2018.06.20

【日替わりレビュー:水曜日】『女神のスプリンター』原田重光, かろちー

『女神のスプリンター』

筋肉を最大限まで鍛えるために、アレを我慢せよ!

アダルトコミックで活躍していたかろちー先生と、『ユリア百式』などのお色気ギャグを得意とする原田重光先生の新作は、ある意味アダルトでは描けない、けれど一般誌だとギリギリな、陸上マンガ。
一言で言うと射精管理マンガだ。

パッとしない陸上部員、浩太。彼の兄の妻は「トラックのビーナス」と呼ばれた陸上部のホープ、恭子。
義姉の恭子に短距離走のコーチングをしてもらうことになった浩太。そりゃあテンションも上がるってもの、思春期男子だもの。

恭子が彼に出した課題は、筋トレや食事制限と、オナニーの禁止だった。いわく、体内のテストステロンは射精によって薄まってしまうからうんたらかんたら……ようはアスリートとして限界を目指すなら、射精をするな、していいのは9日に一回、ということらしい。

「”絶対服従”よ」

恭子の美しすぎる女体を目の前に、浩太の我慢の日々がはじまる。

かろちー先生の描く恭子の女体は、筋肉質で引き締まっており、かつ胸やお尻は豊満。
テストステロンを増やすためには興奮させて睾丸から分泌うんぬん、と言って浩太に自分の素肌を晒して、彼の性欲を限界まで高め、追い詰める。
生殺しなんてもんじゃない。裸の女性を前にして少年が射精しないように耐え続けるのは、拷問だ。

9日目の射精に関しても、恭子は「触らないでイク」など特殊な指導をしてくる。抜く時ですら、興奮の管理をされている有様。
恭子のヌードや浩太の射精シーンは山程あるものの、セックスシーンはゼロだ。

近年、射精管理ネタはネットの同人音声作品で大流行中。ネットスラングでカウントダウン(ゆっくり数えながら射精に導くような演出)ネタは見たことがある人もいるかもしれないが、決してメジャーではない、マニアックなM向け文化だ。
このサブカルチャーを、テストステロンの話題でうまく理屈をつけつつ、アスリート美女のフェチズムを盛り込むことで、エンターテイメントマンガとして昇華しているのはお見事。

下ネタではあるものの、筋肉の話に終始しているので、そこまでお下劣でもない。むしろ耐える浩太の姿は、アスリートの姿そのもので、美しくすら見える。まるで、減量中の矢吹丈のように……。

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たまごまご

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