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2018.07.12

【まとめ】伝説の4コマ誌!「まんがタイムきららミラク」出身作家の今を追う!

「もっと自由に、4コマを。」のキャッチフレーズを掲げて誕生した、芳文社の4コマ誌「まんがタイムきららミラク」

2011年の創刊当初から、ビジュアル重視の4コマ、独創的な世界観の4コマなどを次々に発表。残念ながら2017年に休刊してしまったものの、刊行期間の短さ以上に強く印象に残る、太くて短い雑誌だったと思います。

ミラクで連載していた作家陣には、引き続き芳文社の4コマ誌で活動されている方も多いのですが、中には4コマでない作品を描いていたり、他社に活躍の場を移したりした方もいらっしゃいます。
巷で話題になっているマンガの作者を調べてみると、「あ、この方もミラクで描いていたのか!」とビックリすることがあるわけですね。

そこで今回は、「まんがタイムきららミラク」でマンガ家デビューした作家さんの、ミラク時代の作品と現在連載中の作品をそれぞれご紹介したいと思います。

柊ゆたか先生

ミラク時代の作品:『Good night! Angel』

柊ゆたか先生の『Good night! Angel』を初めて読んだときの衝撃は、今も忘れられません。
等身の高いキャラクターデザイン。プロの殺し屋である少女たちが、体のラインがくっきり浮き出る黒スーツに身を包んで飛び跳ねる、セクシーアクション。
こんな4コマ見たことない。これがミラクの4コマだと読者に知らしめるには、充分すぎるインパクトを持った作品でした。

現在の連載作品:『新米姉妹のふたりごはん』

そして現在の連載作品は、『新米姉妹のふたりごはん』
「月刊コミック電撃大王」(KADOKAWA)に増えつつある百合マンガの一翼を担い、シリーズ累計51万部を超える、作者最大のヒット作です。

両親の再婚によって、同い年の義理の姉妹という複雑な関係になった、サチとあやり。しかも、再婚早々に両親は海外に旅立ってしまったため、ほぼ他人同士の状態でふたり暮らしをすることに。
最初はぎこちなかったふたりですが、あやりの趣味である料理をきっかけに打ち解け、少しずつ本当の姉妹らしくなっていきます。
いわゆる「グルメマンガ」のひとつではあるものの、食べる行為そのものより、「大切な人のために料理を作る」ことに重点を置いた作品だといえるでしょう。

繊細なタッチの絵柄と、そこから紡がれる女の子たちの心の機微。
4コママンガと通常のコマ割りのマンガという「食器」、アクションものとグルメものという「具材」の違いはあれど、調理する「シェフ」は紛れもなく柊ゆたか先生だと、両作を読み比べると感じます。

また、表面的な共通点を挙げてしまいますが、どちらの作品もメインヒロインが黒髪ロングなんですよね。
『新米姉妹のふたりごはん』で、あやりが料理を始める前にサチからもらったシュシュで黒髪をまとめるシーンにグッときた方は、『Good night! Angel』も読むべし。

あfろ先生

ミラク時代の作品:『月曜日の空飛ぶオレンジ。』『シロクマと不明局』

柊ゆたか先生と並んで、「まんがタイムきららミラク」創刊号から名を連ねていたあfろ先生。
作者がミラクで連載していた『月曜日の空飛ぶオレンジ。』『シロクマと不明局』は──まがりなりにもライターが言っちゃいけないのですが──、シュールすぎてよく分からない作品でした。なので、ここでは公式のあらすじを引用するだけにさせてください。

スイカの自販機。
朝起きたら頭が箱に。
植木鉢に信号機。
キュート&フリーダムなこの興奮、初体験。
(月曜日の空飛ぶオレンジ。)

花の女子高生を目前に死んでしまった熊本チエコ。 カボチャに騙され、たどりついたは地獄と天国の狭間・煉獄。 聖徳太子とナポレオンが漫才師として活躍するその煉獄で、 チエコは樋口一葉に助けられ…。
(シロクマと不明局)

現在の連載作品:『ゆるキャン△』

現在、あfろ先生が連載されている作品といえば、もちろん『ゆるキャン△』ですね。
2018年冬のテレビアニメも大ヒットし、各地のキャンプ場ではソロキャンする人が急増したとかなんとか。

女子高生が冬にひとりでキャンプをするという設定はゆるくないものの、超常現象などは発生しないため、作品自体は「日常もの」と言って差し支えありません。
ミラク時代の作者の作風を知っている方は、「あfろ先生が普通のマンガを描いてる……」と驚いたことでしょう。
しかし、番外編の「へやキャン△」や、松ぼっくり・バイクなどの無機物が喋りだすといった唐突なギャグ描写には、過去作品の面影が確かに感じられます。

