2018.06.25
【日替わりレビュー:月曜日】『あおに鳴く』灼
『あおに鳴く』
田舎で一人暮らしをする高校生・司朗は、ある日、海辺で古い飛行服を着た記憶喪失の青年を拾います。
そう、タイムスリップ&記憶喪失ものです!
記憶を失って青年は自分の名前も覚えておらず、近代の機器に関する知識は皆無で、そして悪夢にうなされるという睡眠障害のオプションまでついた──美形です。
司朗は彼を、亡くなった祖父の名を取って「菊」と呼ぶことにします。
菊との生活はなかなか好奇心を刺激されるもので、基本的な生活ツールの使い方を教えたり、畑仕事を任せたり、悪夢で安眠できないというので添い寝をしてみたり……という日常がやたらと楽しそうです。
菊の見る夢はどうも断片的ですが、BL的というか、そういう扱いを受けた過去のトラウマに起因するのかな? と思わせる描写が出てきますが確定的ではありません。焦らされております。
司朗が添い寝することによって悪夢からは逃げられるようです。胸が熱くなる設定ですね。
1冊かけて若い男の二人暮らしが描かれており、わくわく感が半端ないのですが、いかんせんBL展開には至っておりません。
昨今のBLコミックには珍しく、1冊目にキス描写すらないという禁欲的な流れです。
そう……どこにも巻数表示がないのですがこの作品、シリーズものの1冊目でした!!!書いといてよ……! とちょっと思いました。
お話の進み具合としては、物語の導入部分といったところでしょうか。
まだお互いに恋愛感情のようなものは生まれておらず、一緒にいて心地いい、安心するという程度です。ここからこの関係がどのように変化していくのか、とても楽しみです。
菊の失われた記憶も気になりますし、最終的に菊が元の時代に戻ってしまうのかとか、気になることもたくさん伏線としてばらまかれていますので、ぜひきれいに回収して描き切っていただければと思います。
©灼/一迅社