2018.04.23

【日替わりレビュー:月曜日】『災厄にして惑わず』嶋二

『災厄にして惑わず』

バツイチのエリート弁護士×未婚独身の飲食店マスターという、不惑を超えたオッサンふたりの同居BLです。

受攻両方が40歳オーバーのカップリングが普通にコミックスになるとは、時代は進んだものです。……読者層がどんどん年を重ねているような気もしますが……そういえば最近、20代前半の財閥社長攻とかあんまり見かけませんね……。

40歳オーバー同士の組み合わせ、個人的には大好物です。とはいえ、飲食店マスターの門司は年より若く見えます。

本厄まっただ中の門司は、ズボンにコーヒーをかけられ、財布を落とし、挙句の果てに延焼でマンションの部屋が住居不可能になるという災厄続きです。気の毒なほどの重なりぶりですが、部屋に住めなくなった時に偶然再会した元同級生の六車の部屋に居候させてもらえることになります。

学年トップだった六車は、そのままエリート弁護士になっており、さらに子持ち×イチというスペックに。

同居から即仲良し、ということにはならず、寝ぼけた六車が門司に抱きついたまま朝になったり、門司が酔っぱらった時に何やら色めいた会話になって、それを六車が愛の告白と勘違いしたり、すれ違ったり喧嘩したり、一緒に男性向け動画を鑑賞してなぜかどっちが先にイくか競争したりと、40歳オーバーにして青春時代をなぞりなおしているかのような生活が続きます。

お互い、ゲイというわけではなさそうな二人ですが、いつの間にか相手のことが気になっていって、気が付いたら好きになっていたというパターンです。

やはり物理的な距離というのは大切なのでしょう。同居生活の距離感に連動するように、心理的距離も近づいたり離れたりしながら徐々に間合いが狭まっていくんですが、その過程にキュンキュンしてしまいます。

喜怒哀楽がはっきりとわかりやすい門司と、乏しい表情ながらも門司に傾いていく六車が、見ていてほほえましいというか素直に萌えました。
六車の一人娘・あかりちゃんもいい味を出しています。彼女は、女性特有の鋭さというやつで、たぶん途中から彼らの関係に気付いています。できた娘さんです。

四十にして惑いまくっているふたりですが、出会い(再会)から付き合い始めるまでがギュッと1冊に詰まっており、しっかり肌色シーンもあり満足度の高い作品となっております。

この記事を書いた人

アキミ

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