コミスペ!

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2018.07.24

【まとめ】真夏に最高のクールビズ? 背筋が凍るほどのホラーマンガ!

皆さん、ホラーは好きですか?

僕は大好きです。ホラーが好きだと人に言うと引かれることがあるんですが、僕はその反応は見当違いだと思うんですよ。
何も僕は人が殺されまくったりする恐ろしい状況に直面することに憧れがあったりするわけでは無いんです。世の中の人皆が幸せになればいいと思っていますし、そのついででいいから自分だって幸せになりたい、ホラーな経験なんてしたくも無いです。

じゃあなんでホラーが好きかというと、ホラー作品を読んでいる僕は安全圏にいるからです。安全圏にいながらにして、背筋も凍るようなスリルを味わうことができ、さらには読み終わった後には「あぁ僕はこんな世界じゃなくて安全な世界に居てよかった…」と幸せを感じることすらできる。最高じゃないですか? えぇ最高です。

ということでおすすめのホラーマンガを紹介して行きますね。ガチガチのやつだけじゃなくて軽いのも紹介するのでご心配なく。ではどうぞー。

『屍鬼』

名作小説を凄腕マンガ家がコミカライズ!

人口1300人の小さな田舎の村、外場村。外部からは一本の国道しか繋がっていない陸の孤島の様なこの村に、ある夏、村の外から桐敷という一家が引っ越してきた。彼らは村を見下ろす高台に城の様な屋敷を建てそこに暮らしはじめたのだが、桐敷一家が引っ越してきてから平和だった村に異変が起こり始める。山入という地区に住む2人の老夫婦と1人の老人が、それぞれ自宅で死体になって発見されたのだ。調べた結果、死因は自然死で事件性は無かったのだが、最後に死んだ老婆の死亡推定時刻は二人の老人よりもずっと後だった。つまり老婆はしばらく死体と暮らしていたということだ。そしてこの死を最初に連鎖するように原因不明の死が村に広がり始める…。

『ゴーストハント』シリーズや『十二国記』小野不由美先生の名作小説を、『封神演義』藤崎竜先生がマンガ化し、アニメ化もされた作品です。

藤崎竜先生は現在「ヤングジャンプ」で『銀河英雄伝説』のマンガ化作品も連載中ですね。藤崎先生は原作や原典のある作品を藤崎世界にアレンジして描くことが素晴らしく上手くて、屍鬼も原作とは違うストーリー展開も挟み込まれ、非常に面白い作品になっています。

『屍鬼』の大筋を簡単かつ乱暴に言ってしまうと、日本の田舎を舞台にした吸血鬼モノといった所ですね。この作品は村で唯一の病院の院長である尾崎 敏夫・敏夫の友人で村の寺院の息子室井 静心・田舎に憧れる両親に連れられて少し前に外場村に引っ越してきた結城夏野の視点を中心に、多数の村人たちの目線から描かれる作品です。

序盤は村を徐々に蝕んで行く正体不明の「何か」の不気味さを中心に描かれていくのですが、中盤から事件の全容が徐々に明らかになって行き、終盤では吸血鬼「屍鬼」側と人間側の視点が交差して結末へと加速して行きます。終盤では屍鬼側の視点も濃厚に描かれ始めることで、本当に怖いのは屍鬼なのか人間なのかわからなくなっていき、まさに狂気です。あー本当、外場村に生まれなくて良かった!

吸血鬼モノやゾンビモノは、作品の中に現代社会への問題提起がある場合が多いのですが、『屍鬼』ではマイノリティの社会での生き辛さが描かれています。

少数派で人の生き血を吸うことでしか生きられない屍鬼が、生きるために人を殺すのは果たして本当の意味で悪なのでしょうか? 人間社会のルールでみたら悪ですが、なんとも言えないですよねぇ。ほんと、皆が幸せになればいいのに。

ホラー度 / ★★★☆☆

『外道の書』

コズミックホラーの入り口的作品?

その本がいつ誰に書かれたものなのか、誰も知らない。魔術師が悪魔を呼び出して書かせたとも、人類誕生以前からあったともいわれている。12冊集めるとどんな願いも叶うその書は、ある儀式で人間を本にした禁断の書だった。兄を目の前で本に変えられた桐島さつきは、第一の書のなりそこないの男と一緒に、書を集める謎の少年を追い始める。

講談社の「ヤングマガジン」で連載されていた一巻完結のホラーマンガです。ホラーと言いますが、全体的にホラーバトルものでグロテスクなシーンはあんまりないです。

内容はあらすじに描いた通りなので、これ以上解説してしまうとすさまじくネタバレなのですが……人間を本にするシーンがすごく不気味でその描写だけで一見の価値ありです。画面作りのせいなのか、全体の雰囲気がなんとも暗く退廃的な空気を醸し出すこの作品は、いわゆるコズミックホラーの入り口的作品でもあるのかなぁと個人的には思っています。

コズミックホラー(宇宙的恐怖)とは、クトゥルフ神話作品を生み出したH.P.ラグクラフトが提唱した概念で、「広大で無機質な宇宙や異次元における超常的存在と対峙した人間の恐怖や孤独感を描いた作品」と言われています。人知の及ばない超常的存在との邂逅の一端が描かれるこの作品を切っ掛けに、クトゥルフ神話を掘って行ったらきっと楽しいですよ。底が見えない程深いジャンルでキリがないですけど、ね。

 あ、あと残念ながら『外道の書』は現在書籍での入手が現在難しいので、電子書籍で楽しむことをおすすめします。

 ホラー度 / ★☆☆☆☆

『殺戮モルフ』

ジェイソンやフレディに匹敵する殺人鬼誕生!

