2018.05.27

【まとめ】ニャンとも形容しがたい!ひと癖もふた癖もある猫マンガたち

「ネコノミクス」という造語も作られるほど、世の中はいま猫ブームまっしぐら
マンガ界にもその影響は現れていて、2017年12月には「コミックエッセイ猫劇場」という、猫マンガ専門のWEBコミックサイトも開設されました。

猫と飼い主の心温まるやりとりが描かれたエッセイコミックも大好きなのですが、今回は趣向を変えて、見た目や性格がちょっと変わった猫たちが活躍するマンガを紹介したいと思います。

『ポヨポヨ観察日記』

まずは、2012年にテレビアニメ化もされた『ポヨポヨ観察日記』から。

主人公猫は、表紙でも圧倒的な存在感を放つ、佐藤ポヨ。コタツでどころか、常に丸い。丸いというより、球体。最終巻の帯に書かれた「大団円」という言葉がここまで似合う猫は他にいません。
ポヨは別に太っているわけではなく、体のほとんどが筋肉でできているため、見かけに反して非常に俊敏でもあります。ラグビーやアメフト選手のようなもの、と言えば分かりやすいでしょうか。

幼いころに家族と離ればなれになり、佐藤家に拾われるまで野良猫として生きてきた境遇のせいか、弱きを助け強きをくじく任侠的な性格の持ち主。
ただし鳴き声はかわいらしく、作中では「渡哲也からピカチュウの声が出てるみたい」と評されていました(このネタを受けてか、アニメの声優はピカチュウ役の大谷育江さん)。

作者の樹るう先生はコミックスのあとがきで、捨て猫の「ムーたん」を拾って育てたことがこの作品の生まれるきっかけになったと述べられています。
なるほど確かに。丸い体、抜群の運動神経、何者にも媚びない高潔さなどは、マンガ的に誇張されているとはいえ猫の魅力そのもの。ポヨこそ、私たちが愛してやまない理想の猫の姿なのかもしれません。

『ねこようかい』

猫のような妖怪のような不思議な生き物、それが「ねこようかい」。タイトルをそのまま解釈すると「猫みたいな妖怪」ですが、どちらかといえば「妖怪みたいな猫」でしょうか。

顔のパーツがないのに不思議と感情豊かな「のっぺらぼう」。伸ばした首で飼い主にじゃれつく「ろくろくび」。モフモフの巨体で道をふさぎ、仕事に疲れた会社員を包み込む「ぬりかべ」。それぞれの特徴を残しつつもかわいく「擬猫化」された妖怪たちと人間の、ときにおかしく、ときにせつない交流が描かれています。

個人的にお気に入りのねこようかいは、上半身が猫で下半身が魚という、「にんぎょ」のぱふぇちゃん。「にん」要素はどこ? とツッコむのは野暮というもの。
飼い主の「会長」はマフィア然とした風貌で、かなりの高齢と思われますが、ぱふぇちゃんを飼い始めてからはむしろ健康に。不老不死になれるにんぎょの肉を食べたからではなく、単にぱふぇちゃんにあわせて規則正しい生活を送るようになったからだったというオチがほほえましい。猫に勝る良薬などないのです。

1本完結型の4コママンガなので、どのページから読んでも大丈夫。まとめて読むのはもちろん、寝る前に少しずつ読んで、ねこようかいたちの愛くるしさに癒やされてから眠りにつくのもオススメ。

『ネコノヒー』

『チベットスナギツネの砂岡さん』『スキウサギ』など、キューライス先生の4コマには、妙に人間味あふれる動物たちが登場します。中でも特に、読者の共感を呼ぶと思われるのが、二足歩行の小太り猫「ネコノヒー」

食欲旺盛なネコノヒーは、色々な料理を作ろうとしては微妙に失敗します。「微妙に」というのがポイントで、納豆のパックの底をお箸で突き破る、ラーメンのスープの中にれんげを沈没させるなど、致命的ではないけれど、いざやってしまうとかなしいものばかり。何も言わず、ただ眉毛を下げる表情が哀愁を誘います。

