて興味深い。

正直そのどれもが、命のやり取りをするほどなのかというレベルのものではあるのですが、彼女たちにとってはその時に目に映っている世界が全てであり、そういった判断をしてしまうこともやむを得ないわけで。

1巻時点では行動に移す者まではいないのですが、もしかしたら本当に実行してしまうかもと思わせる子もいたりと、緊張感を保ちつつ物語は進行。今後一層盛り上がることでしょう。非常に続きが楽しみであります。

サスペンス要素も

またもう一つ、「そもそも拳銃はどこから来たのか」という謎もあり、そちらをきっかけとしたサスペンス的発展の余地も十分。

「殺したい相手を考える」という部分で人間の内面を深掘っていき、一方「拳銃を巡るサスペンス」で外側もどんどん動かせるという、内にも外にも広がりを見せる本作の底知れなさを、存分に味わってみてください。

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この記事を書いた人

いづき

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