2018.05.16
【まとめ】ちょっとした息抜きにいかが?どこから読んでも面白いギャグ4コマ!
4コママンガといっても、1話単位で見ればゆるやかなストーリー形式になっているのが、ここ10年近くの潮流でした。
しばらくはこの傾向が続くと思っていましたが、むしろ最近は、昔ながらの1本完結型の4コマを見かける機会が増えたように感じます。『ポプテピピック』という突然変異が現れたことや、Twitterに投稿する(スマホで見る)ときの相性の良さなどが理由かもしれません。
今回はそんな、どの巻、どのページから読んでも楽しめるギャグ4コマをご紹介したいと思います。難しいことは考えずにとにかく笑いたいとき、パラパラとめくってみてください。
『光の大社員』
4コマファンに「いま一番面白い4コママンガ家は誰か?」と尋ねたら、OYSTER先生の名前が多く挙がるのではないかと思います。
ストーリーものやラブコメも描かれている多才な方ですが、作者のギャグセンスと言葉選びの妙がいかんなく発揮された代表作『光の大社員』を、ここでは紹介させてください。
とある玩具メーカーで働く社員たちを描いた、いわゆるサラリーマン4コマの一種。
とはいえ、ネタの種類は幅広く、「誰が買うんだ?」と思ってしまうようなニッチすぎるおもちゃを開発する話から、日常の些細なあるあるまで様々。ビックリマークと集中線を多用して勢いで押し切るテンションの高いボケが、次から次に繰り出されます。
また、どの話数でもネタの順番がほぼ決まっているのも、この作品の特徴のひとつ。もちろん順番に読んでいってもいいし、好きなネタだけをまとめて読みたいときも探しやすいというメリットがあるわけです。
年齢・性別を問わずオススメできる、ギャグ4コマの決定版といっていいでしょう。
この作品で、4コママンガ家としての評価を不動にしたOYSTER先生ですが、一方で女性キャラクターのかわいさにも定評があります。
現在「月刊まんがタウン」で連載中の『新婚のいろはさん』では、ギャグ要素を残しつつ、黒ロン新妻のいろはさんが夫の始(はじめ)くんとひたすらイチャイチャするという新境地にも挑戦されています。
『光の大社員』を読んで、「たまき先輩かわいい」「忍者OLすずなさんに命を狙われたい」と思った方は、こちらもぜひ。
『さわらせてっ!あみかさん』
痩せすぎているより、少しくらいぽっちゃりしている女性の方が健康的でモテると言われていますよね。
男性の考える「ぽっちゃり」と、女性の考えるそれには大きなギャップがあるという話もありますが……。それはそれとして、男女どちらの読者にも受け入れられるだろうぽっちゃり女子の登場する作品が、トフ子先生の『さわらせてっ!あみかさん』です。
主人公のあみかさんは、両親に先立たれてしまい、年が離れた妹とふたりで暮らしているという、なかなか重い境遇。
けれども作品からシリアスな雰囲気を感じないのは、周りの人たちを包み込むあみかさんの太陽のような性格と、彼女自身を物理的に包み込む豊満なお肉のせいでしょうか。
そんなあみかさんを取り囲むのは、揃いも揃って変な人ばかり。姉をクッション代わりにしてくつろぐ妹のかがり。デブ専の友人・沙織。あみかさんの勤務先の後輩で、匂いフェチのまひろ。通勤通学中のバスで、あみかさんに密着しようと企む女子高生・バス子(仮名)……。
ギャグの内容があくまでポジティブであることも、この作品の魅力です。あみかさんは、自分の体形を気にしつつも、コンプレックスとまでは思っていない。他のキャラも、あみかさんの優しさとふくよかさが好きすぎて、つい奇行に走ってしまう。太っていること自体を悪く言うネタが一切ないので、安心して読み進められます。
純粋にギャグ4コマとして楽しめるだけでなく、ありのままの自分や他者を受け入れる大切さも感じられる作品です。
『白衣さんとロボ』
2017年に初単行本を含む3冊の単行本を発売し、4コマ界に衝撃を与えたのが、柴先生です。
何が衝撃だったかといえば、それらの4コマが「普通」だったこと。重厚なストーリーが展開されたり、飛び抜けてシュールだったりするわけではない。シンプルだけど読みやすい絵柄で、起承転結がはっきりしたネタを1本ずつ丁寧に描く。それだけなのに、いや、それだけだからこそ面白いわけで。
例えるなら、エンタメ小説やビジネス書がずらりと並ぶ本屋のベストセラーコーナーに、純文学が割り込んできたようなもの。すごい人が現れたと思いました。
そんな柴先生が「まんがライフ」で連載中の『白衣さんとロボ』は、ど直球なタイトルからも分かる通り、天才女子高生科学者の「白衣さん」と、彼女が開発したレトロなデザインの「ロボ」のふたり(?)が主な登場人物。
というより、ほぼこのふたりしか出てきません。また、白衣さんは超がつくほどのインドア派なので、作中で描かれるのも家の中か、せいぜい庭先という……。
最小限のキャラクターと舞台設定ながら、ウィットに富んだセリフの応酬と、コロコロと入れ替わるふたりの主従関係が、読者を飽きさせません。
導入からオチにいたるまでのコマにも一切の無駄がなく、その構成力の巧みさは、すでにベテラン作家の貫禄さえ漂います。
今回ご紹介する4作品は、もちろんどれも面白いのですが、その中からさらにひとつ選ぶとすればこの作品をオススメしたい。柴先生は、今後の4コマ界を引っ張っていってくれる方だと期待しています。
『妹はいいものだ』
内村かなめ先生の作品には「きょうだい」をテーマにしたものが多いのですが、『妹はいいものだ』はその集大成。
兄妹だけでなく、姉弟、姉妹と様々な組み合わせのきょうだいたちが登場する、オムニバス形式の4コマとなっています。
特に出番が多いのが、単行本の表紙も飾っている中学1年生のはるなちゃんです。かわいらしい容姿もあいまって、いかにもなお兄ちゃん大好きっ子に見えるかもしれませんが、むしろ逆。
お兄ちゃんのアイスは勝手に食べるし、それを悪びれもしない。本当に妹がいたらこんな感じなのか……と、妹に夢を見る読者は現実を突きつけられることに。
けれど、ゲームをするときはベタベタくっついてきたり、お兄ちゃんが受験勉強を始めてからは構ってもらえなくていじけたり。なんだかんだでブラコンな一面も。
生涯で唯一呼び捨てにできるかもしれない女という、作中のモブ男子のセリフが、実に的確。たとえ彼女ができたとしても、妹ほど対等に接せられる相手にはならないかもしれません。そう考えると、どれだけケンカをしても、やっぱり「妹はいいものだ」って思ってしまうのです。
明確なストーリーはなく、ひとつひとつのネタも独立しているため、どの巻から読んでも楽しめます。その特性を活かして、雑誌での連載中は、Twitterでも並行して1本ずつ配信が行われていました。
今でこそ「ツイ4」や「ゆるよん」といったメディアが実施していますが、『妹はいいものだ』がその先駆けだったのかもしれません。
以上、4作品を紹介させていただきました。この記事を書くために、それぞれの作品を読み返したのですが、本当に「どの巻、どのページから読んでも」面白いんですよね。
マンガを読む暇がないほど忙しいという方でも、4コマ1本くらいなら読めるはず。ご紹介した作品はいずれも電子版が配信されていますので、ちょっとした空き時間に読んで笑って、気分をリフレッシュしてみてはいかがでしょうか?
©OYSTER/双葉社, ©トフ子/芳文社, ©柴/竹書房, ©内村かなめ/一迅社