2018.05.15
【日替わりレビュー:火曜日】『Fate/Apocrypha』石田あきら
『Fate/Apocrypha』
いきなりマンガじゃなくてゲームの話をしますけど、いやー『Fate/Grand Order』、面白いっすね!
ソーシャルゲームは時間泥棒なので手を出さないようにしてきたんですが、ノベルゲーム全盛期からTYPE-MOONを嗜んでいた身としてはどうしても抗えず……(言い訳マン)。
そんな『Fate』シリーズで、昨年アニメが放映された『Fate/Apocrypha』。コミカライズもすこぶる良いんですよ。
著者は石田あきら先生。『まおゆう 魔王勇者』のコミカライズを全18巻完結させた実績がありますから、心配する必要はナッシング。『Fate/Apocrypha』でも原作小説を大切にしつつ、+αを盛る理想のマンガ版になっています。
『Fate/Apocrypha』は、魔術師7人とサーヴァントと呼ばれる英霊が7人。それが黒陣営と赤陣営で2チーム分、14名が大聖杯をかけて殺し合う物語です。さらに脇役も多数出演しますので、登場人物は多いです。
さらに原作小説では黒陣営と赤陣営の視点が切り替わっていくのが魅力ではありますが、キャラクターが頭に入っていないと分かりづらい部分ではあります。
そういうとっつきづらさを、第1話が黒陣営、第2話が赤陣営という構成で解決しています。新規読者が読んでもすんなり理解できる組み立て方にアレンジしていて読みやすくなっているんですね。
その第1話でもヴラド三世の串刺しシーンという、原作の隙間を埋めるシーンを盛り込んでいて、従来のファンも楽しめるオリジナル要素もグッド。
料理でも同じことですが、この最後のひと手間が大事なんです。つまり『Fate/Apocrypha』のコミカライズとしては最適解の内容になっていると断言できます。
作画にも目を奪われます。目の描き方が萌えに寄り過ぎず、それでも美少女は可愛く、スパルタクスのようなマッチョは荒々しく。描き分ける表現の幅がとんでもなく広い。
アストルフォはいわゆる男の娘なんですが、上半身が筋肉質な男の胸として描かれていて、アニメでその部分はほとんどぼかされていたので新鮮な驚きがありました。
そうそう、最後に一つ重大なことをいい忘れました。セミラミスの上乳に、『まおゆう 魔王勇者』の魔王様の面影を見た! 石田あきら作品の巨乳の系譜としても注目ポイントです。
©石田あきら/KADOKAWA