一方、ストーリーに関しては共通点を見つけるのが難しかったのですが、最近、「絆」があfろ先生のマンガのテーマなのかなと思うようになりました。

お互いを思いやる兄妹。生まれ変わっても切れない赤い糸。時間や記憶の壁を越えて大切な人とつながろうとする、過去作品のキャラクターたち。
その姿は、別々の場所でキャンプをしていてもメッセージアプリで写真を送りあう、『ゆるキャン△』のリンとなでしこたちに重なるのです。

川井マコト先生

ミラク時代の作品:『幸腹グラフィティ』

川井マコト先生の場合、現時点ではミラク時代の作品の方が有名かもしれません。
2015年にテレビアニメ化もされた『幸腹グラフィティ』は、祖母を亡くしてから塞ぎがちだった少女が、料理を通して人のあたたかさを思い出していくストーリー4コマ。
昨今のマンガ界を席巻するグルメマンガ――具体的にいえば「女の子が色っぽくご飯を食べるマンガ」の先駆け的存在でもありました。

現在の連載作品:『甘えたい日はそばにいて。』

川井マコト先生は現在、ミラクの姉妹誌である「まんがタイムきらら」で、『甘えたい日はそばにいて。』という4コマを連載中です。

アンドロイドと人間が手を取りあって暮らす世界。作中のアンドロイドたちは、人間と区別がつかない精巧な見た目をしていて、職業選択の自由も保障されています。禁止されているのは、人間と結婚することだけ。
お手伝いアンドロイドのひなげしは、高校生小説家・楓の家で働くうち、彼を好きになっている自分に気づきます。そのとき、待っていたかのようにかかってきた、1本の脅迫電話。電話の主は。ひなげしの恋は成就するのか――。

『幸腹グラフィティ』がヒットしたから次もグルメもので、と素人的には考えてしまいそうですが、今作ではあえて「食」を封印。
人間よりも人間らしい感情を持ったアンドロイドの少女を主人公に据えることで、逆説的に「人間とは何か?」を根本から問いかける作品になっています。

1話あたり14ページと、4コママンガとしては破格なページ数の多さ。最後の1ページまで展開が読めない、サスペンス要素も織り交ぜた重厚なストーリー。
ミラクが目指した「自由な4コマ」を今なお追究し続けている作者に、惜しみない声援を送りたいと思います。

そと先生

ミラク時代の作品:『ハルソラ行進曲』『ラストピア』

「まんがタイムきららミラク」で連載していた作家さんの中には、イラストレーター出身の方も多くいらっしゃいます。『森の魔獣に花束を』(小木君人/小学館)などの挿絵を担当された、そと先生もそのひとり。
ミラクでは、工業高校に通っていたという自身の経歴を活かした『ハルソラ行進曲(マーチ)』を発表したあと、休刊直前まで『ラストピア』というファンタジー4コマを描かれていました。

現在の連載作品:『異世界はスマートフォンとともに。』

そして現在は、「小説家になろう」発の小説で、2017年にテレビアニメ化もされた『異世界はスマートフォンとともに。』のコミカライズを連載しています。
恥ずかしながら原作小説とアニメはよく知らないため、コミカライズ版だけを読んだ感想を書くと……、これ、完全にそと先生のマンガです。

神様の手違いによって現世で死んでしまった主人公・望月冬夜。しかし特に慌てたりもせず、「転生先でもスマホが使いたい」とだけお願いして、異世界でチート&ハーレム生活を謳歌します。
死をあっさり受け入れすぎ、人間味がないと思われるかもしれませんが、冬夜を「そと先生のマンガのキャラクター」として考えると、こういうドライなキャラ、作者の過去作品にも結構いたんですよね。

工業高校では珍しい女子生徒という縁からいつも4人で行動しているけれど、将来を見据えて専門教科は別々のものを選ぶ、『ハルソラ行進曲』のヒロインたち。
『ラストピア』の舞台は、住人ほとんどが記憶喪失というワケありな島・エオニオ島。そんな状況を気にすることもなく、のほほんとスローライフを満喫する、島の住人たち。

シンプルで読みやすい絵柄はもちろん、原作小説の世界観とそと先生の作風がよくマッチした、良質なコミカライズではないでしょうか。


以上、4名の作家さんをご紹介しました。もちろん、他にもまだまだいらっしゃいます。

「まんがタイムきららミラク」の雑誌カラー上、現在も「萌え」や「百合」のジャンルで活躍されている方が多いのですが、最近気になっているマンガ家さんがいたら、ぜひ過去の作品を調べてみてください。案外、ミラクにたどりつくかしれませんよ?

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この記事を書いた人

ましろ

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