もしこれが、犬や他の動物だったら、まったく違う印象になったのではないでしょうか。人間の最も身近にいる動物で、家の中にいても違和感がなく、太った姿も愛らしい猫だからこそ、より感情移入がしやすいというもの。キャラクター造形の素晴らしさと、失敗ネタの引き出しの多さに感服せざるを得ません。

どんなに失敗しても、おいしいご飯を食べるためにチャレンジし続けるネコノヒーを見ていると、自分も負けずにがんばろうと思えてくる作品。
もちろん、失敗ばかりではなく、ちゃんと成功することもあります。「SUCCESS!!」というオノマトペ(?)にあわせて満面の笑みを浮かべる姿も、またかわいいんですよね。

『にゃんこデイズ』

友子は、人と話すのが苦手な女子高生。授業が終わると、楽しくおしゃべりするクラスメイトたちを尻目に教室を後にします。家に帰れば、3匹の猫が「おかえり」と言ってあたたかく出迎えてくれるからです。

比喩や、友子の幻覚などではありません。作中の猫たちは人間並みにかしこく、言葉を話すことができるという設定。見た目も、猫耳や尻尾がついているのを除けば、小さな子どもとほとんど変わりません。
中には、ひとりで水族館までお出かけしたり、ぶ厚い推理小説を読んだりする猫までいて、飼い主より頭がいいんじゃないかと思うシーンも……。そんな猫たちがペットとして飼われている世界観は、冷静に考えると少しホラーな気もしますが、猫たちの愛くるしさの前ではささいな問題です。

猫を飼っていることが縁になり、友子はクラスメイトのあづみと友達になります。そこから少しずつ交友関係が広がり、最近では人見知りもだいぶ治ってきました。猫たちとは会話ができるのだから、きっかけさえあれば人ともちゃんとコミュニケーションが取れる子だったのでしょう。

かわいい猫に癒されたい。猫とおしゃべりがしたい。猫好きの人と仲良くなりたい。そんな、すべての猫好きの夢が詰まった作品。2017年にはテレビアニメも放送されました。

『墨たんですよ!』

4コママンガ家として20年以上のキャリアを誇る師走冬子先生と、ペットの墨たんとの生活が描かれた作品。
エッセイコミックでありながら、墨たんが擬人化されているのが最大の特徴です。飼い猫のエッセイコミックや、猫を擬人化したマンガはたくさんありますが、「飼い猫を擬人化したエッセイコミック」は他に例がないのではないでしょうか。

作中での墨たんは、ゴスロリの衣装を着た女の子として描かれています。ただし、擬人化されているのは外見だけで、中身は猫そのもの。作者に本気で噛みついて流血させたり、獣のように(獣ですが)虫にむしゃぶりついたりと、かなりバイオレンス。

内容自体はむしろオーソドックスなくらいの猫エッセイなのに、擬人化されているだけでまったく違う味わいになるのが面白い。どうして誰も思いつかなかった? という、発想の勝利といえる作品です。

「飼い猫をこんな美少女に描くなんて作者は親バカすぎる」と、猫を飼っていない方は良い意味で呆れてしまうかもしれません。
しかし逆に、猫を飼っている方、飼ったことがある方は、作者の気持ちが分かるのではないでしょうか。どんな猫でも大好きと口では言っていても、心の中ではウチの猫が世界一かわいいと思っているはずなのですから。




普通の猫マンガとはひと味違う猫マンガを選んだつもりでしたが、こうして振り返ると、どの作品にも猫の魅力がたっぷり詰まっているんだなと感じました。

「かわいい」のは言うまでもないとして。独立心があり、必要以上に人間にベタベタしたりしない。けれど人懐っこいところもあって、気がつけばいつも私たちのそばにいてくれる。
どれだけ設定をひねっても、根底にある猫の魅力そのものは変えられないのかもしれませんね。

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ましろ

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