2018.04.27

【日替わりレビュー:金曜日】『だって君は、幼なじみ』伊鳴優子

『だって君は、幼なじみ』

幼なじみだから、誰よりも君の良いところをわかっている。
幼なじみだから、簡単に好きだなんて言えない…。

時にその距離感に勇気づけられ、時にその距離感に苦しめられる。
そんな幼なじみゆえに感じる酸いと甘いの両面が、ぎゅっと詰まったオムニバス『だって君は、幼なじみ』のご紹介です。

家が隣で、小さい時から一緒に過ごして……というのが幼なじみですが、ある程度大きくなってくると、段々とその関係にも変化が見られてくるもの。
相も変わらず仲良く一緒に過ごしている2人もいれば、少しずつ話さなくなって、なんとなくその存在を遠く感じてしまっている2人もいたりと、一口に幼なじみと言っても、その様子は様々。本作では、5組の幼なじみの恋が描かれます。

ep.1 夏の夜、君と変わる。

1話目は、親の手伝いで夏祭りの店番をする幼なじみの物語。

店番が早めに終わり、一緒に回ることになるのですが……という、お祭りというちょっとしたイベントが、2人の関係に変化をもたらすという青春の匂いたっぷりなお話。

お互いの好意がチラチラと見え隠れする中、男の子がぼそっと呟く本音に思わずドキッ。それぞれが試すように少しずつ気持ちを表に出していき、ドキドキが高まっていく過程が、もどかしい幸福感に溢れていて素晴らしい。

ep.2 もういっかい呼んで

2話目は、引っ越しで離れ離れになってしまった幼なじみと修学旅行先で偶然再会するという、ちょっと捻ったシチュエーションのお話。

前は名前で呼んでくれていたのに、久しぶりに会ってみたら名字で呼ばれて、ちょっとショック……というのは、幼なじみに限らないあるあるだったりしますよね。

連絡先もわからないので、この日を逃せば再び離ればなれになってしまう、そんな状況の中、勇気を振り絞って自分の気持ちを伝えにいくヒロインの頑張りが一際眩しく映る、青春のの輝きに満ちた一話です。

ep.3 その背中に追いつきたい

3話目は、高校3年生で進学を控える女の子と、中卒で就職して、18歳にして通信制の1年生となった男の子の組合せ。

彼が働き始めてから、しばらく疎遠になっていたのですが、ある日突然「勉強を教えて欲しい」と尋ねてきたことから、2人は急接近します。勉強を教えられる彼女の立派さと、社会に出て働いている立派さ。

それぞれ違う部分で、互いに尊敬できる素敵な関係を、じんわり温かく描きあげます。

ep.4 想い出の続く先

4話目は高校生のヒロインと、大学生の歳上彼氏のカップルを描いたお話。唯一付き合っているところからスタートする本作は、付き合いが長いがために起きてしまうすれ違いを描きます。

これまでいつも一緒に過ごしていたから、楽しみにしていたイベントに君がいないと、ぽっかり心に穴が空いたように、寂しさと理不尽な怒りの感情が沸き起こる……なあなあになってしまいがちな関係修復を、彼氏が思わぬサプライズで演出

幸せってのはこうして積み重ねていくことが大事なのだと、個人的に身につまされるものがあった、幸せ成分たっぷりの一作です。

ep.5 だって君は、幼なじみ

5話目は表紙にも描かれている2人のお話。高校3年の卒業前、一番の親友だと思っていた幼なじみから告白され、受験を前に心を乱されまくる女の子が描かれます。

これまでのエピソードでは、みんな割とすぐに恋心を自覚するのですが、こちらの場合は大親友だという認識があったので、なかなか気持ちを整理しきれません。大切な相手だからこそ、そんな簡単には答えを出せない。その葛藤に苦しむ姿がとてもリアルで、18歳という難しい年頃を上手く描き出しているように思えました。

個人的にはこの作品が一番のお気に入り。

恋を描いているのですが、全体を通して甘さ控えめに感じられるのは、幼なじみゆえに肩肘張らずに過ごせる気楽さみたいなものがあるからでしょうか。また単純に恋だけが描かれているわけではなく、「青春ならではの苦しみ」みたいなものが落とし込まれていることも一因かもしれません。変に飾らず、自然体で織りなされる恋模様の、なんと気持ちの良いこと。

ページ数もたっぷりで、容量も大満足と、推さない理由が見当たらないぐらい。心からオススメしたい一冊です。

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いづき

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