女子高生の村崎まどかは、白昼の繁華街を友人二人と歩いていた所、マスクをかぶった殺人鬼の大量虐殺の場面に居合わせてしまう。殺人鬼「M」は何故かまどかを素通りして他の人間たちを虐殺し、ついにまどかに手を下そうとした瞬間、駆けつけた警察官達に逮捕された。Mが収監されたことに安心するまどかだが、収監されたはずのMはまどかの前に何度も現れる。まどかはそれを最初は幻覚だと思っていたが、幻覚では無い決定的証拠、Mが新たな被害者を生む現場を目の当たりにし…。

ホラーマンガを多数執筆している外薗昌也先生が原作で、作画は同じくホラーマンガ家の小池ノクト先生。ホラー作家×ホラー作家による夢のコラボレーション作品がこの『殺戮モルフ』なのです。

『殺戮モルフ』に登場する殺人鬼Mは、殺害後裸になって血と肉の海の上で遊ぶようなド変態な上に、“バイロケーション”と言われる「同一人物が同時に複数の場所に現れる現象」を自在に操ることが出来る超能力者?の様なのです。

これはマジでヤバいです。つまりMは収監という、絶対安全かつ疑いのかけられない状況に居ながらにして、色んな所に自在に姿を現して虐殺しまくっているんです。ジェイソンやフレディと肩を並べるレベルの超スペックな殺人鬼ですよ。そんなMにも一つだけ弱点があり、それを知ったまどかがMと対抗するために少しずつ冷酷になっていって……。

『殺戮モルフ』は2巻で出版社の自主規制により残酷シーンを黒塗りされて単行本が発売されたのも話題にもなりました。ガチなスプラッターホラーを楽しみたい人におすすめです。

ホラー度 / ★★★★☆

『食糧人類 -Starving Anonymous-』

謎の生物の為に飼育される人類

ある日、高校生の伊江とカズの2人は、学校からバスで帰宅する途中、車中に催眠ガスを撒かれ拉致されてしまう。目が覚めると、そこは人が敷き詰められたトラックの上。辺りには冷凍された裸の人間たちが並び、生きた人間たちによって解体されていた…。ここは一体どこなのか? この地獄から、脱出する術はあるのか?

ゾンビマンガ『アポカリプスの砦』を執筆していた蔵石ユウ先生とイナベカズ先生に、原案の水谷健吾先生を加えてのサバイバルパニックホラーマンガですね。

人間が食糧として捕まえられてその上に飼育されるっていう設定だけでもわりとお腹いっぱいなのに、その人間を食べる人間よりも知能の高い女王を持つ謎の超生物なんかが出てきて、これでもかって位気持ち悪い要素が詰め込まれています。舞台となる日本は3月だっていうのに夏なみの暑さを見せる温暖化が進んだ世界なのですが、温暖化の理由も作中の状況と関係があったりして、本当にもう地球規模で絶望感が半端ないです。

でもその絶望感の裏で何も知らない人たちは普通に日常を過ごしてるのがまた怖くて、もしかしたら僕らが知らないだけで現実の社会もこんな風になってるのかもしれませんね、なんつって。

作中には結構なレベルの人体破壊や捕食される描写があるので、苦手な人はきついかもしれません。ちなみに最初にちょっとお話した『アポカリプスの砦』も良質なゾンビマンガなので、そちらも興味があればぜひ。

ホラー度 / ★★★★☆

『伊藤順二 自作傑作集 歪』

画業30周年の匠の技!

『富江』『うずまき』で知られるホラーマンガ家の伊藤順二先生の画業30周年を記念しての短編集です。

なぜ伊藤先生の他の本では無くこの短編集を紹介しようと思ったのかというと、短編集という性質上初めての人でも読みやすいことと、発売が最近なので入手が簡単だからです。9作の短編と1作の単行本未収録のショートストーリーが収録されている本作ですが、僕はこの中で特に「うめく排水管」「肉色の怪」が好きです。

「うめく排水管」は、ストーカーに悩んでいる潔癖症一家の高校生の少女の身に降りかかる恐怖を描いたもの。作中で起こる怪奇は、普通に考えれば「こんなことあるわけねぇよ!」というあまりにも常軌を逸したものなのですが、絵の力がすごくてマジで不気味です。排水溝が詰まった時ちょっと近づきたくなくなるくらい。ラストシーンで描かれる妹の最期の姿は怪奇としか言いようが無く、是非一度手に取って観てもらいたいです。

「肉色の怪」は最後のセリフがすごく好きです。

「…でも、姉の美の感覚は凄くおかしいんです!!」

どんなシーンで飛び出すセリフなのか、本当に読んでもらいたい、本当に。短編なのであまり語れず感想文みたいになっててすみません。

ホラー度 / ★★★★☆

恐怖には無限の可能性がある。

古くからあるホラーというジャンルですが、スマートフォンやインターネットの普及でどんどん新しい恐怖が創造されています。『リング』の貞子なんてテレビ普及前じゃあり得なかったホラーですもんね。これからどんどん新たなホラーが創造され、それと出会うたびに僕は「あぁ僕は安全圏にいて本当に良かった」と思うのでしょうね。

この記事をきっかけに皆さんがホラーマンガに目覚め、ともに安全圏の幸せを噛みしめられれば幸いです。それでは人類の平和を願ってさよならです。

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