2018.04.24
【日替わりレビュー:火曜日】『異種族レビュアーズ』masha, 天原
『異種族レビュアーズ』
2010年代は「小説家になろう」を中心として、オタク界隈では空前のファンタジーブームだと感じています。その結果、ファンタジージャンルは細分化されて、剣と魔法の冒険物語とは限らなくなりました。
冒険に出かけず日常をダラダラと過ごす『この素晴らしい世界に祝福を!』、異世界と繋がる洋食屋を舞台とした群像劇『異世界食堂』など、いろんなアプローチの面白いファンタジーが続々と登場しています。
そんな中、ファンタジー世界における「フーゾク事情」をユーモラスに描く『異種族レビュアーズ』は新しい切り口として、唯一無二の面白さに満ちています。
例えば500歳の女エルフは、人間にとっては超美人で興奮するんですけど、同じエルフ族の男性にとっては「ババア」呼ばわり。逆に人間の50歳くらいのオバサン嬢を、男エルフは「100歳にも満たない娘」は最高だとベタ褒めします。今度は人間の男にとってはゲンナリ。そして獣人は、ふくよかな肉付きがオーク系の可愛い子っぽいと言い放つ。
いろんな種族の男が、いろんな種族のフーゾク嬢を抱く。その結果をファミ通っぽいクロスレビューでレポートしていくんです。
なんとなく創作の中で知っているだけだったエルフや天使、単眼、ウィルオーウィスプたち。人間とは異なる種族を、性風俗という視点から掘り下げるおかしさ。
斬新な発想力から生まれた、新しい形のファンタジードラマになっています。
©masha,天原/KADOKAWA